朝ドラ「なつぞら」第31話

なつは信哉に「信さん、ありがとう」と言い、「元気出しなね、なっちゃん」と信哉は言って店を出ます。その入れ替わりに入ってきたのは天陽の兄・陽平でした。陽平は東京の芸術大学の学生です。一年ぶりの再会でした。

陽平はなつの事情を聞きました。なつは「兄は盗みだけはしない。兄が何か悪い事をしてたとしても、私だけは悪い人だとは思わん」と言います。

それを聞いて陽平は「天陽は俺の事をどう思ってるかな。ずるいと思ってるかな」と言います。そんな事ないというなつと富士子に「俺にしたらあいつの方がずるいけどな。いくら勉強したって、あいつの様な絵は描けないから」と。

陽平は今、大学の先輩の仕事を手伝っています。「なっちゃんならきっと興味があると思うんだ」それは漫画映画を作る仕事でした。「見たい？」と聞く陽平に「見たい。どんなもの作ってるのかどうやって作ってるのか見てみたい」となつは言います。

陽平に連れてこられたのは「新東京動画社」でした。「遅刻だぞ。山田くん。いくらまだ学生だからと言って、職場でデートをするのはいかがなものかなあ」とアニメーターで大学の先輩の仲努（井浦新）に言われ、「違います。彼女は弟の彼女なんです」と紹介します。

陽平はここで背景画を手伝っています。背景の上に重ねる作画を描いているのがアニメーターです。

まず、動きの基礎となる原画を描きます。原画と原画の間をつなぐように動画を描きます。この原画と動画を描く人をアニメーターと呼びます。

アニメーターが描いた絵を透明なセルにトレースし、それを背景画と重ね合わせて一コマ一コマ撮影していけばアニメーションになります。

「これ、前の作品のやつなんだけど記念にあげます。これ僕がデザインしたキャラクターなんだ」仲はそう言ってウサギの絵をなつにくれました。

「せっかく来たんで、一つテストしてみようか」と仲が言い、なつに薪割りの動画を描かせました。

なつは薪割りの動作を実際にやってみながら描いていきます。「なかなか良いよ」と仲と陽平が言います。

「下山くん、君の持ってきて」と仲に言われ、先月同じテストを受けて入ったアニメーターの下山克己（麒麟・川島明）が持ってきました。

「うわー、動きが綺麗！　全然違う」となつは感動します。下山はなつの作品を見て「良いですよ。僕のより迫力があるかも知れない」と言います。なつは「嘘です。全然だめです。下手です。もういいです」と言って返します。

「僕たちがお世辞を言ってからかってると思う？　そんなに暇じゃないよ僕たちは。絵の上手い下手は経験によって変わるけど、絵を動かす力があるかどうかは、もっと大事な能力なんだ。この絵には、ちゃんと君らしさが出てたと思うよ。ちゃんと勉強すればアニメーターになれると思うな」

なつ「女でもなれるんですか？」
仲「そりゃなれるよ。だって、映画でお芝居していいのは男しかだめって事はないでしょ。アニメーターだって同じだよ、絵で演技をするだけだ」

もうじき東洋映画に吸収され、新しいスタジオが出来る。日本の会社もディズニーに負けないアニメーションを作ろうとしているんだと熱く語る仲。

絵の勉強をしていないと言うなつに、下山は元警察官だったと言います。「勉強はどこにいたって出来るよ」と仲。

「まずは、人間の動きや仕草をよく観察する事。日常のありとあらゆるものの中に、アニメーターの訓練が潜んでいるんだ」

なつは街に出て、想像力を働かせてみます。すると、仲からもらったウサギのキャラクターが動き出しました。