朝ドラ「なつぞら」第34話

「はい、お待たせしました」と言って妙子が持ってきたのはコーヒーと紅茶。「映画、行ったんだって？」と雪次郎がニヤニヤしています。バターを使った雪月の新商品と言って雪之助が出したのはバター煎餅でした。ミルクバケットの形をしたお菓子です。この前学校で作ったバターで作りました。帯広の銘菓にしていと雪之助は言います。

お菓子を入れる缶をとよが持ってきました。「これは、柴田の爺さんならわかると思うよ」ととよ。明治時代、十勝を切り開いた依田勉三が開拓団「晩成社」を率いていました。その「晩成社」で作っていたバターの缶がこんな感じだったととよは言います。

「これ、爺ちゃんに持ってってやって」と言い、缶の中にバター煎餅を入れました。缶の表には「開拓者の郷」と書いてあり、「そう、これが商品名だ」と雪之助は言います。雪之助はなつがバターを作ってくれる事を期待しています。

帯広からの電車に乗りながら、天陽はなつに「東京に行く事を泰樹に相談してみてはどうか」と言います。「行きたいなんて言ってない」と言うなつに「だったら行くなよ」と天陽。

気まずい雰囲気の中、天陽は「俺、今度開拓青年団のスキー大会出るんだ」と言います。スキー板は自分で作ると。

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なつが持ってきたバター煎餅を、泰樹、照男、悠吉、菊介が食べます。雪月のためにバターを作りたいと言うなつに「お前と照男に任せる。二人で考えてやれ」と泰樹が言います。

天陽がスキー大会に出る事を報告するなつ。「この菊介さんが教えてやる」と菊介。富士子が入ってきて「いつまで休んでるの」と怒っています。

立ち上がって仕事にとりかかろうとしていると「照男もスキー大会に出る」と泰樹が言い出しました。

「えっ？」と照男。「何？」と富士子。「照男、出るべ！」と泰樹。照男が戸惑っていると「おっ、照男くんと天陽くんの戦いかい？」と悠吉。「だったら、俺は照男くんの味方だ。子どもの頃から俺が教えてきたからな」と菊介。

「天陽くんは敵じゃないべさ」となつ。「いや、照男くんが出る以上は敵だよ」と菊介。照男は複雑な顔で泰樹を見つめます。

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夜、縫物をしながら富士子が剛男に言います。

「もしなつがその事知ったらどうなるんだろう」
「その事？」
「照男の事よ。もし、照男にその気があって、なつはじいちゃんのためを思って、私たち家族のためを思ってそれを断れないと思ったとしたら、それは二人にとって残酷な話よね」
「なつは天陽くんの事が好きなんだろうか？」
「……わからない」
「もしそうじゃないとしたら、照男の事を好きになる可能性なんてあるのかな、本気で」
「そうなってもらいたいの？」
「君はどうなんだ？　もしそうなったら、反対か？」
「私は……今のまんまがいい。ずっと今の家族でいたい」

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泰樹が新しいスキー板を買ってきて「これ使え」と照男に渡します。「ずるい。天陽くんは板を持っていないから自分で作るんだよ」となつ。「なつ姉ちゃんが貸してやれば？」と言う明美に「だーめ、自分で作ったほうがカッコイイしょや」となつ。

なつの言葉を気にする照男に泰樹が「勝てば良いんだよ。勝ったほうがカッコイイべ」と。顔を見合わせる剛男と富士子。

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そしてスキー大会の日がやってきました。照男は天陽を呼び出して話をします。

「何ですか、大事な話って？」
「なつの事だ」
「なっちゃんがどうかしたんですか？」
「お前、なつの事どう思ってる？」
「えっ？」
「……好きなのか？」
「……なしてですか？」
「答えろや」

天陽はじっと照男を見つめていました。