★古今亭志ん生(五代目)天狗裁き

古今亭志ん生(五代目)


『天狗裁き』(てんぐさばき)は、古典落語の演目。元々は上方落語の演目の一つである。
長編落語『羽団扇』(演じ手は2代目三遊亭円歌など)の前半部分が独立して、一席の落語となった。
現在の演出は、上方の3代目桂米朝が発掘・再構成し復活させたものによる。
東京では5代目古今亭志ん生が得意とした。

あらすじ

家で寝ていた八五郎が妻に揺り起こされる。「お前さん、どんな夢を見ていたんだい?」
八五郎は何も思い出せないので「夢は見ていなかった」と答えるが、妻は納得せず、隠し事をしているのだと疑う。

「夢は見ていない」「見たけど言いたくないんだろう」と押し問答になり、夫婦喧嘩になってしまう。

長屋の隣人が夫婦喧嘩に割って入るが、経緯を聞いた隣人も夢の内容を知りたがる。
「そもそも夢は見ていないので話しようがない」と八五郎は言うが隣人は納得せず、またも押し問答から喧嘩になってしまう。

今度は長屋の大家が仲裁に入った。大家もやはり八五郎の夢について知りたがる。
八五郎は「夢を見ていない」と弁解するが大家には信じてもらえず、「隠し事をするような奴はこの長屋から出て行け」と言われてしまう。
八五郎が立ち退きを拒否したため、奉行所で詮議されることとなった。

奉行は八五郎に好意的だったが、やはり八五郎の夢に興味を持ち、見た夢を聞き出そうとする。八五郎は「夢は見ていない」と答えるが奉行の怒りを買い、縛り上げられて奉行所の庭木に吊るされてしまう。

吊るされた八五郎が途方に暮れていると、突風が吹いて八五郎の体が宙に浮く。
気が付くと山奥にいて、目の前には大天狗が立っている。

奉行所の上空を飛翔中、理不尽な責苦を負わされている八五郎に気が付いたので、助け出したのだと大天狗は言う。
大天狗もまた八五郎の夢のことを聞きたがる。

「夢を見ていないので話しようがない」と八五郎は今まで同様に弁解するが、やはり信じてもらえない。
大天狗は怒り出し、八五郎の喉元につかみかかる。首筋に大天狗の長い爪が食い込み、八五郎は苦しみ悶える。

気が付くと八五郎は家で寝ていて、妻に揺り起こされていた。うなされていたようだ。

「お前さん、どんな夢を見ていたんだい?」

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