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ムヒカ大統領「世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ」演説動画日本語意訳書き起こし

      2016/04/13

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2012年、ブラジルのリオデジャネイロで国際会議が開かれました。

環境が悪化した地球の未来について、話し合うためでした。

世界中から集まった各国の代表者は、順番に意見をのべていきました。

しかし、これといった名案は出ません。

そんな会議も終わりに近づき、南米の国ウルグアイの番がやってきました。

演説の壇上に立ったムヒカ大統領。

質素な背広にネクタイなしのシャツすがたです。

そう、かれは世界でいちばん貧しい大統領なのです。

給料の大半を貧しい人のために寄付し、大統領の公邸には住まず、町からはなれた農場で奥さんとくらしています。

花や野菜を作り、運転手つきの立派な車に乗るかわりに古びた愛車を自分で運転して、大統領の仕事に向かいます。

身なりをかまうことなく働くムヒカ大統領を、ウルグアイの人びとは親しみをこめて「ペペ」とよんでいます。

さて、ムヒカ大統領の演説が始まりました。

会場の人たちは、小国の話にそれほど関心をいだいてはいないようでした。

しかし演説が終わったとき、大きな拍手がわきおこったのです。


世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ [ ホセ・ムヒカ艸場よしみ ] 汐文社

[出典:Amazon.co.jp 世界でいちばん貧しい大統領のスピーチの商品説明]

 

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ホセ・ムヒカ大統領スピーチ日本語訳書き起こし

この会場に出席されておられる、世界各国の代表の皆様、ありがとうございます。

ご招待いただいたブラジル国民、そしてジルマ・ルセフ大統領閣下(Dilma Vana Rousseff)に感謝いたします。

これまでに発言された全ての方々が表明された精誠にもまた大いに感謝いたします。

一国家指導者として、貧しい人々のための取り決めづくりに、仲間として共に参加することをここに表明いたします。

しかし、私の中にあるいくつかの厳しい質問を声高にすることをお許し願いたいと思います。

午後からずっと私達は、「持続可能な発展」と「世界の膨大な数の貧困者対策」について話し合ってきました。

しかし、私たちの本音は何なのでしょうか?

現在の裕福な国々の消費モデルを真似し、発展を続けることが本当に豊かなのでしょうか?

質問をさせてください。

ドイツ人が一世帯で持つ車と同じ数の車を、インド人もまた持つとしたら、この地球はどうなってしまうのでしょうか。

私たちが呼吸できる酸素はどれくらい残されるのでしょうか。

もっとはっきり言いましょう。

例えば、最も裕福な西側諸国と同じようなレベルで、70億~80億の人々に消費と浪費が許されるとしたら、それを支えるだけの資源が今の世界にあるのでしょうか?

それは可能ですか?

それとも別の議論をしなければならないのでしょうか。

なぜ私たちはこのような社会・文明を作ってしまったのでしょうか?

私たちは市場と競争社会から、文明という落とし子を生み出し、物質面での驚異的な進歩をもたらすと共に、無限の消費と発展を求める社会を作って来たのです。

市場経済(マーケットエコノミーmarket economy)が市場社会をつくりだし、それを世界規模に拡大してしまいました。

いわゆるグローバリズムです。

このグローバリゼーション(Globalization)が、世界のあちこちまで原料を探し求める社会にしたのではないでしょうか。

そのグローバリゼーションを、私達はコントロール出来ていますか?

逆にコントロールされてはいないでしょうか。

このような残酷な競争で成り立つ消費主義社会で、「みんなで世界を良くしいきましょう」というような共存共栄主義的な議論が、本当にできるのでしょうか?

私たちは本当に仲間なのですか?

私は今回の会議を否定するために言っているのではありません。

違います、逆です。

我々の目の前にある巨大な危機・困難な問題は、決して環境問題ではなく、明らかに政治的な問題なのです。

現代に至っては、人類が作った消費社会をコントロール出来ていません。

逆に、人類のほうがその消費社会の強力な勢力にコントロールされているのです。

私たちは発展するためにこの地球にやってきたわけではありません。

幸せになるためにこの地球にやってきたのです!

人生は短く、あっという間に過ぎてしまいます。

しかし、その人生こそが何より価値あるものなのです。

命よりも高価なものは存在しません。

*ハイパー消費(Hyperconsumerism)が世界を壊しているのにも関わらず、高価な商品やライフスタイルのために人生を放り出しているのです。

※管理人註:ハイパー消費とは …… 造語 Hyper + consumerism 直訳>>超消費 行き過ぎた消費のこと

余計なものを買うために、もっともっとと働いて人生をすり減らしているのは、消費が「社会のモーター」となっているからです。

なぜなら消費が止まれば経済が麻痺してしまい、経済が麻痺すれば不況という化け物が私たちの前に姿を現します。

この行き過ぎた消費主義こそが、地球を傷つけ、さらなる消費を促しています。

商品の寿命を縮め、できるだけ多く売ろうとします。

今の社会で生き残るためには、1,000時間もつような電球をつくってはいけないのです。

本当は10万時間、20万時間ももつ電球はあるのに、そんなものはつくらないのです。

なぜなら我々はもっと働き、もっと売るために、「使い捨て文明」を支える悪循環の中にいるからです。

これはまぎれもない政治問題です。

私たちは、今までと違う文化のために闘い始めなければなりません。

そのため私たち首脳は世界を導かなければなりません。

「石器時代に戻ろう」とは言っているわけではありません。

このままずるずると消費主義に支配されるわけにはいかない。

私たちが消費主義をコントロールしなければならないと言っているのです。

ですから私は、これが政治問題だと言いました。

とても謙虚な思いからです。

いにしえの賢人たち。エピクロス(Epikouros)セネカ(Lucius Annaeus Seneca)、そしてアイマラ族たちは、次のように言っています。

「貧乏なひととは、少ししかものを持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ」と。

大切なのは、考え方です。

だからこそ、皆さんと共にこの会議に参加し、国家指導者として、皆さんと共に努力したいのです。

私の発言は皆さんを怒らせるかもしれません。

しかし気づかなくてはいけないのです。

それは、「水資源問題」や「環境の危機」が、問題の本質ではないということです。

見直すべきは私たちが築いてきた文明の在り方であり、私たちの生き方です。

根本的な問題は私たちが実行した社会モデルなのです。

そして、改めて見直さなければならないのは私たちの生活スタイルだということです。

なぜそう思うのか?

私は環境に恵まれた小さな国の代表です。

人口は300万人ほど、いやもうちょっと……320万人ほどしかいません。

しかし、世界で最もおいしい牛が1300万頭、また素晴らしい羊が800万から1000万頭。

食べ物、乳製品、そして肉の輸出国です。

国土の90%が有効に使えるほど豊かな国なのです。

働き者の我が国民は一生懸命8時間働きます。

今日では6時間働く人が増えています。

しかし6時間労働の人は、その後もう一つの仕事をします。

なぜか?

たくさんの支払いがあるからです。

バイクやマイカーのローンを次から次へと支払っているうちに、私のようなリウマチ持ちの老人になって人生が終わってしまうのです。

そして自分に問いかけるのです。

……これが私の一生だったのか、と。

私の言っているの事はとてもシンプルで基本的なことです。

『発展は幸せの邪魔をしてはならない』

発展というものは、人類の本当の幸福を目指さなければならないのです。

『人類の幸せ』

『愛』

『子育て』

『友達を持つこと』

そして『必要最低限のもので満足する』ためにあるべきものなのです。

なぜなら、それらこそが一番大事な宝物なのですから。

環境のために闘うのならば、一番大切なのは、『人類の幸せ』であることを忘れてはなりません。

ありがとうございました。

(了)

 

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