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【感動】かりゆし58 アンマー誕生秘話まとめ アンビリバボー2016.10.6

   

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かりゆし58 アンマー誕生秘話

2016年10月6日放送
奇跡体験!アンビリバボー 3時間スペシャルまとめ

不良の心を変えた《母の愛》

彼は、自他ともに認める、どうしようもないほどにおちぶれた不良でした。
24歳になっても職にも就かず、酒に溺れ、ケンカに明け暮れる日々。
しかし、《母》という1人の女性の生き様が彼の心を動かし、やがて日本中を感動の渦に巻き込む奇跡を起こすことになるのです。

苦しかった生活

1981年、今から35年前、沖縄本当の最南端に位置する島尻郡八重瀬町に、前川真悟は3人兄弟の末っ子として生まれました。
仕事の関係で父は留守がちだったので、母・正枝が看護師として働きながら、3人の子供を育てていたのですが、生活は苦しかったのです。
ある日のこと、「自転車が欲しい」と駄々をこねる真悟を、母は叱るわけでもなく、いつも買ってやれないことを謝っていました。

1994年に小学校を卒業すると、真悟は進学校としても知られる、長崎の全寮制の私立中学に入学しました。
生活がどれだけ苦しくても、「子供にはいい教育を受けさせてやりたい」「できれば安定した収入の得られる医者になってほしい」そんな思いで、真悟の母は自分の洋服さえ買わず、学費を工面してくれたのです。

荒れた学生生活

しかし、入学から1年が経った頃のこと。
慎吾は、学校で2度の暴力事件を起こし退学となり、沖縄に送り返されてしまいました。
実は、いじめられている同級生を守るために先輩を殴ったのです。
姉には「母さんの気持ちをわかってるのか」と怒られましたが、母は「またこっちで頑張ればいいよ」とやさしく諭してくれました。
慎吾は、思春期ということもあって、家族には殴った理由を説明しませんでした。

その後、1995年、慎吾は地元の中学に編入しました。
しかしそこは荒れた学校で、次第に不良仲間とつるむようになりました。
1997年、なんとか高校へは進学しましたが、勉強そっちのけでバンドに熱中、音楽以外は、ケンカに夜遊びとすさんだ生活を送っていました。
警察の厄介になるのは日常茶飯事でしたが、母の正枝は仕事で忙しいにもかかわらず、いつも駆けつけてくれました。

「ねえ、慎吾。お母は信じてるからね、あんたは大丈夫だって」
「うるせえ…。あいにくだったな、医者になれるような息子じゃなくて」
「慎吾…」
「あんたの息子になんか生まれなきゃよかった」
「……」

「このままでは自分はダメになる」

慎吾はどうにか高校を卒業しましたが、やりたいことも見つからず、なかなか職にも就けない日々が続いていました。
その憂さを晴らすように、夜毎酒に溺れ、たまに自宅に帰ってくるのは、金が無くなりどうしようもなくなった夜明けのことでした。
この日も久々の帰宅でしたが、母はいつ帰って来るとも分からない真悟のため、毎日欠かさず夕食を作り置きしてくれていました。
「慎吾へ ご飯はチンして食べなさい」とメモを残して…。

早朝から働きに出る母を見送る飲んだくれの自分は、《誰からも愛想をつかされて当たり前のクズ》だと、誰に言われなくてもわかっていました。
「このままでは自分はダメになる」それだけは確かだったのです。
そして真悟は、ある決意をします。

オレ、もう一回、音楽で勝負がしたい…

唯一、彼が好きだったもの、それは《音楽》でした。
当時、バンドは解散していたので、彼はサウンドエンジニアを目指すことにして、専門学校の学費を稼ぐため、愛知県でトラックドライバーとして3年間働き続けました。
お金が貯まり、沖縄へ戻った真悟は、母と姉に話を切り出しました。

「いつから専門学校に行くの?」
「お母、オレ行かんことにした」
「えっ!?」
「オレ、もう一回、音楽で勝負がしたい…。だから、学校行かんことにした」

慎吾の言葉に、姉は激怒しました。
「あんた何言ってるわけ!?バカかよ!お前。お前もう24だろ。音楽なんかで食えるわけないさ。高校生じゃないんだよ。もう夢見る年じゃないでしょうが」
「3年間考えた結果なんだ。これしかないって」
「ふざけるのもたいがいにしてよ。やっとマシになってきたと思ったのに。音楽やる!?バカも休み休みにしてよ」
「お母!オレに音楽やらせてくれ。あと1年でいい。頼む」
「あんた、どんだけお母さん泣かせたら気が済むわけ?自分勝手にするのもいい加減にしなさいよ!」

その翌日、部屋で慎吾がギターを弾いていると、母が声をかけました。
「そのギター、もうボロボロだね。はい、これ」
「はっ!?お母、それどうしたが?」
「お店のお兄さんに決めてもらったからさ、気に入るかわからないけど」

母は新しいギターを持っていました。
「真悟が初めて、本気でやりたいと思ったことなんでしょ?やったらいいさ」

母は反対するどころか、またしても真悟を、無条件に信じてくれたのです。

もし次も売れなかったら、これが最後になるかも知れない

母の後押しを受け、真悟は地元沖縄の仲間と共にバンドを結成しました。
「どこにもひっかからなければ1年でやめる」
その覚悟で、デモテープを様々なレコード会社に送り続けましたが、なかなか声はかかりませんでした。

すると10ヶ月後、ようやく1人のインディーズ・レーベルのプロデューサーが声をかけてくれました。
2005年2月、ついにバンドはミニアルバム「恋人よ」をリリースしてCDデビューを果たしました。

しかし、2000枚刷ったCDの売り上げは、たった700枚。
「もし次も売れなかったら、これが最後になるかも知れない」と通告されてしまいました。

「みんなごめんな、全部オレのせいさ。オレの曲がダメなばっかりに…」
「バーカ、だったら俺らも同罪さ。あーあ、次が最後か、どうする?」
「…最後になるんだったら、書きたい曲がある」
「えっ!?」

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ついに書きたい曲の完成

真悟は取り憑かれたように曲を作り始めました。
作っては直しの繰り返し、それほどまでに書きたい曲だったのです。
そして数日後、最後になるかもしれないCDがついに完成しました。
慎吾は、テーブルの上にCDとメモ書きを置いておきました。

「お母へ オレ達の新しい曲です。良かったら聞いてみて」

真悟は、母に手渡しするのは恥ずかしいと思い、自宅のテーブルの上に最後の曲を置いておくことしかできず、そのため、母が曲を聴いてくれたかどうかは分からないままでした。

慎吾のバンドはついにブレイク

2006年7月に、この曲はリリースされました。
すると、窮地に追い込まれていた真悟たちの現状を一変するような出来事が…。

まずは、地元沖縄の有線やラジオでこの曲のリクエストが殺到、一気に県内に広まっていったのです。
その流れはじわじわと全国に飛び火し、絶賛の声が各地で相次ぎました。

そして真悟のバンドは、ついにこの年の《日本有線大賞 新人賞》を受賞!
その後も毎年のように全国ツアーを行い、ドラマの主題歌にも抜擢されるなど、注目を集め続けました。
しかし、なぜブレイクのきっかけとなったあの曲が、それほどまでに人々の心を捉えたのでしょうか?

《アンマー》は、沖縄の方言で《母》という意味

真悟が、メモと共にCDをテーブルに置いてから数日後のこと…。
真悟が母の車を借りて出かけた時、セットしてあるCDが動き出し、ある曲が流れてきました。
それは、テーブルにメモと共に置いたあの曲でした。
しかも、曲が終わるとまた流れ出す、リピート設定になっていました。
母は、CDが置かれていた次の日から、繰り返しこの曲を聴いていてくれたのです。

真悟が自身のバンド《かりゆし58》の最後のナンバーとして作りたかった曲、《アンマー》は、沖縄の方言で《母》という意味です。

【かりゆし58 アンマー 歌詞付き】

結成10周年を迎えた今年、ツアーファイナルに選んだのは”母の日”。
東京の会場には母・正枝さんの姿も。

かりゆし58 前川慎吾さん≫
「(母親は)けっこう本当に愛の深い人なんで、もう一番、母親の前にいる自分が丸裸になると思います。結局、やりたい事をやり続けるみたいな、30歳こえても今も本当にそうなんで、それを「あの子は相変わらずだね」みたいな感じで見てもらってる関係性はまったくそのままですね、ガキのときから」

母 正枝さん≫
「慎吾を息子としてすごく信頼して、これから厳しい時代を迎えると思うんだけれど、出発点を忘れないで謙虚な気持ちでやってほしいなと」

美味しいものは、怒った顔を笑顔にする

母への感謝を綴った曲《アンマー》の発表から10年が経った2016年9月。
今は東京で暮らす真悟さん、時間があるとこうして沖縄に帰って来るといいます。
真悟さんのために母・正枝さんが用意したのは、息子のために毎日作り置いてくれていた夕食、おふくろの味でした。

母 正枝さん≫
「子供にしてあげられる母親の大きな役割と言ったら、美味しいものを食べさせてあげることだけかな。美味しいものを食べていれば、怒っている顔でもニコニコしてくるんだよね」

(了)

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