朝ドラ「おしん」第33話

おしんと加代が並んで勉強している時、くにと清太郎、みのが話をしています。清太郎もみのも、おしんと仲良くする加代を心配していますが、加代の方がよほどしっかりしているとくには言います。くには「商人はそろばんが命だ」と言って、おしんと加代にそろばんを教えます。

翌日、子守りを始める前にみのがおしんに言います。大奥様に可愛がってもらっていい気になっているんだろうが、加代はお前の主人だ、友だちではないときつく言います。それを聞いていたきくも、ほどほどにした方が良い、目をかけられても遠慮するのが奉公人の分というものだと。その晩おしんはくにに、そろばんも手習いも辞めたいと言います。

くに「お前はそれほど意気地のねえ子どもだったのか？　若奥さんになんか言われたんだろうけど、そんな事でひるむようでは何も出来ないんだぞ。ゆくゆくは一人立ちして生きていけるようにしようと仕込んでたんだ。貧乏から抜け出すためには勉強が必要だ。自分を大事にしろ。もっと欲張りになれ」

おしんはみのの冷たい目に耐えながらも、手習いを続けました。そんなある日、加代に呼ばれておしんは電信柱を建てるところを一緒に見に行きます。

加代は危ないから下がってろと言われても下がりません。おしんもみのも心配しています。すると電信柱が倒れてしまい、咄嗟におしんが加代を助けました。それを見ていたみのは気絶してしまいました。

くにがおしんに「お前が加代をかばってくれたんだってな」と言い、ウメが「おしんがいなかったらお加代様は下敷きになっていたとみんなが。賢い子だって工事の人なども感心してましただ」と言います。

おしんは加代に「突き飛ばして悪かったな。びっくりしたべ」と謝ります。みのはおしんに「おしん、この通りだ」と言って頭を下げます。

みの「私はずっと見てたんだよ。あん時、加代はもうだめだと思ったんだ。加代は電信柱倒れてきたで怯えて足すくんでしまったんだ。ぼんやり突っ立ってるだけで。おしん、お前が加代かばってくれねかったら、加代は今頃ただじゃ済まねかったの。お前のおかげだ。おしん、加代はお前に命拾ってもらったんだ。加代とお前とは、そげな因縁があったのかも知んねえなあ。これからも、加代の力になってやってくれの」

それ以後、みのはおしんを温かい目で見るようになっていきました。加賀屋に電灯が灯ったのはそれから間もなくの事でした。おしんは加代の家族と共に電灯の灯る瞬間を迎え、共に喜びました。おしんはこの日を一生忘れないだろうと思っていました。

やがて、おしんが加賀屋に来て初めての正月が近づいてきました。みのはおしんに、加代とお揃いの着物を仕立ててくれました。

みの「こないだの礼だよ。正月には加代と揃いで着るんだ」
くに「帯は俺が買ってやった。みんな加代と揃えてやるんだぞ」
加代「これ着ておしんと初詣に行くんだぞ。なあ」

おしんは信じられませんでした。こんなに幸せで良いんだろうか。今まで幸せに縁のなかったおしんは、嬉しいより空恐ろしかったのです。