朝ドラ「なつぞら」第20話

白蛇伝説の台本が配られました。倉田先生が説明をします。これはあくまで架空の伝説だ。十勝、音問別あたりでまことしやかに語られている話を元に俺が考えたと。テーマは、個人の問題と集団の問題。明日から稽古が始まります。なつの役は、ペチカ、神様の使いと台本に書いてあります。

帰ろうとするなつを倉田先生が呼び止めます。「わかっていると思うが、女はお前しかいないんだ。女の役はみんなお前がやるんだぞ」なつは一緒にいた良子を抱き寄せ「良子ちゃんもいます！」と言い返します。

「女優志望はお前しかいない」「私は志望なんかしてません」「それでもお前しかいないんだ」

良子が「なっちゃんがやるしかないわ。私は裏方だから」と不機嫌そう。「居村にも期待してるぞ」「何をですか？」「いろいろ……」

なつは出番が多い事が不満です。おじいさんも喜ぶだろうと倉田先生。帰ろうとするなつに「あと、お前絵描けるんだって？　雪次郎に聞いたよ」と倉田先生。

落書き程度ですと言うなつに「でも、絵好きだべ、なっちゃん」と雪次郎。「好きなのと描けるのと違うべさ」となつ。

いつもは舞台美術を美術部に頼みますが、今回は違う気がすると。そう言った後、雪次郎の店に飾ってあった牧場の絵の事を言います。あれを描いたのは天陽で、雪次郎の父・雪之助が気に入って譲ってもらったものでした。

★

「あんな書割（かきわり）が作れると良いんだけどな」と言われ、なつは天陽の家へ。なつが書割の事を話すと、天陽の母・タミは乗り気。天陽は「なっちゃんや雪次郎のためになるなら、やっても良いよ」と快諾。

天陽がなつに台本を見せてもらっていると、天陽の父・正治がやってきて自分のところの牛乳をなつに飲んでもらいます。

「うちのとそんなに変わらんと思うけど」となつ。正治の悩みは、メーカーから乳脂肪が低いと言われて高く買ってもらえない事でした。柴田牧場の干し草を分けてもらって努力しているのに、納得がいかない様子です。

★

柴田家ではもう夕食を食べているところへなつが帰宅。遅かったので富士子が心配していました。なつは出番が多いと愚痴をこぼします。

なつは泰樹に、天陽の家の牛乳の話をします。乳脂肪が低いと言われて安く引き取られてしまうと。

「それは仕方がない。すぐに良い乳が出るわけではない。努力すればそのうち良くなる」と泰樹は言います。

なつが「もし脂肪検査が間違っていたら？」と言うと「なつよ、そう言う事は軽々しく言う事じゃないだろ」と照男。

「牛飼いは難しい。他人のせいにするのは簡単じゃ」と泰樹。

剛男は、農協の責任だから自分が見ておくと言います。

「今は、一軒一軒小さな農家を見ていくしかないからな。みんなが団結するまで」と剛男が言うと、「ごちそうさん」と言って泰樹が自分の部屋に行きました。

なつは泰樹の背中に向かって「じいちゃん、変な事言ってごめんなさい」と謝ります。

★

夕涼みをしているなつに、「じいちゃんは農協を頼りたくないのさ。昔から何でも自分の力でやってきて、それを支えに生きてきた人だからね」と富士子が言います。

台本を読んで面白いという富士子に「その芝居観て、じいちゃん傷つかんかな。まるでじいちゃんの事みたいでしょ」となつ。富士子は「似ている気もするけど大丈夫でしょ。きっと喜んでくれるわよ。なつがやるんだから」と。

★

明美が寝ている横で、夕見子は「俳優修業」の本を読んでいました。入ってきたなつが「何勝手に読んでんのさ」と怒ります。

自分が演劇をやるのはあくまで泰樹のためだと言うなつに「何さそれ、つまんない」と言う夕見子。

「あんたのそういう所、本当につまんない。やるなら自分のためにやんなよ。やりたいんでしょ？　それとも、本当はやりたくないのか？」

「いや……今はやってみたいかも」

「だったらそれを認めて、自分のためにやんなよ。じいちゃんのためとか言ってごまかしてないでさ。それなら私も応援する。してやる。頑張れよ」

「うん、ありがと」

その夜、なつは遅くまで絵を描いていました。