元人気力士「貴闘力」を襲った恐ろしい病”ギャンブル依存症”

貴闘力さん（49歳）は1990年代に活躍した元人気力士。
得意の突っ張りで当時の大横綱 曙から金星を量産、「曙キラー」として親しまれ、関脇まで上り詰めた人です。

そんな貴闘力さんを襲った恐ろしい病気がありました

それが【ギャンブル依存症】でした。

競馬、競輪、ボートレース、オートレース、そして海外ではカジノ三昧、あらゆるギャンブルに手を出した結果、負けた金額は5億円にも達しました。
そしてギャンブルを止めた時には、1億もの借金がありました。

日本人のギャンブル依存症は536万人。
20人に1人は、ギャンブル依存症の疑いがあると言われています。

【ギャンブル依存症の貴闘力さんの症状】

「寝ていてカードが頭の中に出てくる」
「手に汗をかいて寝れなくなる」
「急に起きてしまう」

ギャンブル依存症診断チェックはマーク式で20問。
Q.ギャンブルのために仕事や学業をさぼったことがあるか？
Q.借りた金をギャンブルに使ってしまい返せなくなったことがあるか？
Q.ギャンブルで負けた時も勝っていると嘘をついたことがあるか？
など。

10問ぐらい当てはまるとヤバいのですが、貴闘力さんは20問全部に当てはまったそうです。
ギャンブルにハマり多額の借金をした貴闘力さんは、野球賭博に手を出して相撲協会を解雇されました。
その結果、離婚してしまいました。

人生を狂わせてしまうほどギャンブルにハマったきっかけ

きっかけは、付き人時代のある出来事でした。
付き人のころ、たまたま5000円もらって「馬券買いに行ってこい」と言われました。

いいなと思った2頭を5000円買ったところ、8000円（80倍）つきました。
その結果、40万円になったのです。

すると、さらにギャンブルにハマるきっかけが

関取になる際、「化粧回し・締め込み・着物」など、全て新調しなければなりません。
それは自分で払わないといけなくて、400万円くらいかかります。

350万円は集めたのですが、そのお金を預けた人がそれを持って逃げてしまいました。
どうするかと悩みましたが、たまたまポケットにあった10万円を持って大井競馬場に行きました。

それが当たって、10万円が400万円になったのです。
ギャンブルで勝つことの快感を覚えた結果、そこからカジノにのめり込んでいきました。

依存症になるまでハマったのが運が勝敗を支配する「バカラ」

バカラとは、プレイヤーとバンカーに配られたカードの数の合計が9に近い方がどちらか予想するギャンブルで、勝てば賭けた額の2倍になって払い戻されます。
つまり、10万円を賭けて勝てば20万円、しかし負ければゼロになります。

1回に賭けるお金は2000万円

運が左右するバカラに、1回2000万円くらい賭けていました。
そして、2000万円が一瞬にしてゼロになっていきました。

ちなみに、イタリア語でバカラの意味は「ゼロ、破産」です。
それでも、勝った時の快感が忘れられず、巡業の合間を縫っては海外のカジノへ行ったのです。

4日間寝ないでぶっ続け

日曜日に行って気がついたら木曜日、体重が10kgぐらい痩せる時もありました。
相撲で稼いだお金を全てギャンブルに使っていたのでした。

現役時代に稼いだお金は？

一番多い時は、応援してくれる全国のタニマチさんからのお金も合わせて、年収約6000万円くらいでした。
それを全部ギャンブルに使ったのです。

朝、稽古場に行って昼まで練習した後、昼から競馬場に行き、夕方6時くらいに競馬が終わります。
そこからまた、麻雀を夜の12時までやります。

2000年、32歳で悲願の初優勝

地元大阪場所で優勝し、優勝賞金1000万円と副賞が1000万円。
そしてタレントのやしきたかじんさんから、祝儀として300万円。

次の日に北新地を2人で20軒くらい回り、みんなからもらったご祝儀が1000万円。
合計3000万円を全て競馬に注ぎ込んで、全て散財しました。

やめたいと思ってもやめられず、お金がないときは、財布にジュースを飲むお金もありませんでした。
お金がなくて、場所まで電車で行ってたのです。

そして、給料が入ったらまたギャンブルに行きました

自分でも「ヤバいな」と思い、親方に「ギャンブル止めます」と言って土下座したことは何度もありました。

しかし、1年～2年は我慢できても甘い誘惑がたくさんあったのです。
2002年に引退し、親方として第2の人生を歩み始めたのですが、2010年に野球賭博に手を出し、結果相撲協会を解雇されました。

さらには、昭和の大横綱・大鵬さんの娘さんとも離婚し、ギャンブルですべてを失ったのです。

現在の貴闘力さんは！？

今は都内を中心に、焼肉店を11店舗経営していて、一番売っている店で、年間1億2000万円くらいの売り上げがあります。
毎日のように閉店まで店に立ち、自らを過酷な労働環境に置く貴闘力さん。

そうすることで、ギャンブルの誘惑を断ち切ろうとしているのです。
さらには、自分と同じようにギャンブル依存症に苦しむ人の力になりたいと、これまでの経験を生かし、講演活動を行っています。

月に4回くらいは地方に講演に行き「ギャンブルしたらアカンで、自殺してしまうで」と訴えています。
300万円くらいの借金を払えず、消費者金融から追いつめられ死ぬ人も多いのです。
貴闘力さんは今の所、2年はギャンブルをやっていませんが、「明日やるかもしれない」という誘惑と今も闘っています。
[出典:2017年1月19日放送「じっくり聞いタロウ」]