バケモノの子 ネタバレ・あらすじ・感想!広瀬すずが声優挑戦で話題に
2016/07/28
映画「バケモノの子」あらすじ・ネタバレ・感想
先日、小学生の息子と一緒に、「バケモノの子」を観てきました。
親子共々「涙腺の弱い」私たちは、涙、涙の映画でした。
復習のために、帰りに書店で、「バケモノの子」の文庫本を買いました。
感動の冷めないうちに、書き留めておきたいと思います。
ネタバレを含んでいますので、自己責任でお読みください。
蓮(れん)
蓮は、熊徹によって、九太(きゅうた)と名付けられます。
映画では、蓮の母が交通事故で亡くなって、親戚がアパートに来ている場面がありますが、お父さんはいませんでした。
離婚しているとだけしかわかりませんでしたが、文庫本を見ると、
本家の叔父・叔母が、「家系唯一の男の子で、大事な跡取り」として、蓮を引き取る為に、無理やり両親を離婚させたのです。
叔父叔母の家(本家)は、都心に不動産をいくつも持つ金持ちです。
母が亡くなって、叔父叔母に引き取られるのが嫌で、蓮は渋谷の街に飛び出しました。
熊徹(くまてつ)
渋谷の路地を決められた通りに進んでいくと、バケモノの住む「渋天街(じゅうてんがい)」に行けます。
渋天街は、世界中のバケモノの街の中で一番賑やかな街です。
バケモノは、人間を含めたあらゆる生き物と、八百万の神々との中間に位置していて、
バケモノの中でも、特別に徳の高い「宗師(そうし)」だけは、希望の神様に生まれ変わることができるのです。
渋天街の宗師・卯月(うげつ)は、高齢を理由に引退を考え、神様に生まれ変わることに決めました。
次の「宗師さま」候補には、「強さ」のみならず、「品格」、「素行」が一流という条件がありました。
それに一番ふさわしいのが、猪王山(いおうぜん)という、イノシシのバケモノでした。
猪王山は、大勢の弟子を抱え、元老院の議員であり、武術館「渋天街見廻組」を主宰して、誰もが認める男でした。
そして、一郎彦(いちろうひこ)、二郎丸(じろうまる)の二人の息子の良き父でもありました。
猪王山の対抗として候補に挙がっているのが熊徹(くまてつ)です。
熊のように毛むくじゃらで、サル並みに動き回る体力があり、武者としては、腕力だけなら猪王山を凌ぐとの噂も。
ただ、粗暴で自分勝手なので、弟子が一人もいなくて、息子なんかはいるはずがありませんでした。
熊徹は、宗師様に、跡目を目指すなら弟子を取れと言われていました。
しかし、弟子になってもすぐにみんな辞めてしまいます。
熊徹は、猿のバケモノの多々良(たたら)と渋谷を歩きながら、人間でも良いから弟子になる奴を探していたのです。
蓮と熊徹との出逢い
蓮は、自分を連れて行こうとする叔父叔母や、自分を助けにこない父のことを考えながら、
胸の中から「大嫌いだ」と響いてくる声を、思わず口に出して叫んでしまい、
注目する大人たちを避けるように、路地裏に逃げ込みました。そこでネズミのチコに出会います。
その後、高架下の駐輪場でうずくまっている所へ、
「人間でも良いから弟子になる奴」を探していた熊徹に、「オメエ、俺と一緒に来るか?」と誘われますが、
多々良が熊徹を引っ張って行き、路地の向こうに消えてしまいます。
蓮は熊徹たちを探しますが、見当たりません。
警官に声を掛けられ、逃げ出した蓮は、熊徹たちが消えた路地に入り込み、
偶然にも決められた通りの道順を通り抜けることで、バケモノの街・渋天街に入りこんでしまいます。
渋天街には、見渡すかぎりバケモノばかり。文庫本では10万3千人。帰ろうとしても、出口が見当たりません。
オオカミのバケモノたちに捕まり、三味線屋に売られそうなところを、
僧侶姿のブタのバケモノ・百秋坊(ひゃくしゅうぼう)に助けられます。
百秋坊は、蓮を元の人間の世界に連れて行こうとしますが、蓮を見つけた熊徹が、
「迷子なんかじゃねえ、今からこいつは俺の弟子だ。」と言います。
そうして、熊徹は蓮を連れていきました。
そこまでして跡目の座がほしいのかと言う百秋坊に、いやいや、あいつは猪王山とのけんかに勝ちてえだけよと多々良が言います。
熊徹もひとりぼちだった
無理やり熊徹に、弟子にさせられた蓮ですが、名前を聞かれても黙っていると、年齢を聞かれ、
指で9本立てると、”九太(きゅうた)”と名前を付けられました。
しかし、師匠らしくない粗暴な熊徹に、弟子でもないのに家に連れてこられた九太は腹を立て、熊徹の家を逃げ出していきます。
昼の渋天街の広場に来た九太。
露店でフルーツパフェを食べようとしていたのは、猪王山の息子の、一郎彦と二郎丸でした。
そこへ、父の猪王山がやってきました。息子たちと話をしていた猪王山は、熊徹を見かけ、声をかけます。
弟子をとったという噂を聞いていた猪王山は、熊徹に尋ねると、その弟子の九太を探しに来たところだと答えます。
すると、猪王山の弟子に、人間の子どもがいると持ち上げられた九太、
熊徹が、「おお九太!」と言うと、熊徹が人間の子どもを弟子にしたことを、猪王山は知りました。
猪王山は、人間はひ弱ゆえに、胸の奥に闇を宿らせるという、
もし闇につけこまれ、手に負えなくなったら大変なことになるから、元の世界に返してこいと忠告しますが、熊徹は聞こうとしません。
渋天街の皆のためにもやめろと言う猪王山に、もう新しい宗師にでもなったつもりか、なら力づくで止めてみろと、二人は対決することに。
二人とも刀を持っていますが、宗師が抜くことを禁じたため、ひもで結ばれて抜けないようになっています。
猪王山は皆から信頼され、応援されますが、熊徹を応援する人は誰もいません。
「あいつはこのバケモノの中で、ひとりぼっちなんだ」
劣勢の熊徹に、九太は「負けるな!」と声を張り上げました。
熊徹は驚いて目を見開きますが、猪王山に吹っ飛ばされてしまいました。
「そこまで!」と声をかけたのは宗師さまでした。
人間を引き入れた熊徹を罰してくださいと猪王山は言いますが、弟子をとれと言ったのはわしだから、責任はわしがとる!と宗師が言います。
「ですがもし、闇を宿したら」という猪王山に、
「なにも、人の全てが闇に飲み込まれるわけでもあるまいて」と答える宗師。
ここまでの解説
この物語では、人間はひ弱な存在で、誰でも胸の奥に闇を持っていると言っています。
逆に、バケモノは、神々に生まれ変わることもできる高尚な存在になっています。
動物たちは、生きるために獲物を殺すことはありますが、それ以上の無駄な殺生はしません。
人間は、己の欲望を満たすために殺人を犯します。
猪王山は、人間はもともと悪い存在だから、自分たちの世界に引き入れるべきでなはいと、最初から人間に対してあきらめている言い方ですが、
宗師さまは、人間は闇を持っているけれども、闇をコントロールする力を身につければ、闇に飲み込まれないはずだと、人間を信じようとしています。
また、九太を弟子にすることで、熊徹が人格的に成長してほしいという願いが感じられます。
九太は、両親がいない、孤独な立場になってしまいました。
そんななか、声をかけた熊徹に心を惹かれて、この世界にきました。
誰も応援しない、ひとりぼっちの熊徹を見て、自分の姿と重なります。
そして、一人で生きていく決心をした九太は、熊徹のように強くなれば一人で生きていけると思い、弟子になろうと決めるのです。
本当の強さとは?
熊徹のそばには、多々良と百秋坊がいつもいました。
熊徹は、弟子の九太に、棒の使い方を教えようとしますが、擬音ばかりが多くて、初心者の九太はわかりません。
熊徹は、教え方が下手で、しかも怒りっぽいので、弟子はすぐに逃げて行ってしまうのです。
ていねいに教えてやれと百秋坊に言われ、
「胸ん中で剣を握るんだよ!あるだろ、胸ん中の剣が!」
「胸ん中の剣が重要なんだよ!ここんとこの!ここんとこの!!」
わけがわからない説明に、九太は意地になって黙っていると、熊徹は黙って出て行ってしまいました。
熊徹を追っていく百秋坊、残った多々良が、「弟子っつったら、5年や10年の修業はザラだ。
ただ食っていきてえだけなら、人間の世界で面倒みてもらえ。
ここにゃ、お前の居場所はねえ、わかったら自分から失せろ。」
そう言って出て行きました。
九太は、戻ってきた百秋坊に、弟子は何をするのかを教えてもらい、
掃除、洗濯を始めました。
市場に買い物に行った帰り、二郎丸に出会った九太は、
倒されてしまい、殴られそうになったところを、兄の一郎彦に助けられました。
優しそうな一郎彦ですが、「こんなひ弱な奴が怪物になどなるか」
と二郎丸に言ったことが、九太にとってはショックでした。
一郎彦は、手を触れずに物を浮かせる念動力があります。
より一層、強くなりたいという思いが強まる九太でした。
しかし、九太と熊徹はいがみあってばかり。
熊徹は、宗師さまから紹介状をもらい、弟子を連れて諸国を巡る旅に出て、各宗師に面会せよと言われます。
名だたる賢者たちから、真の強さを知る手がかりを得てこいと言うのです。
熊徹、九太、百秋坊、多々良の4人は、諸国を巡る旅に出ました。
いろんな宗師から話を聞きますが、皆それぞれの持論を言うだけなので、「ほら見ろ、たわごとを聞いてたら自分を見失うだけだ」と熊徹。
勉強になったし面白かったという九太に対し、熊徹は、
「意味なんかテメエで見つけんだよ!」と言います。
テントで野宿をする4人。
火の番をしていた百秋坊に、テントから出てきた九太が話しかけます。
「俺、才能ないのかな? 勘が悪いのかな?」
そう言う九太に、悪いのは熊徹の教え方だと百秋坊は言います。
あいつには、親も師匠もいない。
あいつは自分一人で強くなってしまった。
それがあいつの才能であり、不幸だ。
誰の言うことも聞かないかわりに、適切な助言もできない。
しかしたまに、うむ、なるほどと思うことがある。
「『強さの意味は自分で見つけろ』ってこと?」
うむ、一理あると思ってな。
修業
九太は、「意味は自分で見つける」という熊徹の言葉を思い返していました。
チコと九太しかいない小屋の中で、チコの真似をしていた九太に、母の声で、「なりきる。なったつもりで・・・」と聞こえました。
九太は、熊徹になったつもりで、熊徹の動きを真似し始めました。
なかなか熊徹のの俊敏な動きのすべてを真似するのは難しいので、せめて足だけでもと、足の動きを真似するようになった九太。
最初は、熊徹に見つからないように、密かに真似ていましたが、ついには堂々と真似するようになり、まるで、親ガモと子ガモのようにくっついていきました。
一人ぼっちの九太に、バケモノであっても親のような存在の熊徹。
最初の動機は、「熊徹のように強くなりたい」でしたが、親子の疑似体験をすることを通して、
9歳の九太に必要な親代わりの存在が身近にいたということは、
のちのち、九太が「闇にのみこまれそうになったとき」、
闇をコントロールすることの出来る力を育てることになるのでしょう。
そして、真似されて嬉しくない親はいないと言われるように、我が子のような存在の九太によって、熊徹の心が変わっていくのです。
そんな真似する日々を続けるうちに、熊徹の足を見なくても、足音だけで左右の動きがわかるようになりました。
そして、次の足の動きがわかるようになったので、九太を捕まえようとする熊徹の手をかわせるようになりました。
それからは、九太は足の真似の仕方を熊徹に教え、熊徹は九太に、剣の持ち方やパンチの仕方を教えあうことになりました。
そうするうちに、九太はどんどん強くなり、ケンカを仕掛けてきた次郎丸もやっつけてしまいました。
強い奴が好きだという二郎丸は、九太のことがすっかり好きになり、二人は友だちになりました。
楓との出会い、そして父との再会
年月が過ぎて、九太は17歳になりました。
これからは十七太だと言う熊徹に、九太で結構だと言います。
九太のように強くなりたいと、熊徹の弟子になりたい若者が押し寄せてきました。
熊徹とケンカをして、逃げ回る九太。
あとで家に寄ってけと、九太に声をかけた二郎丸は、九太の一つ下で16歳。一郎彦は、九太の一つ上で18歳です。
熊徹から逃げるため、渋天街の路地を走りまわった九太は、いつのまにか、渋谷の街に出ていました。
8年ぶりの渋谷は、異世界のように感じられました。
文字の大半が読めなかった九太は、すっかり「よそ者」になっていました。ここには居場所がない!
歩いていくと、区立図書館にたどり着きました。
ハーマン・メルヴィルの「白鯨」を手に取り、読んでみますが、ほとんど読めません。
横にいた女の子に声をかけ、何て読むか聞きました。
「くじら?」と答える女の子。
こうして、蓮と楓(かえで)は出会います。
九太は、渋谷では蓮として楓に会います。
熊徹には内緒で、渋谷と渋天街を行ったり来たりしながら、楓に勉強を教えてもらう九太でした。
「白鯨」の主人公は、自分の片足を奪った鯨に復讐しようとしているけど、実は主人公は、鯨と闘っているようで、自分自身と闘っているんじゃないかなと、楓は九太に言います。
楓は、幼稚園から親の期待に応えるために勉強してきましたが、親は自分の気持ちなんてわからないと言います。
九太に、高認(高等学校卒業程度認定試験)を受験して、大学に行かないかと楓は言います。
高認受験のために区役所で住民票をとろうとしたら、行方がわからなくなっていた父親の現住所を知ることになります。
そして、意を決して父親に会いに行きました。
父は、母親が亡くなったことを、ずっと後になって知り、その後、警察があきらめたあとも、蓮の行方を捜していたのです。
九太は、思い切って熊徹に、人間の学校に行きたいと話しました。
熊徹は、強くなるのがお前の目的だろと言い、九太は、十分強くなったと言います。
九太が強くなったことを認めてくれない熊徹に、父親が見つかり、一緒に暮らすと言って出て行きます。
九太がいなくなり、熊徹は元のダメ男に逆戻りです。
胸の奥の闇
蓮は父の元に行きました。
他愛もない会話をする父と蓮ですが、父の何気ない言葉に、蓮の胸の中で何かが蠢きました。
その何かは、蓮を攻撃的に変え、豹変させました。
その後、蓮はすぐに落ち着きを取り戻しました。
父と別れ、どうして豹変したのか悩む蓮です。
向かいのビルに映ったのは、9歳の頃の自分の影。
その影の胸の部分には、ぽっかりと大きな穴がありました。
怖くなった蓮は、楓が待っている区立図書館へ行きました。
俺はバケモノなのかと恐れる蓮に、あなただけじゃない、私もそう、みんなそう、と言って、小さいころ好きだった本のしおりを蓮の手首に巻きつけ、
「お守り」と楓は言いました。
闘いの決着は?
渋天街に戻ると、まるでお祭りのようになっていました。
二郎丸に呼び止められ、家に行きました。
明日が、二郎丸の父・猪王山と、熊徹の、新しい宗師を決める決着の日なのです。
どっちになっても、おいらたちは友だちだと言う二郎丸。
一郎彦がやってきて、九太を玄関まで送ると言います。
小さな門の前で、突然九太の腹を殴る一郎彦。
九太は、地面に伏してしまいました。
何度も何度も足で蹴る一郎彦。
去って行く一郎彦の胸には、九太と同じく黒い穴が開いていました。
遂に、熊徹と猪王山の対決が始まります。
刀は抜かずに、鞘のまま使用すること。
逃げたら負け。
十拍の間、失神したら負け。
そして闘いは始まり、熊徹はいきなり膨れ上がって獣の形態になり、突進していきます。
スタミナも考えずに最初から飛ばしていく熊徹。
しかし、猪王山にうまくかわされます。
猪王山も、大きなイノシシの形態になり、体当たりで吹き飛ばします。
熊徹は地面に叩きつけられダウン。
カウントダウンが開始されます。
そこへちょうど、九太がやってきました。
大きな声で怒鳴りつける九太。
熊徹は目を開き、起き上がって九太と罵り合います。
再び闘い始める熊徹。
宗師が、熊徹一人なら勝ち目はない。じゃが、ふたりならわからぬぞ。
「負けちゃう」と声を上げる二郎丸を殴りつけ、「黙れ!」と鬼の形相の一郎彦。
「あのやろう、人間のくせに・・・」
九太に憎しみを向ける一郎彦。
両者は、鞘に入った剣で激突、すると、猪王山の剣は鞘が砕けていき、刀身のみとなりました。
熊徹の思いきりの蹴りが猪王山に入ると、猪王山が持っていた刀身は、宗師の座っていた椅子に突き刺さりました。
熊徹の拳が猪王山の顔面に叩き込まれ、そのまま倒れた猪王山は、立ち上がることができませんでした。
新しい宗師は、熊徹に決まりました。
一郎彦の正体は?
観客みんなが満足し、負けた猪王山も、「良い息子だ」と思わず口にした良い闘いでした。
満足げな宗師が、椅子を見ると、刺さっていた剣がなくなっています。
その剣は、真っ直ぐに熊徹の背中に飛んでいき、グサっと刺さってしまいました。
血が流れ出る熊徹。
高笑いする一郎彦。
「私の念動力と父上の剣で勝負をつけました。あなたの勝ちです。」
一郎彦の口元を隠していた布ははずれ、
そこには、猪王山や二郎丸のような猪の牙はなく、長い鼻もありません。
まさに人間そのものでした。
そして、一郎彦の胸には、黒い闇が出現しました。
さらにとどめを刺す一郎彦。
怒りに狂う九太の胸にも、同じ黒い闇が。
九太の腰の剣が抜かれ、一郎彦めがけて飛んでいきます。
するとチコが九太の鼻先にかみつき、思わず右手で顔を覆った九太の目には、赤い手首のヒモが。
「・・・楓」
我に返った九太、剣は一郎彦の顔の前で制止し、落ちました。
怒り狂う一郎彦は、黒い闇に覆い尽くされてしまいます。
一瞬でその場から消えてしまった一郎彦。
俺は行きます
一郎彦の力は、バケモノの念動力ではない、明らかに人間の胸にのみ宿る闇が生み出した力じゃ。
宗師に問い詰められ、全てを話し出す猪王山。
若いころ、人間の世界を彷徨い歩いていた猪王山は、路地裏に捨てられていた赤ん坊を見つけます。
このままでは間違いなく死んでしまうと思った猪王山は、自分が密かに育てようと決心し、連れて帰ります。
人間が胸に闇を宿すことは知っていましたが、自分が愛情をしっかり注げば大丈夫だろうと思ったのです。
しかし、それが自分の驕りだったと猪王山は言います。
成長するにつれて、顔かたちが父や弟のようにならない、自分自身を信用できず、闇を深くしてしまったのです。
一郎彦を救えるのは俺しかいないと、九太は一人、心に決めました。
黙って行こうとする九太を、かたき討ちのつもりかと??りつける百秋坊。
九太は、かたき討ちとは違うよ。
一歩間違えば、俺も一郎彦みたいになっていた。
そうならずに済んだのは、俺を育ててくれたいろんな人たちのおかげだよ。
多々さんや、百さんや、みんなの・・・
だからって、他人事には出来ない。
一郎彦の問題は、俺の問題でもあるから。
だから、俺は行きます。
あいつのこと、頼んます。
九太が行ったあと、熊徹は目を覚ましました。
変身する一郎彦
渋谷の街に戻った九太。
楓に電話して、会います。
「白鯨」の本を渡して、預かってと頼みます。
決着をつけなきゃいけない相手がいる。
勝てるかわからない。
負けたら、何もかも終わりだ・・・
九太を見つけた一郎彦が近づいてきます。
刀と刀でぶつかり合う二人。
巨大化した一郎彦の手で殴られ、飛んでいく久太。
一郎彦は路上に落ちていた「白鯨」の本を見て、「クジラ・・・」とつぶやき、自らの体を変化させていきます。
巨大なクジラとなって、車を押していく一郎彦。
バケモノの子
重傷の体をひきずり、宗師の前に来た熊徹。
あんたならなんとかできると宗師に言う熊徹。
あいつの胸ん中の足りねえものを俺が埋めてやるんだ。
それが、半端者の俺にできるたった一つのことなんだよ。
熊徹は、転生する権利をよこせと宗師に言います。
宗師になった熊徹は、転生することができるのです。
九太は、自分の胸の闇に一郎彦を取り込んで、剣で突き刺し共に死ぬ覚悟を決めました。
そこへ、付喪神(つくもがみ)に転生し、大太刀に姿を変えた熊徹が飛んできました。
熊徹は、九太の胸ん中の剣になるつもりです。
9歳の頃に言われた、「胸ん中の剣が重要なんだ」という言葉が思い出されます。
そして、大きなクジラに化けた一郎彦を、付喪神となった熊徹の剣と共に九太は貫きました。
二本の剣が闇を切り裂いたのです。
人間に戻った一郎彦が倒れて眠っていました。
俺たちはバケモノじゃない。
ひ弱な人間だ。バケモノにはなれない。
しかし、人間でありながらバケモノの中で暮らし、バケモノに育ててもらった。
つまり、バケモノの子だ。
感想
やはり、愛が大事
一郎彦は、多々良と百秋坊が連れて帰りました。
ベッドで眠る一郎彦の腕には、赤い「お守り」のひもが。
九太は、蓮に戻り、父親と暮らすことにしました。
そして、高認を受け、大学に行くつもりです。
熊徹は、神様となって、蓮の胸の中にいます。
蓮が渋天街に行かなければ、一郎彦は闇に取り込まれなかったのか?とも思いますが、やはりいつかは闇に取り込まれたと思います。
蓮が熊徹に出会い、渋天街に行ったのは、運命だったのだと思います。
誰もが抱えている心の闇を、コントロールするための大切なことを教えてもらった気がします。
周りの人のたくさんの愛に気付かされました。(S.A.)
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