朝ドラ「なつぞら」第18話

なつは夕食の片づけをしながら、富士子に剛男との馴れ初めを尋ねます。泰樹に反対されなかったのか気になっています。富士子が19歳の時、泰樹が一軒一軒回って、婿候補を見せて回りました。そのうちの一人が剛男でした。

富士子が剛男を選ぶと泰樹が「あれはお前、他の奴を引き立てるために入れた奴だ」と。確かに働く男としては一番冴えない人でしたが、富士子は「この人しかいない」と思いました。一人だけ休憩時間に本を読んでいたからです。

剛男は家の事情で高等小学校を途中で辞めて、家族で北海道に渡ってきました。泰樹と同じ北陸からです。本当はもっと勉強したかったそうです。泰樹にしてみれば、同郷のよしみで候補者に入れただけでした。

それに、青年団の集まりで剛男の事はよく見かけていました。その時もいつも本を読んでいました。本を読みながら、誰よりも富士子の事を見ていたのも知っていました。

なつ「それじゃあ、前から父さんは母さんの事が好きだったの？」
富士子「まあそれは、父さんに限らないけどね」

泰樹は組合の事に理解がないわけではないと富士子は言います。剛男が農協で働く時も「あいつにはそっちの方が向いているだろう」と喜んでいたようでした。

それに、富士子の亡くなった母親の事もあります。富士子が9歳の時に突然病気で倒れました。その頃柴田家は、冷害に祟られてお金がありませんでした。泰樹が帯広まで医者を呼びに行きましたが、お金がないので来てもらえなかったのです。

葬式の時に泰樹は「組合があればなあ……」と言ってたそうです。「組合がなきゃだめだな」って言っていた事を、富士子ははっきり覚えていました。

一人で北海道に渡り、一人で荒れ地を耕して、苦労して10年も一人だった泰樹。そしてどこかの家の娘に惚れて、その家に通い詰めては畑を手伝い、やっと結婚を許されたその人をお金がなくて亡くした時には、本当に悔しかったと思うと富士子は言います。

「さてと、じいちゃんにお茶でも持ってってあげようかな」そう言って富士子は泰樹の部屋に行きました。一人残ったなつの目からは一滴の涙が。

なつはその夜、壁に貼った家族の似顔絵をじっと見つめていました。そして机の上には俳優修業の本が。

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なつは倉田先生にどんな演劇にするのかを尋ねます。泰樹が見て「面白いと思えるような、感動するような、絶対に傷つけない演劇ですか」と。泰樹の気持ちに寄り添える演劇にしたいなつ。

倉田先生は、演劇は生活者が自分の生活を見つめ直す機会であると。地べたと格闘しその事だけに苦しみがちな農民にこそ、演劇は必要だと言います。

「こんな私にもお手伝いできる事はあるんでしょうか？」と聞くなつに、「ある。お前にしかできない事がある。女優になれ。女優として舞台に立て。それが一番おじいさんのためになる事だ」と倉田先生は言います。

雪次郎たち演劇部員が部屋に入ってきました。そこで「おいみんな聞いてくれ。奥原が今日から演劇部に入部した。勝農演劇部、女優第一号だ！」と発表。

みんな大喜びです。「ちょっと待ってください、そんなの無理です」というなつに、「大丈夫だなっちゃん、みんな下手だから」と雪次郎。

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なつは牛舎で泰樹に謝りました。泰樹も「わしこそ悪かった」と言います。「天陽と会うなと言ったわけじゃない。天陽の牛にも罪はない。干し草も持ってってやれ」と。なつは笑顔で「ありがとう。やっぱりじいちゃん大好き」と言います。

夕陽が綺麗な牧場で、なつは演劇をやりたいと言います。「それなら、お前の好きにして良い」と泰樹。さらになつは、演劇を観にきてほしいと言います。

「お前が出るなら観に行ってやる。するからには頑張れ。一番になれ。楽しみだ」と言う泰樹に、早く帰ってこれなくなると言うなつ。泰樹が「かまわん。良いから出ろ」と言うので、なつは「……出ます」と言いました。