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ジョアン・ミルン 人工内耳手術でアッシャー症候群克服!感動物語

      2018/09/24

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音によって人生を変えた女性 現代のヘレン・ケラー

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ジョアン・ミルン(Joanne’s Milne)

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今から42年前の1974年、イギリスで生まれたジョアン・ミルンは、生まれつき聴覚に障がいを抱えていました。
音はほとんど聞こえず、補聴器をつけても わずかにノイズを感じられる程度でした。

しかし、音は聞き取れませんが、読唇術で唇の動きから会話を理解することができ、さらには、訓練によって正確な発音で話すことも可能でした。

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障がいに負けることなく、幸せに暮らしていたジョアンでしたが、学校ではいじめに遭っていました。

ろう学校に通うという選択肢もありましたが、ジョアンは 障がいに負けたくないという想いから、普通の子と同じ学校に通っていました。

ある日、ジョアンがいじめられて学校から帰ってくると、祖父がやさしく出迎えてくれました。

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ジョアンにとって、祖父は大切な理解者の一人でした。
のどの振動を覚えさせることで、根気強く発音を教え、会話をできるようにしてくれたのが祖父だったのです。

人間の本当の価値

ジョアン)「おじいちゃん、私の何がいけないの?耳が聞こえない人間はダメな人間なの?」

祖父)「ジョアン、お前は決してダメな人間なんかじゃないよ。」

ジョアン)「でも……でも……(泣き出すジョアン)」

祖父)「いいかい?人間の本当の価値というものは目に見えない、心の中のありようで決まるんだよ」

ジョアン)「心の中のありよう?」

祖父)「ああ、世の中には心ない人たちもいるんだ。そうだな、じゃあ もし他の子がいじめられているのを見たら、お前はどう思う?」

ジョアン)「苦しいし、悔しい。助けてあげたい」

祖父)「それでいいんだ。その優しさがあれば何も心配ない。大丈夫だよ」

その日以来、彼女は変わりました。
バングラデシュ出身の生徒が、肌の色を理由にいじめられているのを見ると……

「肌の色が違うと、人間の価値が劣ってるわけ? 私は耳が聞こえないけど、あなたより成績はいいけど!」

果敢に立ち向かい、友人を救ったことで、彼女自身へのいじめもなくなっていきました。

「アッシャー症候群の疑いがある」

中学生になると、補聴器も小さな物に変更、持ち前の明るさも相まって、聴覚障がい者とは誰も気づかないほどでした。
さらに、高校生になると恋も経験、青春を謳歌していました。

ジョアンの母 アン・ミルンさん≫
「ジョアンは、障がいを理由に特別扱いされるのが とにかく嫌いでした。健常者と同じような生活を送れるように、必死に努力をしたんです」

しかし、そんなある日のこと……
突然 倒れたジョアン、すぐに病院に搬送され、精密検査が行われました。

すると、「アッシャー症候群の疑いがある」と医者に言われました。

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アッシャー症候群とは、難聴に加え 徐々に視覚にも障がいが現れる疾患で、遺伝子の変異が原因とされ、現在でも治療法はない難病です。
アッシャー症候群の診断は難しく、聴覚・視覚ともに症状が現れるまで、確実にそうとは言えないといい、もし アッシャー症候群なら、失明もありえるのです。

最愛の祖父との別れ

しかし、その後 心配していた視覚障がいは認められず、病院に担ぎ込まれた日から9年が経つ 1999年頃には就職も決まり、ジョアンは一人暮らしを始めることになりました。

さらには、障がい者支援団体の代表にも就任、読唇術を駆使して会話をし、健常者と同等の仕事をこなしました。

プライベートも充実し、「メイク」や「オシャレ」を楽しんだり、友達と街へ繰り出しては、他愛もないおしゃべりをして、毎日を笑って過ごしていました。

しかしその一方で、「いずれ光を失うかもしれない」という恐怖が、心から消えることはありませんでした。

そんな頃、最愛の祖父が倒れました。
末期がんでした。

ジョアン)「おじいちゃん、私 仕事が決まったの。とっても重要な仕事よ」

祖父)「ジョアン、ずっと信じてたよ。おまえなら、きっと大丈夫だってな」

ジョアン)「本当にいろいろありがとう、おじいちゃん」

まもなく、祖父・ウィリアムは他界しました。

ついに視覚にまで障がいが……

それから3年がたった2003年頃、ジョアンは目に異変を感じました。

病院で検査を受けると、「アッシャー症候群」だと医者に言われました。
ついに、視覚にも障がいが現れたのです。

病気が進行し 目が見えなくなれば、読唇術は使えません。
わずかなノイズしか聞こえない彼女にとって、それはコミュケーションを失うことを意味していました。

診断から9ヶ月、徐々に視界は狭くなっていきます。
ジョアンは、視覚障がい者用の杖や、盲導犬の訓練を始めました。

それは、オシャレをして、仕事をして、恋をしてという、必死に守ってきたこれまでの生活を 捨て去ることに等しかったのです。

ジョアンは、大切な人たちとの写真を一枚ずつ眺めては、記憶に焼きつけていきました。
その一方で、咲き始めた花、子供達の笑顔など、美しいものからは目を背けるようになっていきました。

 

「人間の価値というものは、心の中のありようで決まるんだよ」

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アッシャー症候群と診断されてから8年が経った2011年。

かろうじて視力は残っていましたが、見えなくなる可能性を考え、盲導犬の訓練は日々行っていました。

すると、盲導犬が突然 ジョアンをぐいぐい引っ張り、丘を登っていったのです。

そこには、あたり一面の花畑……とても美しい景色が広がっていたのです。
その瞬間、ジョアンの脳裏に、ある言葉が蘇りました。

「人間の価値というものは、心の中のありようで決まるんだよ」

幼いジョアンは、祖父の言葉は、彼女をいじめていた子たちに向けたものだと思っていました。

おまえをいじめるような人間に、価値はないのだと……

しかし……
「ちがう、あれは私自身へ向けた言葉だったんだわ。『目も見えなくなり、耳も聞こえない、だから私はダメだ……』それじゃ、今まで私を差別してきた人たちと同じ考えじゃない! たとえ目が見えなくなっても、私の心が自由だったらそれでいい。私の価値は、私の心で決まる。そうよね、おじいちゃん!?」

その時の思いを、のちにジョアンはこう記しています。

「この丘に登ってきたのは視覚障がい者の女だったが、丘を下ってゆく女は 見える女だ。目で見るのではない、心で見るのだ。出来ない事もある。人に迷惑をかけることもある。それを認めるのが今までは嫌だった。だが、それでもいい。ありのままの自分を認め、自分に出来ることをすればいい」

「人工内耳手術」

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そしてジョアンは、「人工内耳手術」を受けることを決意しました。
80年代後半から普及した人工内耳。
音を受信する機械を頭部へ埋め込み、直接神経を刺激することで、音を脳に認識させる医療技術です。

ジョアンの母 アン・ミルンさん≫
「今は、かなり成功率の高い手術になっていますが、失敗するリスクはないとは言えません。たとえかすかなノイズでも、ジョアンにとっては大切な音であり、手術に失敗してそれすら失うことを、ずっと怖がっていたんです」

2014年2月。
ジョアンは勇気を振り絞り、人工内耳の埋め込み手術を受けました。
そして、1ヶ月の入院を経て、ついに人工内耳を作動させる日が来ました。
その瞬間の実際の映像が残されています。

【Joanne Milne’s Implants are turned on and she hears for the first time】

耳に届いているのは、今まで聞こえていたノイズではない、40歳にして、初めて「音」を聞いたのです!

ジョアン・ミルンさん≫
「私にとって音を聞くというのは、想像も出来ないような体験でした。音を聞いて初めて、声というものは人によって違うことを知ったのです。今となっては不可能ですが、祖父がどんな声だったのかを聞いてみたいと思いました」

「今 私の人生は、豊かで喜びに満ちています」

この動画がインターネットにアップされると、イギリスメディアの注目を集め、多くのテレビ番組に出演、同じアッシャー症候群に苦しむ人々に希望を与えました。

さらに、かつていじめから救ったバングラデシュ出身のクラスメイトからも連絡があり、彼女の祖国でボランティア活動も行いました。

そして、今年4月には、これまでの人生を綴った書籍「音に出会った日」も出版。
現在も、視界は徐々に狭まりつつありますが、完全に光を失ってはいません。

たとえ障がいを抱えていても、彼女の心に不自由はありません。
耳が聞こえるようになってから、行動範囲は大きく広がったといいます。

ジョアン・ミルンさん≫
「音が聞こえるようになったことで、新しい人生を始めることが出来ました。まるで赤ん坊のように、体験することすべてが新鮮です。こんな素晴らしい世界へと導いてくれた祖父に感謝しています。今 私の人生は、豊かで喜びに満ちています」

手術後に友人が、ジョアンさんが聞きたい曲のリストを作り、それを地元のラジオ局が流してくれました。
それが彼女にとっての、初めての音楽鑑賞でした。

聴覚を得たとこで、新しい人生を歩むジョアンさんが、今 伝えたいこととは……

「視力は徐々に悪くなっています。だからこそ、もっと毎日を楽しもうと心に決めました。一日一日を新しい日だと意識するようにしています。過ごし方次第で なんだって出来るのです。そういう考え方が出来るようになってから、人生は素晴らしいと思えるようになりました」

(了)

[出典:2016年7月7日放送「奇跡体験!アンビリバボー」]

音に出会った日/ジョー・ミルン著・加藤洋子訳

 

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