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宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」に秘められたメッセージとは!?

   

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今回は「銀河鉄道の夜」

1934年に発行(83年前)された宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」、国語の教科書にも載っていて、大学の入試問題でも採用されます。
作者の宮沢賢治(1896年~1933年)は岩手県出身。

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[出典:https://kotobank.jp/word/%E5%AE%AE%E6%B2%A2%E8%B3%A2%E6%B2%BB-139569]

「銀河鉄道の夜」と間違えやすいのは、主人公の鉄郎と、謎の美女メーテルが銀河超特急999号に乗って宇宙を旅するアニメ「銀河鉄道999」。
原作が「銀河鉄道の夜」で、アニメが「銀河鉄道999」と思っている人もいるかも知れませんが、この二つは全く別の作品です。

銀河鉄道の夜 主な登場人物

ジョバンニ……「銀河鉄道の夜」の主人公
カムパネルラ……ジョバンニとは親友だったが、今は疎遠になっている。
ザネリ……いじめっ子で、クラスのガキ大将的人物。

特徴的なキャラクターの名前で、ヨーロッパっぽい雰囲気ですが、舞台はヨーロッパではなく岩手県。
宮沢賢治の岩手を舞台にした作品は「注文の多い料理店」「風の又三郎」「セロ弾きのゴーシュ」「ポラーノの広場」など。
宮沢賢治は岩手県が大好きな作家で、岩手で生まれ育ち、ほとんどの作品が岩手を舞台にしていると言われています。

賢治にとって、ジョバンニが岩手にいることに違和感はありませんでした

賢治は岩手のことを岩手と呼ばず、「イーハトーブ」と呼んでいました。
賢治は「岩手の丈吉」と言うより「イーハトーブのジョバンニ」と言ったほうがオシャレだと思ったのです。

「岩手」を「イーハトーブ」にした理由は「おしゃれな世界観をプロデュースしたかったから」なのです。
「りゅうちぇる」の本名は比嘉龍二ですが、彼は「沖縄県から来た比嘉龍二です」という登場の仕方はしませんでした。

「ちぇるちぇるらんどから来たりゅうちぇるです」と言って現れたわけですが、彼も非常にオシャレにこだわっている人です。
自分の作りたい世界観があるわけで、そういう世界観も含めて宮沢賢治を楽しんでもらいたいのです。

宮沢賢治は、帽子を被りコートを着て、田園を歩いている写真が有名です

当時、写真と言えば貴重で、写真館で撮るのが普通でした。
しかし彼は、ベートーベンに憧れていて、ベートーベンが田園を歩きながら「田園」を作曲した時の写真を真似て、友人に撮ってもらったのです。

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[出典:http://eagleai.exblog.jp/9221452/]

「銀河鉄道の夜」の主人公、ジョバンニの生活

主人公ジョバンニの生活はいつも、地味に嫌な事がたくさん起こります。
銀河鉄道にいきなり乗るのと、地味に嫌な事が起きた後で乗るのとでは、どちらが楽しいと思いますか?
なので「地味に嫌だな」を楽しみましょう。

《地味に嫌な事その1》
同級生でいじめっ子のザネリに、父親の仕事をいじられます。
ジョバンニのお父さんは遠洋漁業の漁師で、なかなか帰ってこれません。
さみしい思いをしているジョバンニを「やーい、ラッコの上着」と言っていじってきます。

「ラッコの上着」というのは、明治時代にラッコの毛皮で作られた高級品で、高値で売れたおかげでラッコが乱獲されたため、捕獲が禁止されました。
「密猟者」という意味で「おい、お前の親父そろそろ、ラッコの上着持って帰ってくるんじゃねえか?」とからかうのです。
「お前の母ちゃんでべそ」ではなく「お前の父ちゃん密猟者」ということです。

《地味に嫌な事その2》
放課後に「活字拾い」の仕事をします。
活版印刷に使われる文字のハンコを、並べられた棚から取り出し、一文字ずつ組み合わせて印刷するための作業です。
文字と言っても「ひらがな」だけではなく、「漢字・カタカナ・濁点」もあります。

ジョバンニは家が貧しかったため、たとえ辛い仕事でも、お金の高い仕事をしなければなりませんでした。
同僚の大人たちからは「虫めがね君」と呼ばれていました。

《地味に嫌な事その3》
お母さんが病気で寝たきりです。
学校でも辛く、放課後も辛い仕事をしているジョバンニ。
せめて家では元気でいてほしいのに、母親が病気で寝たきりとは本当に可哀想です。
ジョバンニはお母さんに「牛乳を取ってくるよ」と言って、玄関に行きました。

《地味に嫌な事その4》
なんと、お母さんに飲ませてあげたい牛乳が届いていませんでした。
ジョバンニは配達元に行き「すいません、牛乳が届いていません」と言いましたが、牛乳屋さんの返答は「担当者が不在なので明日来てください」と。
「今日飲ませたいのに」と思いながらジョバンニは帰ります。

《地味に嫌な事その5》
牛乳屋からの帰り道、ザネリ一味と遭遇し、すれ違うとき、ザネリに声をかけられました。
「おい、ジョバンニじゃねえか。やーい、ラッコの上着」

さらに嫌なのは、奥にカムパネルラがいたことです。
カムパネルラはジョバンニの憧れの親友で、本当に大好きで、二人なら気さくに話せる関係です。
ところが、ザネリの一味は大きく、友だちの友だちの付き合いでここにいなければならず、カムパネルラは「ジョバンニと話したいけど、近づけないな今は」という申し訳ない目で見ています。

ジョバンニが最悪の一日を過ごした日は、町で一番の大きなお祭りの日でした

父親をバカにされ、放課後のバイトがきつく、お母さんが病気で、牛乳が届いていない、牛乳屋さんがマニュアル対応、帰り道、ザネリ一味に遭遇……
そんな日が、町で一番の大きなお祭りの日だったのです。

ザネリたちはお祭りに行きますが、ジョバンニはその逆方向に走り出します。
ジョバンニは一人になりたくて、丘の上に登りました。

あまりに辛いジョバンニは、丘の上で仰向けになり、空を見上げました。
すると、星空がキラキラと輝きだし……

ジョバンニが目を開くと、列車の中にいました。
ここからが、銀河鉄道の始まりです。

いきなり列車の中にいるというのが「銀河鉄道の夜」の演出です。
ジョバンニが「えーっ!?」と驚かなかったのは、目の前に「ある人」が乗っていたからです。

ジョバンニの目の前に座っていたのはカムパネルラでした。
あれだけ話したかった、二人きりになりたかった憧れの親友が、目の前にいたのです。

そこでカムパネルラは口を開き、こう言いました。
「ザネリはもう帰ったよ。お父さんが迎えにきたんだ」
「お母さんは、僕を許してくださるだろうか?」

この2つの言葉は、後にその意味が明らかになります。

銀河鉄道 路線図

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[出典:https://ehon-kibun.com/movie/ginga-tetsudo-no-yoru_20170127/]

左下の北十字星から、右上の南十字星を目指します。
ここに出てくる星は、全て実際にあります。
天の川に沿って、北十字から南十字に向かう列車です。

列車が最初に到着するのは白鳥の停車場

白鳥座の近くの停車場に着き、ジョバンニとカムパネルラは降りてみます。
駅舎はありますが駅員は誰もいません。

なんだかボーっと周りが光っていて、降りてみると川が流れています。
河原の砂利には水たまりがあり、そこに足をつけると、その瞬間、水がポッと光ります。

砂利を手ですくうと、全部きれいな水晶で、そこはすべて、美しい宝石や不思議な液体で満たされていました。
この景色はとてつもなく美しく、一番ファンを魅了する場面です。

右下に櫓のようなものが見えますが、「三角標」というもので、昔地図を作る際に測量で使われていたものです。
その三角標がぼんやりと光り、「銀河ステーション」という声が聞こえます。

一面の星空が光を増し、まるで降り注ぐかのようです。
ジョバンニが目を開くと、そこは列車の中でした。

窓から外を覗くと、ススキが銀色にたなびいていたり、地面にはリンドウの花が咲いていたり、野原一面に、リンドウの花がぼんやりと光っていて、三角標が青白い光をたたえながら、そこここに佇んでいます。
列車の線路に平行して、たくさんの白鳥が舞います。

河原には、ぼんやりと光る不思議な水と、水晶や宝石でできた煌びやかな砂。
こんなに幻想的で、美しい風景を眺めながら旅ができるのが「銀河鉄道」なのです。

「銀河鉄道の夜」は宇宙旅行ではありません。
「銀河鉄道999」は、惑星の間を宇宙船が旅行し、現実にある宇宙を旅行しているという設定でした。

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しかし「銀河鉄道の夜」は宇宙ではなさそうです。
草花が生え、鳥が飛んでいるからです。

しかし、現実の岩手でもないようです。
これは、天の川の輝きと、岩手の美しい風景の間の世界で、完全に宮沢賢治のオリジナルの世界です。

輝いていた三角標は、夜空の星と同じように置かれていて、水が流れる川が天の川を表しています。
岩手県には、北上川という縦に流れる大きな川があり、それに沿うように岩手軽便鉄道が走っています。

その岩手の原風景と、天の川とを合わせた世界、それを完全にオリジナルで作っているので、この風景に魅了されたファンは何度でも読みたくなるのです。
ぜひ、本を買って読んでみてください。

鷲の停車場で大勢の人が乗ってきます

それまでも、いろんな駅で人が乗ってきたりしていました。
ぞろぞろと乗ってきた人に「どこから乗ってきたんですか?」とジョバンニが聞いてみました。

青年「私たちが乗っていた船は氷山にぶつかり、座礁したせいで沈みました。それで今ここにいます」
「どういうことなの?」とジョバンニは思います。

実はこの船、非常に有名な船で、青年達が乗っていた船は「タイタニック号」でした。
タイタニック号の事件は、賢治が16歳の時に起きた事件で、思春期に起きた強烈な大事件だったのです。
それを賢治は、自分の作品に取り入れたのでした。

「タイタニック号に乗っていた人が乗ってくるということは、彼らはもう死んでいる?」とジョバンニはそう思うのですが、カムパネルラにも彼らにも聞けません。
すると、ドボルザークの「新世界より」が聞こえてきました。
何かが終わるときによくかかる曲で、まるで何かを暗示しているかのようです。

そうこうするうちに、列車は終点である南十字に向かいます

この旅は、十字から十字へ向かう旅です。
それも全て、何かを意味していたのかも知れませんね。

南十字星には、大きくて光り輝く十字架がそびえたっていて、全ての乗客がぞろぞろと降りていきます。
ジョバンニは「ちょっと待ってよ、行かないで」と言いますが、みんな「ハレルヤ、ハレルヤ」と言いながら、十字架のほうに歩いていきます。

すべての乗客は降りて、気がつくと列車の中には、自分とカムパネルラだけになっていました。
そして列車は、終点を超えて少し走りだすのですが、そこは闇の中の方に近づいていくのです。

ジョバンニは不安になり、カムパネルラに何度も言います

「カムパネルラ、僕たち、ずっと一緒にいようね」
「カムパネルラ、お願いだから、一緒にいてね。一緒にいようね」

カムパネルラに何度も確認し、最後に確認した一言のとき、ふとカムパネルラを見ました。
ジョバンニが振り向くと、カムパネルラはいなくなっていました。
ジョバンニは、涙を流して「カムパネルラ!」と叫びました。

銀河鉄道の旅が終わり、元の丘の上で目が覚めました

夢だったのか何だったのかと思いながら、ジョバンニはぼんやりとしながら丘を下っていきます。
すると、川のほうに人だかりができていたので「何があったんですか?」と聞いてみました。

「子どもが川に落ちたんだよ」
「誰ですか?」

「落ちたのはザネリだ」
「ザネリはどうなったんですか?」

「ザネリは助かったよ。助けてくれたんだ、友だちが」
「誰ですか?誰がザネリを助けたんですか?」

「カムパネルラだ」
「カムパネルラはどうなったんですか?」

するとそこに、カムパネルラのお父さんがいて、こう答えました

「もうダメです。落ちてから45分が経ちましたから」

ここでようやく、すべての謎が明らかになります。
銀河鉄道に乗ったとき、最初にカムパネルラが言いました。

「ザネリはもう帰ったよ。お父さんが迎えにきたんだ」は「ザネリは生き返ったよ。お父さんのもとへ戻れたんだ」

「お母さんは、僕を許してくださるだろうか?」は「友だちのために自分の命を投げ打ったこの僕を……」

衝撃の事実を知ったジョバンニは、呆然として家路につき、物語はここで終わります。

あまりにも悲しい終わり方です。
あれだけ銀河鉄道が美しかったので、終わり方の悲しさ、その衝撃があまりにも大きいです。

賢治はこの話を通して何を伝えたかったのか、それを知る鍵は「カムパネルラの死に方」と「銀河鉄道の美しさ」

そのヒントになるのが、宮沢賢治のもう一つの代表作「雨ニモマケズ」

amenimomakezu
[出典:http://www.asahi-minoonishi.com/top-page/amenimomakezu/]

雨ニモマケズ風ニモマケズ、何をしているかというと「人のために」尽くしています。
つまり、雨ニモマケズにタイトルを付け足すとしたら、雨ニモマケズ「ダレカノタメニ」。

「ソウイウモノニワタシハナリタイ」の「ソウイウモノ」とは誰なのでしょうか?
宮沢賢治が理想とする生き方をした人としての象徴、それこそが「カムパネルラ」。

「ソウイウモノ」とは、カムパネルラのことではないでしょうか。
この二つの作品は全く違う作品のようで、一つの事を言っているようにも見えます。

宮沢賢治が作品を通して伝えたかったのは「人のために生きることこそが本当の幸せ」

とても大きなテーマですよね。
宮沢賢治は、「すごく純粋で理想の高い人」だと思います。

人のために生きることの究極が「自分の命さえも惜しまない」。
あまりにも美しく素晴らしい事です。

「きれいごとだ」と済ませる人もいるでしょうが、宮沢賢治の考え方はそういう風には思われないで、日本人の心に届いている事が多いです。
それは、「雨ニモマケズ」の発表のされ方にありました。

実は「雨ニモマケズ」という詩は作品ではなかったのです

「雨ニモマケズ」の詩は、死を目前にした賢治が、自分のために書いたメモでした。
どこかの出版社に持ち込んだわけでも、誰かに見せたわけでもなく、病の床で、死の危機を感じながら、自分に宛てて書いたメモでした。

それが賢治の死後に発見され、みんなの目に触れ、我々に届いたのです。
自分だけのために書いていた、その背景も含めて、宮沢賢治の考え方に触れることが出来るのです。

そしてまた「銀河鉄道の夜」も、未発表の作品でした

死の直前まで推敲に推敲を重ねていた「自分のための作品」だったのですが、死後に発見されて人に届いた、ということなのです。
つまり宮沢賢治にとって、死はすごくリアルなところにあり、だからこそ、彼にしか言えないメッセージをそこに託しました。

「銀河鉄道がなぜあんなに美しかったのか」それは、宇宙と岩手の間でありながら、天国と現世との間でもあったからではないでしょうか?
日本人にとって、とても癒される美しい天国への旅立ち方を、賢治独特の優しさで演出したのかも知れません。

「銀河鉄道の夜」から学びたい教訓

”死ぬことは悲しいし怖い、でも、人のために生きたという充実感があれば、納得して旅立てるのかもしれない”

地元の岩手の人から「賢治」と下の名前で呼ばれているのは、作品以上に彼自身が愛されているからなのです。
つまり、彼の本当の代表作は、「銀河鉄道の夜」「雨ニモマケズ」以上に、「宮沢賢治という生き方」そのものだったのかも知れません。
[出典:2017年1月23日(月)「しくじり先生 俺みたいになるな!! 3時間スペシャル 」]

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