膨張する中国|池上彰のニュース2016総決算!今そこにある7つの危機を考える!ニッポンが危ない!まとめ
膨張する中国 領土拡大を続ける超大国の真意とは!?
2016年11月23日放送「池上彰のニュース2016総決算!今そこにある7つの危機を考える!ニッポンが“危ない”」より
超大国へと急成長した中国、このままではニッポンが危ない!
今年2016年8月、尖閣諸島周辺に大量の中国漁船が押し寄せました。
その数なんと約400隻!
漁船に加え、中国・会計局などの公船15隻も、相次いで領海へ侵入。
これに日本政府は…
「断じて受け入れることは出来ない」(岸田文雄外務大臣)
連日に渡って抗議を続けましたが、中国側は一切聞く耳を持たず。
「釣魚島(尖閣諸島)は中国の固有の領土であって、中国側のエスカレートという批判はあたらない」(程永華在日中国大使)
しかし、それから8日後、船は周辺海域から突然姿を消しました。
日本の夏、緊張の夏…
いったい、あの攻防に込められたメッセージとは何だったのか?
超大国へと急成長した中国、このままではニッポンが危ない!
”既成事実化”を狙う「サラミ・スライス戦術」
お隣の超大国になった中国が、何を狙っているのか、これからどんな行動をとるのかをよく知っていないと、日本にとって危険ではないでしょうか。
そこで、スタジオにはサラミが登場。
サラミを大きく切ってしまうと、すぐにバレてしまいますが、外側を少しだけ薄く切っても、持ち主には切られたことがバレません。
中国の領土拡大の戦略を専門家は「サラミ・スライス戦術」と名付けました。
【サラミ・スライス戦術】…相手が気づかない、抵抗しない程度に”小さな前進”を繰り返し、少しずつ目的を達成する戦術のことです。
つまり、最初の薄切りに気づくかどうかが重要になってきます。
中国の漁船が来たことも、最初はニュースになっても、毎日それが続くとニュースにもならなくなり「こういうもんだよね」となってしまいます。
いわゆる「既成事実化」「相手を慣れさせてしまう」そういうことを狙っているのではないかということです。
実際に当時の新聞を見てみると、徐々に扱いが小さくなっているのが一目瞭然です。
少しずつ”既成事実化”を狙う「サラミ・スライス戦術」、日本はその標的となっているのです。
南シナ海「中国の赤い舌」九段線
南シナ海では、それぞれの国が領有権を主張しています。
とりわけ大きく主張しているのが中国です。
九つの線で囲まれた九段線で囲まれた一帯は「すべて中国のもの」と主張しているのです。
中国大陸から牛の舌のように延びていることから、「中国の赤い舌」とも呼ばれています。
1995年フィリピンが領土だと主張しているミスチーフ礁に、中国が小屋を建設しました。
漁民たちが台風のときに避難する「避難小屋」だと言って造りました。
それがなんと、1999年には、コンクリート製の建物になってしまいました。
さらに2015年には、3000m級の滑走路まで建設したのです。
こうやって、既成事実を少しずつ積み重ねていく、まさに「サラミ・スライス戦術」です。
こうして、南シナ海を実効支配し始めたのです。
中国が領有権を主張する理由
中国の主張は、南シナ海での活動には2000年余りの歴史があり、その権益は長い歴史の過程で確立したと言っています。
2000年前といえば、日本はまだ弥生時代です。
そういう主張は、現代の国際法では通用しないことなのです。
これに怒ったフィリピンが、2013年1月に、中国の主張する「九段線」に根拠がないとして、オランダ・ハーグの仲裁裁判所に訴えました。
その判決が今年の7月12日に下りました。
「中国が主権を主張する独自の境界線には国際法上の根拠がない」(オランダ・ハーグ仲裁裁判所の判決)
中国の主張が全面的に否定されました。
これに対して中国はこう表明しました。
「中国は第三者による解決案はいかなるものであっても受け入れない」(中国外務省・洪磊報道官)
また、載乗国前国務委員は、仲裁裁判所の判決を「ただの紙くず」だと批判しました。
しかし、この判決を受け入れないからといって罰則規定はありません。
判決を受け入れるか受け入れないかは、中国次第なのです。
中国という国には国際的常識がないようです。
最新の中国のパスポートには!?
最新の中国のパスポートには、国際裁判で負けたはずの九段線によく似た線が描かれています。
そこにも、したたかな中国の狙いがあります。
中国のパスポートを持って入国すると、それぞれの国の入国管理官がスタンプを押します。
そうすると、「この主張をその国も認めているんだよね」ということになるのではないかというのです。
中国外務省の言い分はこうです。
「地図のデザインは深読みしないでもらいた。中国は関係諸国との外交を進め、双方の国民の健全な往来を促進するつもりだ」(中国外務省・洪磊報道官)
フィリピンやベトナムでは、中国国民にビザを貼る際、そこにビザを貼ると中国の言い分を認めたことになるので、別のビザの紙を作ってそれを渡しています。
つまり「このパスポートは認めない」というやり方をとっています。
このように、さりげなくいろんなところで、「サラミ・スライス戦術」が使われているのです。
日本にとっても他人ごとではない!
南シナ海の問題は、遠くの海の話ではないのです。
日本にとっても他人ごとではありません。
その理由は「南シナ海は日本の重要なシーレーン」だからです。
【シーレーン】…エネルギーの輸送など、国家の戦略上重要な海上交通路のこと。
日本は、中東から石油や天然ガスを輸入しています。
それが南シナ海を通ります。
中国が、「自国のもの」と主張する南シナ海で、もし何かあれば、日本のシーレーンが封鎖されてしまいます。
もしそうなった場合、かなり遠回りのルートを通らなければならなくなり、当然コストがかかって石油の値段が上がってしまいます。
中国の世界戦略「一帯一路」
超大国を目指す中国の国家戦略「一帯一路」とは何でしょうか?
かつて、絹の道「シルクロード」がありました。
その現代版を作ろうというのです。
中国から中央アジアを経てヨーロッパへとつながる陸のシルクロードを「一帯」
南シナ海からインド洋、地中海を通ってヨーロッパへと向かう海のシルクロードを「一路」
中国は、これらの沿線国に莫大な資金を投資し、新たな経済圏の形成を目指しているのです。
イランにシルクロード鉄道(中国~イランを14日で結ぶ)を中国が受注。
トルコ高速道路は、中国が建設を受注し、2014年7月開通。
ロシアでは「モスクワ=カザン鉄道」事業を中国が落札し、2018年に完成予定。
東南アジアにはインフラを整備しています。
ベトナム海陽発電所は、マレーシア企業と共同で約1870億円を投資。
マレーシアには、東海岸鉄道プロジェクト、契約金額は1兆円以上と報道。
スリランカには、「マッタラ・ラージャバクサ国際空港」に中国が約200億円を融資、建設も受注。
バングラデシュ最大の橋「パドマ橋」を建設予定。
そして、多くの港にも出資。
中でも衝撃を与えたのが、ヨーロッパの玄関口・ギリシャ。
ギリシャ最大の「ピレウス港」を運営する会社を約450億円で中国が買い取りました。
それにより、中国が船の入港を決定できるということです。
これらはほんのごく一部であり、世界戦略に基づいて中国は投資などを行なっているのです。
中国の新華社通信によれば、「一帯一路によって40余りの国をカバーしている」と。
その人口は約43億人になり、世界の63%の人々に影響を与えることになる「巨大な経済圏」を、中国は着々と築いているのです。
その資金調達のため、中国は2014年10月24日に「AIIB(アジアインフラ投資銀行)」を作りました。
本部は中国の北京に設置。
初代総裁も中国人(金立群)が就任するなど、中国カラーが鮮明すぎる船出となりました。
AIIB創設には、イギリス・ドイツ・フランス・ロシア・韓国など57ヶ国が参加。
日本とアメリカは、組織の透明性に懸念があるとして、現時点でのAIIB参加を見送りました。
今年6月、AIIBの第一弾融資先が発表されました。
インドネシア・バングラデシュ・タジキスタン・パキスタンと、一帯一路の沿線上の国々です。
世界中の国々からお金を出させて、それを中国の国家戦略に基づいて貸していくのです。
この一帯一路構想は、すでに日本にも影響が出始めています。
2015年9月、日本と中国による「インドネシア高速道路」受注競争が決着。
当初、日本式を検討していたインドネシアでしたが、「建設費すべてを実質負担する」破格の条件を後から提示した中国に軍配があがりました。
まるで「横取り」のような強引な手法で、中国は一帯一路の沿線区インドネシアに進出。
さらに、一帯一路の終点とも言われるイギリスに対しても、去年10月、中国製原子炉の輸出を実現。
中国の悲願でもある一帯一路戦略は、すでに着々と進められているのです。
驚きのアフリカ”爆買い”計画
中国は、アフリカ大陸のあちこちに、道路や空港、港などの投資を行なっています。
2000年代だけでも、その額なんと約7兆円!
今回番組では、特に中国の進出が目立っている《ある国》を取材しました。
街角には、海外の高級自動車が走っています。
スーパーマーケットには、溢れんばかりの食料や電化製品が並んでいます。
そして、高層ビルが次々立ち並ぶ建設ラッシュ。
しかし、この国は、わずか30年前には、干ばつと食料不足で100万人が餓死し、200万人が難民に。
当時は、「世界で最も貧しい国」の一つとまで言われていました。
この国は、アフリカ東部に位置するエチオピア連邦民主共和国。
人類発祥の地と言われ、アフリカで唯一、植民地化されたことがない、特別な国でもあります。
あの悲劇から30年、街にはゲームセンターも出来ました。
そこには、日本でも見慣れたプリクラやエアホッケー、最新型のゲームまで。
街中に、かつての貧しさの面影はどこにもありません。
いったいこの国に、何があったのでしょうか?
エチオピアはここ10年、中国資本の進出もあり経済が急成長。
大飢饉のあった1980年代から、なんと7倍という伸び率。
2014年には、経済成長率が第一位を記録。
エチオピアで中国は何をしたのでしょうか?
そこから、日本人の知らない中国の野望が見えました。
中国のエチオピア進出その①「巨大建造物」
標高2400mの高地にある首都アディスアベバ。
その中心地にそびえたつ、エチオピア一の巨大な建造物が、2012年に完成したアフリカ連合本部ビル。
アフリカ各国の幹部たちが参列したオープニングセレモニーで流されたのは、なんと中国国歌。
さらに、会場にたなびいていたのは、アフリカ連合と中国の国旗。
このアフリカ連合本部ビルは、中国政府が総工費150億円を全額負担。
54の国と地域が加盟する世界最大の地域機関「アフリカ連合」の象徴ともいうべき建物が、中国によって作られていました。
建物だけでなく、備品も全て中国企業が提供。
総工費が約97億円のエチオピア国際競技場、建設費が約276億円のエチオピア商業銀行、建設費約65億円のエチオピア航空ホテルもすべて中国企業が建設。
中国とアフリカの友好関係を示す記念碑に描かれていたのは、アフリカ大陸と中国だけ。
なぜ中国資本ばかりが、エチオピアに進出しているのでしょうか?
今中国は、国際入札を総なめで勝ち取っています。
ヨーロッパやアメリカ、日本は、投資の決断に時間がかかり過ぎますが、中国は一度現場を見ただけで投資を即決するのです。
リスクを恐れない積極的な投資をする中国の姿勢が、大型建設の受注を勝ち取ったのです。
中国のエチオピア進出その②「交通インフラ」
去年9月に完成した、エチオピアの中心地を走る路面電車も、中国が約480億円を出資。
エチオピアの平均月収は約5000円。
路面電車の切符代は約10円で、市民のお財布にも優しい値段。
そして10月5日には、エチオピアが待ち望んだ交通インフラが、またも中国資本で誕生。
全長750km、首都アディスアベバから隣国ジブチを結ぶ、アフリカ初の高速鉄道。
ここでも、総工費の7割、約2500億円を、中国の銀行が出資しました。
鉄道の責任者が語るには、世界でも最も優れた鉄道会社は「JR東日本」であると。
では、なぜ日本の鉄道技術を選ばず、中国だったのでしょうか?
彼が言うには、最も重要なのは技術ではなく「資金調達」。
今の彼らには、時速300kmの電車は不要なのです。
「適切」なものが必要なのです。
そして彼らは100%満足しています。
中国のエチオピア進出その③「市民の生活」
現在、エチオピアには約6万人の中国人が生活しています。
ここでは、東洋人=中国人。
街中には、多数の中華料理店が。
アディスアベバ郊外にある農園には、中華料理に欠かせない白菜が栽培されていました。
国内NO.1の名門大学・アディスアベバ大学では、中国語や中国文化の教育期間「孔子学院」があります。
中国は、世界中に孔子学院を設立するのが国家プロジェクトなのです。
中国企業で働くためには、中国語の理解が必須になると、大学側は考えています。
現在、孔子学院を受講するすべての学生が職を得ています(就職率100%)。
彼らが中国企業から受け取る給料は、他の卒業生と比較して高いのです。
孔子学院は、アフリカ全土に46校あります。
中国の文化と中国語は、徐々に確実にアフリカ全土に浸透しつつあります。
ちなみに、国連加盟国193ヶ国のうち、3割の54ヶ国がアフリカ諸国。
中国とアフリカの急接近は、国際社会で中国の発言力が増すことを意味しています。(S.A.)
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