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映画《ソロモンの偽証 後篇・裁判》 完全ネタバレ結末・詳細あらすじ・感想・批評

      2016/05/22

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映画「ソロモンの偽証 後篇・裁判」のあらすじと考察・感想

1991年7月26日、公衆電話から、「私が告発状を書いた」と電話をしている樹里の母・未来。
電話の相手は、樹里がメールを書いていた茂木でした。
「大出の家が火事になったのはうちの樹里のせい」という噂になっていると、興奮して思わず口走りながら、マスコミの力で裁判を止めてほしいと頼みます。

茂木は涼子に、樹里の母から電話がきたことを告げます。
茂木は番組に協力してくれと頼みますが、涼子は茂木の番組が真実を伝えていないと言います。
涼子は、森内の隣人の女が告発状を盗んだことを証拠の写真を見せて説明し、森内が茂木を訴えると言っていると告げます。

涼子と向坂は樹里の家を訪ね、樹里が告発状を書いたのかを聞きます。
樹里に、裁判に証人として出てくれるよう頼みます。

涼子が樹里に渡した連絡先を破りすてた母に、「あんたがここまでバカだとは思わなかった」とホワイトボードに書く樹里。
泣きだす母を一瞥して部屋を出る樹里。

大出 勝の逮捕

大出の父・勝が、刑事に逮捕されました。

喫茶店で涼子と涼子の父・剛を前に、「大出の父が逮捕されたのは、保険金目当ての自作自演だったからでは?」と聞く神原。
同じ日に、不動産会社・ユニバーサル興産の社員が逮捕されていました。
卓也が亡くなった夜、ユニバーサル興産の社員が大出家に来ていたことを大出の母から聞いたという神原。
神原は、逮捕されたユニバーサル興産の社員が、大出があの夜に家にいたことを証言してくれれば、アリバイが実証できると考えたからでした。
しかし、刑事の剛は、彼らの裁判にそういう人を出廷させることはできないと言います。

その日の夜、卓也に「口先だけの偽善者」と言われたときのことを両親に話す涼子。
「怖くて助けに行けなかったのに、言い訳している自分が死ぬほど嫌だった。だから柏木くんがいなくなればいい、何度も消えてほしいって、そう思ったの」
「お前がそう思ったから、柏木くんは死んだわけじゃない」という剛。
卓也の遺体を発見したとき、また同じ目で見ていた、まだ何か言いたかったんじゃないかと思ったという涼子。

涼子の話を聞き、夫婦で話し合う剛と邦子。
「自分の家族だけはそうじゃないと思っていた。でも、あのままあの子が死んでいたら、どんなに傷ついてたか知らないままだった」という剛。
「あなただけじゃない、私も、自分が望んでるあの子しか見ようとしなかった」という邦子。
「容疑者を連れていくことは出来なくても、方法がないわけじゃない」という剛。

神原 VS 大出

神原の自宅にやってきた健一。
自宅にいたのは、神原の実母の親友だった神原歩美と兄の神原悟でした。
父の事件の後、子どものいない自分たちの子どもにと、彼らを引き取っていたのでした。

大出の自宅にやってきた神原と健一。
裁判に出るように説得する神原に、缶コーヒーを頭からかけ、「人殺しの息子だから」と罵声を浴びせる大出。
やめさせようとする健一を突き飛ばす大出。

「どうして腹が立たないの?」(健一)
「彼の言うとおり、将来父と同じようになるかも知れない」(神原)
「よくそれで生きていられるな、死んだほうが楽になれるんじゃないか?」(大出)
「僕には、将来のことに怯えている時間なんてない。あるのは今だけだ」(神原)
「僕は辞任しない、それが嫌なら解任しろ」と迫る神原に背を向けて自宅に戻る大出。

裁判の準備をしている涼子たちの教室に北尾がやってきて、大出の母親が大出が裁判に出ることを連絡してきたと伝え、みんな喜んでいます。
思わず神原に抱きつく井上。

卓也の電話の通話記録

卓也の家にやってきた涼子たち。
父の柏木則之が、卓也の通話記録を持ってきました。
大出が電話で呼び出したのなら、相手先不明の4つの中の1つだと考えた涼子たち。

電話をかけると公衆電話につながり、電話に出たのは電器店の主人・小林修造。
4つの電話は全て公衆電話につながりました。
4つの電話は、午後4時すぎから7時半の間に、1時間おきに異なる場所からのものでした。
公衆電話付近で大出たちの目撃情報を聞いて周る健一たち。
最後の電話をかけているのを見たのは小林でした。
大出たちの写真を小林に見てもらいますが、半年前の記憶は定かではありませんでした。

森内を襲う隣人の女

引越しの準備をしていた森内がインターホンに返事をして外に出ると、ビール瓶を持っていた隣人の女・垣内美奈絵が立っていました。
垣内に頭をなぐられ、血の海の中に倒れている森内。
返り血を浴びて立ち尽くす垣内の姿。

病院に駆けつける涼子たち。
待っていた北尾に、自分が茂木に話したせいだという涼子。
それに対し、側にいた調査事務所の河野良介が「茂木に彼女を捜してくれと頼まれたが断った。誰も彼女の行方を知らず、茂木が接触することは不可能だったはず」と説明します。
涼子に「お前が心配することは何もない」と言う北尾。

樹里の部屋に行く涼子

吹奏楽部の「松子の追悼演奏会」に来ていた松子の両親と話す涼子。
「樹里ちゃんがついたウソを、松子と同じようにあなたも信じてあげるってことなのね」という母の敏江。
証言すると言う敏江ですが、父の洋平は裁判を面白く思っていません。
クラリネットを吹いていた松子の好きだった曲が演奏されました。

母・未来に、「藤野さんと二人で話がしたい 連絡して」とホワイトボードに書く樹里。

樹里の部屋に来て、二人で話す涼子。
ドアの外で聞き耳を立てる母を追い返す樹里。
樹里が机の中から出したのは、たくさんの嫌がらせの手紙。
「ひどい」という涼子に、「ママ・・・隠してた・・・」
「声出るようになったの?」と聞く涼子に、「泣いたら、声が出た」
「私、裁判に出たい。松子と一緒に本当に見たの」という樹里に、あの雪の晩にどうして屋上にいたのかと聞く涼子。
「お願い、本当のことを教えて」と迫る涼子。
「本当のことを裁判で話す。だから出させて」という樹里に、「わかった、私も協力する」という涼子。

神原を疑う涼子

涼子は神原に、「公衆電話で卓也に電話をしたのは誰だと思っている?」と聞きます。
「本人だ」と答える神原。
どうして卓也が自宅に電話をするのかと聞く涼子に「出先から、お父さんお母さんと話そうとしたんじゃないかな」という神原。
「卓也が自殺を迷っていたのではないか」という神原。

小林に卓也の写真を見せる涼子ですが、「どれも違う気がする」と答える小林。
神原の仮説が否定され、神原に対して疑惑を深めていく涼子。
神原が卓也の葬式に来ていたこと、中学に入ってから会った事がなく、亡くなったのもテレビで知ったと言っていたことが思い出され、神原を疑わしく思う涼子。

最終リハーサルを前に、神原と2人きりになった涼子は、「聞きたいことがある」と話を切り出します。
卓也の葬式に来ていたのに、どうしてテレビを見て知ったとウソをついたのかと聞く涼子。
涼子は神原に近付き、「あなた、何者なの?」「答えて」と詰め寄ります。
「今はまだ、話せない」という神原。
「隠してることがあるって認めるのね」という涼子に、「ぼくはこの裁判から、逃げも隠れもしない、それだけは信じてほしい」という神原。

1991年8月15日、迎えた裁判の初日。

松子の両親、卓也の両親、神原の育ての母、裁判に反対していた教員たち、津崎元校長、茂木も来ているなか、井上判事の入場。
井上のマント姿を茶化す生徒たちや、面白半分に参加している人たちに大声を出す松子の父。
「この子ら死に物狂いでやってきたんだよ。うちの松子や柏木くんて子が、なんで死ななきゃならなかったのか、この子ら必死で見つけようとしてんだよ、頼むからやらしてやってよ、お願いします」と頭を下げる洋平。
この言葉で、静かになる会場。

最初に、この裁判の目的を説明する井上判事。
初日の証人は、一貫して自殺と断定している佐々木刑事。
尋問を始める神原弁護人。
何度も補導していることから、大出の性格を把握しているという佐々木刑事。
反対尋問をする検事の涼子。

次は津崎元校長。
神原の質問に、卓也が登校拒否をしていた、人生に失望しているように見えたと証言。
告発文を隠蔽したせいで松子が亡くなったと追及する涼子。
自分の責任だったとミスを認める津崎に、「誰よりも自分たちのことを思ってくれていた」と感謝の想いを伝える涼子。
涼子に続いて次々と頭を下げる生徒たち。

次は、元2年A組の担任・森内が、頭に包帯を巻いて登場。
森内を襲った垣内の設明をしながら、「私たちに、彼女を責める資格があるのでしょうか?」という涼子。
「自分もウソつき呼ばわりした」と、頭を下げて謝る涼子たち。
神原の質問に、教師2年目の自分にとって、卓也は扱いづらい難しい生徒だったと話す森内。
卓也が亡くなって安堵していると言い、ざわつく会場。
生徒と向き合うことができなかったと謝罪する森内。

8月17日、学校内裁判三日目

母と一緒に裁判にやってきた樹里。

神原と健一を前にして、樹里の証言の間に自分が裁判に出れないことに腹を立てる大出。
大出が威圧することで樹里が話せなくなるからと、涼子が判事に頼んでいたからでした。

真実を述べることを宣誓する樹里。
涼子に、「12月24日の夜、あなたは外出しましたか?」と聞かれ、「私は外出していません」と答える樹里。
事件を目撃したのは松子だと、告発状を書いたのも松子だと話す樹里。
その言葉を聞いて涙がこぼれる涼子。
「疑うなら死んだ松子に聞いて」という樹里に、「よくそんなことが言えるね」と怒り出すまり子。
「本当のことを話して」という涼子。
「今、話しましたけど」という言葉に、再び涙が・・・。
神原が質問しようとすると、「もう何も話すことはない」と言って席を立ち、母と一緒に会場を出る樹里。

8月18日、学校内裁判四日目

放火犯の今野弁護士が、涼子の父と共に出廷。
放火の打ち合わせに来たその日の夜午前0時過ぎに、大出に会ったと言っていたと証言する今野。
アリバイ成立に喜ぶ大出。

その日の午後、大出本人の証言。
自分がどうしてハメられたのか心当たりはないかと聞く神原。
次々と大出の蛮行を並べ立て、これらは事実ですかと聞く神原。
最後には、「ちょっとふざけただけだよ」と、やったことを認める大出。
「いじめられた人の気持ちを考えたことはありますか」と聞く神原。
涙を流す樹里。
「たしかに大出くんはハメられました。もちろん、そんなやり方は間違っています。ぼくにも差出人の気持はわかります。あの告発状を出さなければきっと生きていけなかった、あれは差出人の命綱だったんです。生きていたいという心からの叫びだったんです。どんなに苦しかったか想像してください。君がそこまで追い詰めたんですよ」
神原の強い言葉に、突然失神して保健室に運ばれる樹里。

保健室での樹里と涼子

保健室のベッドに横たわる樹里。
様子を見にきた涼子に「何しにきたの」という樹里の母。
涼子と2人にさせてと、母に頼む樹里。

「私の味方をして、彼は何の得になるの?」という樹里に、「神原くんは三宅さんを救いたかったんだと思う」という涼子。
「私が何であいつに助けてもらわなきゃいけないの?」という樹里。
「私たちは、あなたを傷つけたくて裁判をしているんじゃない。だから、信じて。明日かならず来て。私があなたを守る」という涼子。
「私には、もう誰も味方なんかいないんだよ」という樹里。

どしゃぶりの雨の中、松子と話す樹里

「あんたも共犯なんだよ、自分だけ助かろうとしても無理だからね」(樹里)
「卑怯だよ」(松子)
「騙されたあんたがバカなだけじゃん」(樹里)
「私を裏切るつもり?」という樹里の言葉に首を振り、泣きながら走り出した松子は、樹里の目の前で事故に遭ったのでした。
(このシーンはただの回想なのか、涼子にこのことを話したのかはよくわかりません)
泣きだす樹里の下に駆け寄り、出て行くようにいう母。
「明日待ってるから」といって保健室を出る涼子。
樹里を抱きしめ、「ママだけなんだから、樹里ちゃんのこと守るの」と言う母。(永作さんの演技が迫真すぎます)

神原の両親に、4つの電話ボックスの写真を見せる涼子。
最初にかかってきた電話ボックスがあった場所の宮川産婦人科医院は、神原が生まれた病院でした。
神原が事件前に両親と住んでいた団地もありました。

8月19日、学校内裁判 最終日

新たに2人の証人を呼ぶことになった涼子。
しかし、2人目の証人の名前は書かれていませんでした。

1人目の証人とは、電器店の主人・小林でした。
小林が会った少年こそ、卓也と最後に話をした人物だという涼子。
「その少年はここにいるよ」と言って、神原を指さす小林。
騒然とする会場。

涼子が2人目の証人として名前を呼んだのは神原でした。
井上判事に呼ばれ、裏に回った涼子と神原。
涼子が神原にお願いしていたと言い、神原は「ぼくに話す機会を与えてください」と井上に言います。

神原は証言台に立ち、真実を話すことを宣誓します。
卓也に電話でどんな話をしたのか尋ねる涼子。
この4ヶ所を順番に回って指定された時間に電話をかけるのが卓也に指示されたルールだったと説明する神原。
「2人の間では意味のあるゲームでした」

卓也に呼びだされた神原

卓也に呼び出されてやってきた神原。
「人間と話すの久しぶりなんだよね」(卓也)
「死のうと思ってる」(卓也)
「死ぬのはダメだ」(神原)
生きている意味を神原に聞く卓也。
「親があんな風に死んじゃって、なんで普通に生きてられるの?」(卓也)
「平気じゃないよ、けどもう忘れたいんだ、あの事件のことは」(神原)
「結局君は、自分の過去から逃げてるだけなんだよ。だからそうやって、口先だけの偽善者のようなことしか言えないんだよ。そんな奴の言葉がなんで心を動かすんだよ」(卓也)
「じゃあ、どうしたら、口先だけじゃないって信じてくれるの?」(神原)

卓也は「家族との思い出の場所を巡り、どう感じたかを教えてくれれば自殺はやめる」と神原と約束しました。
「過去と向き合うのは辛かったけど、それ以上に楽しかった思い出も思いだせた」という神原。
「7歳のときにはわからなかったけど、今になってわかることもありました。それはきっと、今の父と母のおかげなんだと思います」(神原)
「ゲームを終えて神原の顔を見るまでは、神原の気持を聞きたくない」と言っていた卓也。

最後の電話ボックスから電話をかける蒲原。
「もう遅いから明日にしてくれないか」(神原)
「ダメだ、今日のうちに会いたい」(卓也)
「頭も体もクタクタでもう無理、行かないよ」(神原)
「11時半に、三中の屋上で待ってる、必ず来いよ。今日中に会えなきゃ死ぬから」と一方的に告げる卓也。

屋上での卓也と神原の会話

神原が屋上に行くと、金網の前に立っていた卓也。
「悪いことも思い出したけど、良いことも思い出した」(神原)
「本当は傷ついているのに、ウソをついている」(卓也)
「ゲームをやって良かったと思っている」(神原)
「本気でそう思ってるなら、その方がもっと悪い」(卓也)
「お前が本当にそう思ってるんなら、救いようがないって言ってるんだよ」(大声で叫び、さらに神原を侮辱する卓也)
「ぼくはそれでも生きて行く、もうゲームは終わったんだ」(神原)
「勝手に終わらせるなよ、アル中の人殺しの息子が、偉そうに命令するな。君も大人になったらアル中になって、奥さんを殴り殺すんだよ、7歳になった自分の息子もね」(卓也)
「君に、そんなこと決められたくない」(神原)
「決まってるんだよ、お前みたいな悪い血の人間は、生きてちゃだめなんだよ、クズだよ虫けらだよ」(卓也)
「ぼくたち、友達じゃなかったんだね。ぼくには、もう無理だよ」(そう言って帰ろうとする神原)
突然「ワ―!」っと叫び、金網を乗り越え、「お前が帰るなら、今すぐ飛び降りてやる」(卓也)
「好きにしろよ、そんなに死にたきゃ勝手に死ね」(そう言って走り去る神原)
空を見上げ、しばらくして飛び降りる卓也。

下される判決

「柏木くんが、屋上から落ちて死んだことを知ったのはいつですか?」と聞かれ、「次の日、ニュースで知りました」という神原。
「このことを誰かに話しましたか?」と聞かれ、「話しませんでした、誰にも言えないと思いました」と答える神原。
大出が殺していないことを初めから知っていたと聞き、神原に食って掛かる大出。

警察に行くなり、卓也の両親に話すなり、他の方法があったのではと聞く涼子。
「警察に行っても、柏木くんのご両親に話ても、ぼくは裁かれません。助けが必要な柏木くんを、僕は見捨てて逃げたんです。ぼくには殺意があったんです。それに、僕がすべてを明らかにしていれば、きっと浅井さんも死ななくて済んだ。この法廷で裁かれなきゃいけないのは大出くんではなく、僕なんです。僕を、殺人罪で裁いてください」(神原)

陪審員によって判決が言い渡されます。
証人席に立つ大出。
「無罪」の判決をくだされる大出。

終わらせようとする井上判事に、「勝手に終わらせるなよ、ちゃんと僕を罰してくれ」という神原。
「この裁判は、誰も罰しない、それ以前に、ここは君を裁く法廷じゃない」という井上。

「誰もあなたを裁けない」

涼子は立ち上がり、神原に向かって言います。
「裁かれなきゃいけない人間はあなただけじゃない。樹里と松子が大出に殴られているのに、怖くて助けられなかった。松子がいたから、樹里は卓也のように死なずに済んだ、あの時自分に勇気があれば、松子は死なずにすんだかもしれない」
「ごめんなさい三宅さん、ごめんね松子ちゃん」

そのときに卓也に見つかり、ひどいことを言われた涼子でした。
「でも、神原くん、屋上で言ったんだよね、それでも僕は生きていくって。私もそう思った、同じようにそう思ったの。だから私は、あなたを裁けない、ここにいる誰もあなたを裁けない。自分の罪は、自分で背負っていくしかないんだよ、いつか乗り越えるために」
そう言って、倒れる涼子。
北尾に、「判事!」と呼ばれ、「これをもって、学校内裁判を閉廷します」という井上。

校庭に出た涼子たち

校庭に出て、大出に殴られることを覚悟した神原でしたが、意外にも大出は握手してきました。

樹里は校庭で、松子の両親に謝りにきました。
洋平は行こうとしますが、敏江はとどまります。
「私、松子のせいにしたこと・・・」という樹里に敏江は、「松子、樹里ちゃんのこと、ずっと見守ってるよ」と言います。
松子の遺影を抱いて泣き続ける樹里でした。
その肩をやさしく抱きしめる敏江。
その様子を見ている涼子たちです。

現代に戻り、「14歳だからできたことでした」と語る中原涼子。
「あれからこの学校では、いじめも自殺も起きていないの。今日の話を聞いて思った。心の声にふたをすれば、自分が見たいものしか見えなくなるし、信じたいことしか信じなくなる。そのことが一番怖いことなんだなって」(上野校長)
その後、ほかの人たちはどうなったの?と聞く上野校長。
涼子の答えは「私たち、友だちになりました」

最後に、校門を出て「ばいばい」とそれぞれの家路につく涼子たちの姿で映画は終わりました。



考察・感想

前篇2時間、後編2時間半、長い映画をやっと見終わりました。
「なぜ人は生まれ、何のために生き、いかに生きるべきか?」という難しい問題がテーマでした。
「ソロモンの偽証」のタイトルについて、こんな文章を見つけました。

『ソロモンの偽証』の「ソロモン」は、古代イスラエルの国王、「ソロモン王」からの発想のようです。
ソロモン王は、賢い裁きをする人の象徴、知恵の象徴として引き合いに出されたりします。
日本では、「大岡裁き」の名で伝えられている、代表的なエピソードがあります。
大岡裁きとは:二人の女性が、子供の母として名乗りを上げた時、ソロモン王は「では、子供の手を二人で引っ張って、勝ったほうが実の母と認めよう」と提案する。一方の女性は力ずくで手を引き、もう一方の女性は子供が泣いたので手を離した。ソロモン王は手を離した女性を実の母と認めた。元祖はソロモン王のエピソードだったわけです。

では、そんな賢い人が偽証したら?
そもそも小説の中で、誰がソロモンなのか? 偽証しているのは誰?

[出典:ソロモンの意味について( Yahoo!知恵袋 > http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1396183863]

観た感じ、ソロモンは神原和彦のように感じました。
彼は、学校内裁判の中では偽証はしていませんでしたが、卓也の死の真相を知っているのに、警察にも卓也の両親にも誰にも言いませんでした。
しかし、よく考えてみると、神原に限らず、人はウソをつかずには生きていけないと思います。
卓也は、「ウサギのように」無垢で純粋に、ウソをつかずに生きようとしました。
ウソをつかないとは、自分に正直に生きること。
思ったことを口にし、思ったことを行動に移す。
だから、人間社会が嫌になれば引きこもりになり、死にたくなったから死ぬと。
神原に執拗に悪口を言って罵ったのも、心に思っていることを正直に言ったまでのこと。
しかし、ウソにまみれ、矛盾にまみれ、不条理が蔓延しているこの世の中で、自分に正直に生きることなんてできるでしょうか?
人間社会で生きている以上、自分の思った通りに口にしたり、自分の思うままに行動していたら、周囲から孤立してしまいます。
その結果、卓也のようにならざるを得ません。
涼子も、いじめはいけないと言いながらも、いじめを止めることができませんでした。
判事を務めた秀才の井上や、他の生徒たちだって、大出たちを恐れて、いじめを見て見ぬふりをしたり、卓也の心の闇に関わらないようにしたり。
神原が樹里のことを、「あの告発状を出さなければきっと生きていけなかった」と言ったように、みんな誰でも、生きるために必死になってウソをつくのです。
卓也は、「人間はこうあるべき」という独自の定規からはずれるものを、許すことができなかったのでした。
私自身、いまだに「なぜ人は生まれ、何のために生き、いかに生きるべきか?」の明確な答えには至っていませんが、”「生きていてほしい」と願う人のために生きる”という結論には至りました。
それが昔で言えば、「母」だったり、「愛する人」だったり、今で言えば、「子どもたち」のために生きているという感じです。

聖書に出てくるソロモンの父・ダビデ王は、部下ウリアの妻であるバテシバを奪うために、ウリアをわざと最前線の死地に送って戦死させます。
のちにダビデはバテシバを妻として迎え入れ、生まれたのがソロモンでした。
そんな父を持つソロモンですが、知恵の王として褒め称えられるようになります。
神原も、自分の意志に関係なく、「殺人者の息子」というレッテルを貼られてしまいました。
そういう意味で、神原はソロモンに似ています。
しかし、ソロモンもそうだったように、自分のルーツが問題ではなく、「いかに生きたか」が問題なのです。
大出は毎日父親から暴行を受けていました。
その結果、かよわい女子にさえもひどい暴行をするようになりました。
しかし、神原は、たとえ大出に缶コーヒーを頭からかけられても、たとえ殴られても、決して暴力をふるうことはありませんでした。
自分のルーツである「母を殴り殺した父」の血に対して、必死に闘っていたように見えました。
これからも神原は闘い続けるでしょう。
また、この裁判に関わった大出のこれからが、神原のように「自分の血と闘う人生」になってほしいと願います。(S.A.)

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