意味を知れば 『へのかっぱ』日本語おもしろ語源豆知識
2018/08/18
時代とともに生まれ変わる日本語
へのかっぱ
「へのかっぱ【屁の河童】」とは、「容易であること・とるに足らないこと」を言います。
「河童の屁(かっぱのへ)」とも言いますね。
河童は水の中で屁をするので、「勢いがない」→「とるに足らない」という意味です。
木っ端の火(こっぱのひ)
木っ端は、木くずのことで、火を起こす時に使い、すぐに燃え尽きてしまうことから、「あっけない・たわいもない」という意味があります。
粉々に砕けることを「木っ端微塵(こっぱみじん)」と言いますね。
この「木っ端の火(こっぱのひ)」が「ひのこっぱ」になり「へのかっぱ」になったという説もあるようです。
このように、日本語は時代と共に変わってきたということがわかります。
室町時代に生まれた女房言葉
時は室町時代。
金閣寺や銀閣寺が建てられた雅な時代、宮中で……
幼子)「えーん、えーん」
母)「ど~したど~した?なぜ泣き止まぬ」
幼子)「わーん、わーん」
母)「べろべろばー、べろべろばー、うーむ、あっ、そうじゃ!あれを持たせておけば。ほれ、これを持って遊べ!」
幼子)「ははは」
【例題】「手に持って遊ぶ」という意味から生まれた、現在も使われている言葉を答えなさい。
□□□□(ひらがな4文字) 滝川第二中入試問題(正答率42%)
「持つ」にていねいな言葉をつけると……
正解は「おもちゃ」
昔、手に持って遊ぶもののことを、「持ち遊び」と呼んでいました。
しかし、室町時代に入ると、宮中の女性たちの間で「女房言葉(直接的表現をさける)」が流行します。
言葉の頭に丁寧語の「お」をつけて、「もちあそび」→「おもちあそび」→「おもちや」→「おもちゃ」という言葉ができたと言われています。
この女房言葉(にょうぼうことば)は、現代でも身近に使われています。
「田楽」に「お」をつけて、「おでん」
水をさす「冷もの(ひやもの)」に「お」をつけて、「おひや」
食事の際に料理を「数々取り合わせる」に「お」をつけて、「おかず」
他にも、おこわ【強飯(こわいい)】、おかか【鰹節】、御御御付け(おみおつけ)など。
鎌倉時代に生まれた熟語(和製漢語)
源 頼朝が幕府を開いた鎌倉時代。
優雅な平安貴族の時代から、力強い武士の時代になりました。
時代が変わると、新しい日本語が次々と生まれます。
平安貴族)「ひ~の~こ~と~」
鎌倉武士)「長い!火事(かじ)でいいでしょ!」
平安貴族)「か~へ~り~ご~と~」
鎌倉武士)「ええい!返事(へんじ)でいいでしょ!」
武士たちは、それまで「ひらがな」で表されてきた雅な言葉を、端的に表現するために、新しい「熟語(和製漢語)」を生みだしていったのです。
【問題】「おほね」から武士が作った「食材」を表す、漢字2文字の言葉を答えなさい。
□□(漢字2文字) 日大豊山中入試問題(正答率27%)
「お~ほ~ね~」とはいったい?
正解は、「大根」です。
「おほ」は「おお」、「大きい」を表す言葉です。
大根は根が大きいので、元々「おほね」と呼ばれていたんですね。
これに、鎌倉時代の武士が漢字を当てはめましたが、大根に定着したのは江戸時代頃と言われています。
鎌倉時代に入ってきた仏教用語
鎌倉時代に、中国から入ってきたものの一つが、座禅を組む禅宗。
この仏教から、新しい言葉が生まれました。
挨拶(あいさつ)
挨……積極的に前に進むこと。
拶……相手に切り込むこと。
元々は、修行僧が禅問答をすることを指す言葉でした。
「その様子から、人と会った時に交わす儀礼的な言葉」つまり、現代の「挨拶」になったと言われています。
食堂(じきどう)……「食物への感謝や作法を通して自己研鑚する場」という仏教用語。
他にも、仏教用語から、今の私たちが使う言葉がたくさん生まれました。
【問題】元々は「奥深い悟りの境地との境界」を表す、現在でも使われている言葉を答えなさい。
□□(漢字2文字) 江戸川中入試問題(正答率11%)
正解は、「玄関」です。
「玄」……奥深い道理。(玄人【くろうと】とも言いますね)
「関」……境界、区切り。
禅寺では、俗世間と境内にある門を「玄関」と呼んでいましたが、世間の人たちが「玄関=入り口」と意味を取り違え、江戸時代には「一般家屋の入り口」も「玄関」と呼ぶようになりました。
江戸時代に生まれた言葉
時は江戸時代。
街中に配置された見張り番のおかげで、今よりも治安は良かったそうな。
【問題】「一定の場所に留まって見張る」から生まれた、現代でも使われている言葉を答えなさい。
□□□□(ひらがな4文字) 日大豊山中入試問題(正答率39%)
正解は、「がんばる」です。
「がんばる」は元々、「眼張る(がんばる)」という漢字を使い、「見張る」「気をつける」という意味でした。。
見張る様子が、動かず頑なであることから、江戸時代後期には現代の漢字「頑張る」が当てられ、努力するという意味でも使われるようになったと言われています。
「言葉は生き物」と言われるように、時代とともに変わっていくんですね。
[出典:2016年4月10日放送「平成教育委員会3時間SP」]
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