ドラマ『フジコ』全6話/ネタバレ・あらすじ・感想(原作:殺人鬼フジコの衝動) 

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huluオリジナルドラマ「フジコ」あらすじ・ネタバレ・感想

オリジナルドラマ「フジコ」1話~6話

原作は真梨幸子による「殺人鬼フジコの衝動」(徳間書店刊行)。
50万部を超えるベストセラーとなりました。

実話と勘違いするリアル感!秀逸なモキュメンタリー小説

モキュメンタリーとは、映画やドラマの表現方法のひとつで、ドキュメンタリーにみせかけた、フィクションのこと。「映像化不可能」と言われたこの作品。WOWOWドラマ「5人のジュンコ」も衝撃的でした。

HuluとJ:COMで独占配信のこの作品。血だらけの衝撃のシーンが満載です。
観るのが耐えられない人は、最後まで読んでいただければ詳細なネタバレが書いてあります。
ネタバレを読んでから観るのもおすすめです。

オリジナルドラマを観る前に、原作を堪能してみる

原作あらすじ

十数人を殺害した罪で死刑になった伝説の女、通称“殺人鬼フジコ”。
彼女は、11歳のときに起こった一家惨殺事件のただ1人の生き残りだった。
悲劇を乗り越え新しい人生を歩もうとしていた少女は、なぜ稀代の殺人鬼と恐れられる悪女へ変貌したのか。
フジコを知るある人物の遺した記録小説という形で、謎と悲劇に満ちたフジコの一生を描いていく。[出典:殺人鬼フジコの衝動(Wikipedia > https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AE%BA%E4%BA%BA%E9%AC%BC%E3%83%95%E3%82%B8%E3%82%B3%E3%81%AE%E8%A1%9D%E5%8B%95]

原作:フジコの一生

フジコは苛酷な人生を送った殺人鬼です。彼女の一生を以下に詳しくまとめてみました。

  • 幼少期:フジコの幼少期は悲劇の始まりでした。彼女は両親と妹を惨殺され、家族を失いました。この出来事は彼女の人生に深い傷を残しました。
  • 新たな生活:叔母に引き取られたフジコは新たな生活を始めました。彼女は過去の悲劇から逃れ、叔母の元で再出発することができました。しかし、心には深い傷が残りました。
  • 初めての犯罪:ある日、フジコは勘違いからインコを殺したとされる同級生のコサカを殺してしまいます。彼女は犯罪の道に足を踏み入れ、その後の人生に暗い影を落とすことになります。
  • 恋愛と友情:フジコはレコード屋で働く裕也と出会い、彼との恋愛関係を築きます。また、バイト仲間の杏奈とも親友になります。この時期、フジコには初めての幸せが訪れたように思えました。
  • 裏切りと復讐:しかし、フジコは裕也と杏奈の浮気を知ってしまいます。さらに、彼女は裕也が杏奈を殺害している現場を目撃してしまいます。怒りと復讐心に駆られたフジコは、裕也に止めを刺しました。
  • 恐ろしい行動:フジコと裕也は杏奈の遺体をバラバラにし、処分するという恐ろしい行動に出ました。彼らの罪を隠すため、彼らは共犯者となりました。さらに、フジコは裕也の子を身ごもり、彼との結婚を迫られました。
  • 新たな生活の始まり:フジコは裕也との結婚後、裕福な生活を送ることになりました。彼女は美波という子供を出産し、裕也の実家での生活を始めました。しかし、居心地が悪くなり、フジコは保険屋として働き始め、裕也と美波と共にアパートで暮らすことになります。
  • 暴力と決別:裕也は働かずに浮気に走り、フジコの努力が無駄になることに気づきます。彼女の怒りは頂点に達し、美波への虐待が始まります。フジコは裕也に愛想を尽かし、美波も押し入れで動かなくなっていたため、彼らをゴミとして処分することを決断します。
  • 再出発と変貌:フジコは新たな場所で顔を美しく保つために整形手術を繰り返します。彼女はお金持ちの男性に見初められ、早紀子という子供を出産します。しかし、男性の会社が倒産し、フジコは極貧生活を強いられることになりました。
  • 暗い現実:ストレスや怒りから、フジコは簡単なことで人を絞めて殺すことが常習となってしまいます。彼女は指名手配され、逃亡生活を送ることになりました。この時点で彼女の人生は暗い闇に覆われていました。
  • 最後の犯罪:フジコの夫からのからかいや現在の生活への不満から、彼女は夫を殺害します。彼女の犯罪歴はさらに深まり、彼女は逃亡者としての生活を続けることになりました。 

    以上のように、フジコの一生は、数々の過酷な試練や犯罪行為に満ちたものでした。彼女の人生は壮絶かつ濃密なものであり、その行動の背後には彼女の苦悩や絶望が存在していたことがわかります。

原作:意外なトリックと恐怖の二重の真実(ネタバレ注意)

フジコの衝動による殺人を描いた原作「殺人鬼フジコの衝動」には、予想外のトリックと恐怖の二重の真実が秘められています。

意外な真実が明かされる:フジコと早紀子の親子関係

1章では、フジコの子供である早紀子が主人公として登場しますが、その後の展開で驚きの真実が明かされます。実は、この小説は一世代を超えた親子の物語なのです。早紀子はいじめに苦しむ中、運命を変えるために同級生を電車に轢かせるという選択をしますが……その主人公はフジコではなかったのです。

虐待と絆:フジコと早紀子の共通点

物語はフジコと早紀子の両方の人生を描いていますが、彼らには共通点があります。両親からの虐待を受けた彼らの関係は、長い間続いていたのです。親子の絆と苦悩が物語の骨子となっています。

二重のトリック:架空の小説家早紀子

さらに、もう一つの大きなトリックが明かされます。実は、「殺人鬼フジコの衝動」という小説は、架空の小説家早紀子によって書かれたものだったのです。
フジコの娘である早紀子は、母が捕まり死刑が決定したことをきっかけに、自らの運命から逃れずにこの小説を執筆したのです。この小説は、彼女の心の叫びが詰まったものでもあるのです。

衝撃の結末:早紀子の死の謎

一見するとさほど驚きのないトリックですが、実は物語の最後で、早紀子が殺されたことが明らかになります。では、なぜ早紀子は殺されたのでしょうか?
ここが物語のもう一つのクライマックスとなります。
その秘密は、はしがきやあとがきにあります。早紀子の妹である美也子が、出版前に亡くなった姉と母フジコの真実を明かすため、自らの手で出版することを決意します。

二人の真実に近づきすぎた結末

そして、物語の終わりに向かう最後の最後で、早紀子自身が語ります。
「これからフジコの両親と家族を殺した犯人らしき人に事情を聞きにいく」と。
読者は物語が終わったと思い、次のページをめくると、そこには美也子の遺体の一部が発見されたという情報が書かれています。つまり、架空の作者である早紀子とはしがき、あとがきを書いた美也子は、真実に近づきすぎたために殺されたのです。

隠れた恐怖:もう一人の殺人鬼

物語の結末において、驚愕の事実が明かされます。フジコとは別にもう一人の殺人鬼が「殺人鬼フジコの衝動」に潜んでいたのです。しかも、それは身近な人物であり、しかも殺人鬼の姿をしていたのです。この事実によって、読者の背筋は凍りつくほどの恐怖が広がります。

原作・登場人物

森沢藤子
通称“殺人鬼フジコ”。
昭和46年10月26日に起き、迷宮入りした「高津区一家惨殺事件」の生き残り。本人も瀕死の重傷を負うが一命を取りとめ、叔母に引き取られる。悲劇を乗り越え健気に生きようと努力していたが、やがて、整形手術依存へ陥り、少なくとも15人を殺した伝説の殺人鬼へ変貌していく。
森沢慶子
フジコの母親。自身の見栄のための散財は惜しまないが、子どもたちの給食費や学用品の費用は支払わず、だらしない生活を送っている。フジコにとっての反面教師。「高津区一家惨殺事件」の被害者。
森沢遼一
フジコの父親。フジコに暴力を奮っていた。「高津区一家惨殺事件」の被害者。
森沢沙織
フジコの妹。「高津区一家惨殺事件」の被害者。
下田茂子
慶子の妹。事件後、姪のフジコを引き取り育てる。カルト宗教Q教団の信者。
下田健太
下田家に住む茂子の息子。続編の主要登場人物の1人。
上原早季子
フジコの娘。続編の主要登場人物の1人。
上原美也子
フジコの娘。続編の主要登場人物の1人。
小坂恵美
フジコの小学校の同級生。フジコの最初の殺人の被害者と思われる。
小坂初代
恵美の母親。化粧品のセールスレディをしており、フジコの母親とも親交があった。
[出典:殺人鬼フジコの衝動(Wikipedia > https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AE%BA%E4%BA%BA%E9%AC%BC%E3%83%95%E3%82%B8%E3%82%B3%E3%81%AE%E8%A1%9D%E5%8B%95]

ドラマ・キャスト人物相関図

フジコ……尾野真千子
高峰美智子(駿芸社・「駿芸」編集部)……谷村美月
若村 春(駿芸社・「駿芸」編集部)……丸山智己
水谷編集長(駿芸社・「駿芸」編集部)……リリー・フランキー
小坂初代……浅田美代子
下田茂子(天水教信者)……真野響子
上原英樹……高橋努
[出典:殺人鬼フジコの衝動(Wikipedia > https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AE%BA%E4%BA%BA%E9%AC%BC%E3%83%95%E3%82%B8%E3%82%B3%E3%81%AE%E8%A1%9D%E5%8B%95]

1話~6話 全話ネタバレあらすじ

ドラマ「フジコ」第1話

殺人鬼・フジコの半生が書いてある原稿が、駿芸社・「駿芸」編集部の高峰美智子に届きます。
送り主は、フジコの実の娘で、3日目に自殺体で発見された上原早季子。

水谷編集長の命令で、刑務所にいるフジコに会って話を聞く美智子。
「あたしは蝋人形 おがくず人形……」と歌う美智子。
「私は夢見るシャンソン人形 この世はバラ色のボンボンみたいね」Poupee de cire, poupee de son(夢見るシャンソン人形)
それは、目覚まし時計についているオルゴールの曲。

フジコの娘、早季子と妹の美也子は、食事も満足に食べさせてもらえません。
さらには、給食費もフジコからもらえません。
ある日、体操着が渇かず、妹と1枚の体操着を使うことに。
しかし、ブラウスの下に下着を着てこなかった早季子は、体操着を脱ぐと透けてみえてしまいます。
それがいじめっこの男子・加藤にバレてしまい、「おっぱいおっぱい」といじめられ、さらには教室で我慢していたおしっこを漏らしてしまいます。
放課後、まちぶせていた加藤に暴行され、ぼろぼろで帰ってくる早季子。
フジコは給食費を持たせずに、自分は整形や化粧品に散財しています。

早季子は、母からの暴行、さらには父から気絶するまで蹴られます。
フジコもまた、夫に整形した鼻を殴られてしまいます。
早季子は殴られながら「あたしは蝋人形 おがくず人形……」を頭で繰り返していました。

「親が許す」かどうか決めるのはおかしいという高峰に、声を荒げるフジコ。
「親が許すかどうかで全て決まる。生きていいかも親が決める。許されなかったら殺される。生まれたときからそう決まってんの! 私は許されなかった。だから殺されかけた……」

フジコが「殺されかけた」ことを覚えていると言ったことから、「中津区一家惨殺」を調べ始める美智子。
1977年9月26日、上原藤子(旧姓・森沢藤子)は当時10歳。
父・母・妹を惨殺され、母の頭部を抱きかかえていたフジコだけが、首を切られながらも生き残っていました。

美智子は、水谷編集長に「犯人はフジコではないか?」と言います。
当時のことを聞くために、事件の後にフジコを引き取った叔母・下田茂子に話を聞きにいきます。
茂子の部屋には、「天水」と書かれた天水教の仏壇があります。
中津区の事件の犯人は「フジコ」なのでは?と聞く美智子に激高する茂子。
「私だけはあの子を信じます」と言う茂子。
「あの子は、好き勝手に生きた母親のカルマ(業)を背負うことになった」と言う茂子。

アロエをハサミで切って、かじってみる早季子。
そこへゆっくりとフジコがやってきて、ハサミをとりあげ、血のついた千円札を3枚渡します。
「持っていきな、給食費」と言って、「私は夢見るシャンソン人形……」と歌うフジコ。
「歌詞が違う、あたしは蝋人形 おがくず人形……」と歌う早季子に、「違うね、早季子が間違ってる」と言うフジコ。

給食費を先生に渡そうとする早季子を男子トイレに連れてきて、「服を脱げ」と言ういじめっ子の加藤。
お金を取り上げようとする加藤を振り払うと、加藤は便器に頭をぶつけてしまいます。
怖くなって学校を飛び出す早季子を追いかける加藤。
踏切の警報が鳴る中、早季子が渡ると、追いかける加藤の足が線路に挟まれ抜けなくなりました。
助けを求める加藤を背に、遠くを見上げると、血まみれの母・フジコが手招きをしています。
「お母さん……」とつぶやく早季子の股から流れる一筋の血。
泣き崩れる早季子の背後を通過する電車。

早季子の原稿に同封されていた、給食費としてもらった血まみれの千円札をフジコに見せる美智子。
同じマンションの吉岡みずえを殺害して奪ったお金だという美智子。
「どうしても給食費を渡したくて、そのためだけに殺害したんじゃないんですか?」と美智子。
そして、原稿が届いた3日前に早季子が自殺したことをフジコに告げます。

「あなたは、母親に似てる……死んじゃいなさいよ」という声が聞こえ、髪を振り乱すフジコ。
「違う、私はお母さんと違う。私は早季子を殺そうとしてない、してない!」と叫ぶフジコ。
フジコの首の傷と同じものが早季子の首にもあるという美智子。

「あなたは、夫の英樹さんを殺害したあと、帰宅した早季子さんのどを刃物で掻っ切って……。でも、早季子さんはそれを書かなかった。母親に殺されそうになった事実を書きたくなかったんじゃないでしょうか?」
美智子は、早季子は、殺人鬼のあなたではなく、母親としてのあなたを知ってほしかったのでは?と言います。
フジコは笑いながら「あのとき私に殺されてれば良かったんだよ」と言い、看守に抱えられながら出て行きました。
涙を流す美智子。

住んでいたマンションを見上げる美智子。
実は高峰美智子は上原美也子でした。
逮捕される母・フジコと、重症を負って救急車に運ばれる早季子を思い出す美智子。
「お姉ちゃんは、遺したこの原稿に最後の希望を託してたんだと思う。お姉ちゃんの言ったとおりだ。夢も希望も持たなければ、きっと絶望もない」
そう言って歩き出す美智子に「待ちなよ、みっちゃん。極論で……」と言う同僚の若村 春。
「春にはわからない、自分の母親が殺人鬼で……」
「みっちゃんはもう、上原美也子じゃない、高峰美智子として生きてる。俺も一生そのつもりで……」
「それでも、あの女の血がこの体に流れてる。いつか春を殺してバラバラにして消そうとするかも知れない」

独房で家族写真を破りながら、夢見るシャンソン人形の歌を歌うフジコ。
10歳の事件の記憶を思い出すフジコ。
父親の頭が転がっている部屋で、血だらけの女が「カルマ、カルマよ……こいつらが持って生まれた運命……」とフジコに言います。
同じように夫を殺し、血だらけの部屋にやってきた早季子の首に包丁をあて、「このまま生きていても、あなたの人生なんてろくなもんじゃない。所詮、親のようにしか生きられない」と、自分が女に言われた言葉を言うフジコ。
「どうにもならない、だって、あなた母親似じゃない」

★★

ドラマ「フジコ」第2話

独房でうなされるフジコ。

自室にいる美智子は、家族写真のフジコに向かって「お前が死んだときにも、ざまあみろって笑ってあげるから」とつぶやきます。

面会室でフジコに、「あなたが家族全員を殺した」と言う美智子。
美智子は、「日常的な両親からの暴力、給食費も持たせてもらえない、妹は陰にかくれていた、あなたは家族全員を恨んでいた」とフジコに言います

「人を殺しても、バラバラにすれば証拠はなくなり、警察につかまらない、人生をリセットできると考えるようになった」と説明する美智子の前で、「あなたは、母親に似てる。生きていても仕方ない」という母の声が聞こえるフジコ。

母に首を切りつけられ、目を覚ますと病院のベッドにいるフジコ。
側にいるのは母の妹、叔母の茂子。

突然面会室で倒れるフジコ。

喫茶店で「あなたが殺したっていくらなんでも雑すぎ」と若村に言われる美智子。
「ここで取材を下ろしてもらえば」と勧める若村に、姉が何故原稿を残して自殺したのかを知りたいという美智子。

姉の早季子は「学校でのいじめ」「親からの虐待」と、フジコとまったく同じ道をたどっていました。
殺されかけた首の傷も一緒、その後、フジコ同様、叔母の茂子に引き取られていました。
美智子は、事件から遠ざかるために高峰家に。
フジコを知ることが姉を知ることになると考える美智子。

茂子に連れられ、富士吉野駅に来たフジコ。(静岡県吉野町)
茂子の家には、夫と息子がいました。

フジコが通った富士吉野小学校を訪ねる美智子。

フジコに、小学校の同級生、クーコ、ミサリン、ノンノ、ヨッチン、小坂恵美の名前を挙げる美智子。

編集部で若村と話しながら、中津区一家惨殺事件の犯人はフジコではないかも?と考える美智子。

クーコのグループに入ったフジコでしたが、クーコに西城秀樹のレコードをねだられ、茂子にお金をせびるフジコ。
しかし、茂子に断られ、レコードを万引きしようとして店員・辻村裕也に見つかってしまいます。
その帰りに小坂恵美と出会い、一緒に遊んでいるところをクーコの仲間が見ていました。
それによってクラスみんなから浮いてしまうことに。
クラスのカナリアが死んでしまったとき、落ちていた殺虫剤を手にしていたところを小坂恵美に見られ、誤解されたフジコは、「バレなきゃいいんだ」とつぶやいてカナリヤをバラバラにして焼却炉へ。
殺虫剤を持ってきてたのはクーコ。
小坂恵美に石炭室に呼び出されたフジコは、首を絞めて彼女を殺害、これが最初の殺人でした。

美智子は、ヨッチンからカナリアのことを聞きました。
みんなは、殺虫剤を持っていたクーコだと思っていたのですが、本当は違いました。
ヨッチンは、小坂恵美がカナリアの首を絞めたのを見ていました。
母親からの虐待が、小坂恵美を歪ませていました。

美智子はフジコに、「小坂恵美はフジコと友だちになりたかったのでは?」と言います。
フジコは、茂子の手を握ろうとしたときに握ってもらえなかったことを思い出します。
「つかもうとしたって無駄よ、みんな逃げてく……だから、逃げないものを手に入れる。自分が自分を裏切ることはないから」というフジコ。
「逃げていくなら追いかければいい。あなたはそうしなかった。そうじゃないんですか?」という美智子。
フジコは涙を流し、「さ、どっちだ?これは本物の涙?それとも、偽物の涙?」

★★★

ドラマ「フジコ」第3話

編集長に呼ばれ、天水教教団の3年前の講演ビデオを見る美智子。
講演しているのは、フジコそっくりに整形した妊婦の早季子でした。
早季子は教団の男性の子どもを身ごもっていました。
美智子は、早季子が自分の子どもを殺したと思っています。
「自分が怖い、きっと私も同じことをする」と若村に言います。

美智子が心配で、美智子の部屋に来ている若村。
あらためて、自分に殺人鬼の血が流れていると感じる美智子。
美智子の書いたフジコの系図に出てくる「辻村裕也」は、フジコが純粋に女として子どもを産んでもいいと思った人でした。
辻村裕也は、レコード店の店員で、司法試験を目指す大学生、家は資産家。

高校生になったフジコ。
中学では優等生で、高校は推薦で入学。
夏休みにバイトをしたいというフジコに反対する茂子。
「あなたのお母さんも、中学までは順調で、高校でつまづいた」
私はお母さんとは違うというフジコ。
男だけは気をつけないさいという茂子。
裕也とは男女の関係にあったフジコ。

フジコはデパートのバイトを始め、同じ高一の大月杏奈と友だちになります。
杏奈は美人で裕福で一人ぐらし。
フジコは杏奈とはベストフレンドでした。

早季子の教団葬のために天水教にやってきた美智子。
美智子を迎えた茂子は、美智子がアパートに訪ねてきたときから美也子だと気づいていました。
美智子は早季子の子どものことを聞きます。
早季子は子どもを産んだ途端、フジコとの血のつながりに怯えはじめ、心のバランスを崩しました。
子どもの父は教団を去っていて、子どもを連れていったので茂子たちも連絡できないといいます。

教団葬の早季子の写真に向かって話しかける美智子。
「お姉ちゃんは逃げたんだよ。私は逃げない、何があっても抗ってみせる。だから、さよなら」
振り返る美智子に「わざわざ、ありがとうね」と言ったのは、小坂恵美の母・初代でした。
小坂初代も天水教の信者でした。

フジコ、杏奈、裕也の3人で街を歩いています。
裕也はバイトに出かけ、フジコと杏奈の2人に。
そこへ、小坂恵美事件の犯人を捜すチラシを配っていた、小坂初代に出会います。
「あなたのおばさんからよく聞いてるわ」という初代。

フジコから小坂恵美の話を聞き、「私とよく似てる、殺されてたのは私だったかも」という杏奈。
「杏奈は小坂さんとは違うよ。杏奈を殺したりしないよ」と言い、「えっ?」と杏奈に聞き返されてしまうフジコ。

杏奈の家に来て、妊娠していることを話すフジコ。
杏奈は中絶したほうが良いと勧めます。

美智子と裕也のときのことを話すフジコ。
その後フジコは、独房で当時の記憶を思い出しながらノートに書きだします。

裕也の留守中、車から杏奈の下着姿の写真を見つけ、「なにこれー!?」と何度も叫ぶフジコ。
その後、杏奈に写真を見せ、裕也との関係を問い詰めるフジコ。
裕也とは会わないと約束する杏奈。

茂子はフジコに、杏奈が裕也の車に乗ってタバコを吸ってたのを見たと言います。
何度も「あなたのお母さんみたいになってほしくない」という茂子に、「私はお母さんじゃない」と叫ぶフジコ。
「おとなしくしてれば、どいつもこいつもいい気になって……。こんなみじめな人間にして……。許さない、許さない、あの女だけは許さない」

「甘くみないでよ、私はあんたに見下される安い女じゃない。私はね、人を殺したことがあるんだ」とつぶやきながら杏奈の部屋に来たフジコ。
部屋に入ると裕也が立っていて、杏奈が倒れています。
「殺しちゃったよ、俺」と言う裕也。
裕也は杏奈と結婚を考えていましたが、杏奈に別れると言われたので殺したのでした。
泣き崩れる裕也に、「私のことは、あんたとか、お前とか、それとか言うくせに、何が杏奈ちゃんよ」
フジコが杏奈の顔を見ると、まだ目が動いていました。
そのままフジコは杏奈の首を絞め、杏奈は完全に動かなくなりました。
「車に積んで捨てに行く」と言われ、フジコと共に山に向かう裕也。
バラバラにするため、裕也に包丁を持たせるフジコ。

「裕也の秘密を守るから結婚して、私今日で16歳」と迫るフジコに、結婚を了承する裕也。
杏奈の血で血だらけの2人、そしてお腹に赤ちゃんがいることを告げるフジコ。

美智子は、「あなたをずっと追いかけていた石川記者を殺したのはあなたでは?」とフジコに切り出します。
石川が遺したメモに、中津区一家惨殺事件の容疑者リストの中で、最後に残っていたのがフジコだったからです。
「あんた……母親……似てる」という声が聞こえてくるフジコ。
中津区一家惨殺事件についての仮説を話し出す美智子。
しかし、フジコには母親の声が聞こえてきます。
美智子は、中津区一家惨殺事件の犯人はフジコで、石川を殺したのもフジコ。
なぜなら、石川もバラバラになっていたから。
「バラバラにすればバレない」とフジコがよく言うから。
しかし、フジコが思い出した記憶は、石川にスタンガンをあてた「誰かの手」。

★★★★

ドラマ「フジコ」第4話

水谷編集長に、「おまえが上原美也子だということは前からわかっていた」と言われる美智子。
「フジコに実の娘をぶつけてみたかった」と言い、謝る水谷。
石川記者は「戦友」みたいなもので、「弔い」がしたかったという水谷。
美智子の携帯にかかってきた非通知の電話。
「その原稿、返してもらえますか?危険を冒してまで、わざわざ調べることもないでしょう」
その声は、小坂恵美の母・初代でした。

20歳になり、顔を整形したフジコ。
その後、銀座のホステスになります。
テレビ局の取材を受けるフジコ。
その店に来ていた上原英樹とは男女の関係に。
上原は妻に離婚交渉中、フジコは夫と別居して3年。
店の客がフジコを見て「なんだ、作り物か」と言ったことに腹を立て、その後殺害してバラバラに。
次のシーンで、自宅マンションで上原とカニをバラバラにして食べる場面が。
フジコの店に化粧品営業で訪れていた小坂初代。

編集部で若村に、「電話の主」が小坂初代だと気づいたことを話す美智子。
石川の取材メモに、中津区一家惨殺事件容疑者として「化粧品セールスレディ」と書かれていました。

フジコの面会に来た茂子。
茂子は天水教の大幹部で、会合のついでだと言います。
「私たちは、離れられない家族なのよ」という茂子。

フジコの銀座の店を訪ねてきた茂子。
「ほんと見違えた、綺麗になって」
テレビを見て探してきたという茂子。
豪華な自宅に茂子を連れてきたフジコ。
3年前に裕也の実家から電話があり、失踪宣告を出したという茂子。
「あなただって行方不明だってことになってたのよ」という茂子。
子どもの泣き声を聞き、隣室を開けた茂子。
「ミナミちゃん、もう小学生のはずよね?」という茂子に、「ミナミって!?この子は早季子よ」

茂子は、上告が棄却されれば家族しか会えなくなると言い、「私と養子縁組しない?」とフジコに言います。
早季子の子どもを捜して連れてくるからとフジコに言う茂子。

もっともっと幸せになると言うフジコに、「どんなに顏を変えても、母親と同じカルマ(業)を持っている。カルマだけは変えられない」という茂子。
「もう顔を見たくない、私を育てるのにいくらかかった?」と言って、札束をばらまくフジコ。
フジコの自宅を出て行く茂子の姿を、陰で見ている小坂初代。

編集部で、小坂初代が7年間服役していたかを調べる美智子と若村。
「当時の苗字は小坂じゃないかも!?」
山本初代という女が、痴情のもつれから愛人を殺害、罪名は「死体損壊遺棄」。
この事件の資料を探してくる若村。
新聞記事の写真は、小坂初代の顔でした。

編集部で水谷に、「石川記者は小坂初代にたどりついて殺害された可能性がある」と言います。
石川もバラバラになって見つかりました。
「フジコも杏奈をバラバラにしたのでは?」という水谷。
美智子は、フジコの場合は、「跡形もなくなっている」と言います。
しかし、小坂の静岡死体損壊遺棄事件、中津区一家惨殺事件、石川殺害は、どれもすぐに遺体が見つかっている……。
「隠すためにバラバラにした割には、雑というか……」という美智子。
石川の親族や記者仲間にあたってみる、そして、小坂初代にアポをとってみるという水谷。
「お前もこの仕事で、ジャーナリストとして評価を受けるといいな」という水谷。

「石川の首にスタンガンをあてたのは小坂初代」だったことを思い出すフジコ。
刑務所の廊下で立ち止り、「腐れ縁……」とつぶやくフジコ。

フジコの面会にきた美智子は、「中津区一家惨殺事件と石川殺害」をフジコが犯人だと決めつけていたことを謝ります。
警察がわからなかったことをあんたが追いかけても無駄というフジコ。
中津区一家惨殺事件も石川殺害も、自分がやったというフジコ。
「どうしても納得がいかない」という美智子に、「しつこい!全部私が殺した」というフジコ。
早口でまくしたてるフジコに、「最初の子ども、ミナミちゃんを殺したのは、本当にあなたなんでしょうか?」
「私は納得いかない、あれをあなたがやったというのは、どうしても納得いかない」

裕也の実家を出て、狛江のアパートに引っ越してきたフジコとミナミ。
狛江の職安でフジコに声をかける生命保険の女性。
「あなたは契約するだけでいいの、掛け金は私が払う」
彼女が言うには、契約をとってもらえる分で保険料を払ってもおつりがくると。
「あなたもやってみる?」と言われ、生保レディになったフジコ。
しかし、フジコが保険のセールスから帰ると、他の女と浮気をしていた裕也。
押入れで泣くミナミに、「裕也がミナミを嫌うのはミナミが不細工だから」と言って、押し入れにガムテープを張りつけるフジコ。
杏奈を思い出して泣きだす裕也を、女が忘れていったパンストで首を絞めて殺すフジコ。
その後、スナックで働き始め、その店で売春をするフジコ。
店主にフジコを紹介して紹介料を受け取っていたのは、フジコを生保レディに誘った女でした。

狛江の職安の前で佇むフジコに声をかけてきた茂子。
「困ったら訪ねてきて」という茂子の手を握ろうと手を伸ばしますが、母親の話が出た途端、手を引っ込めるフジコ。
ミナミの話をされ、「ちゃんと子育てしてます」と言うフジコ。
アパートに帰宅し、ガムテープを貼りつけた押入れを開けるとミナミの姿はなく、側には血のついた包丁とたくさんの黒いゴミ袋。
結局、ミナミを殺したのはフジコでした。

美智子はフジコに向かい、「あなたは幸せになろうとしてた、母親と同じ人生を歩まないように抗って生きてきた、違いますか?」
「ちがうね、クズの子はクズ。ひどい環境に生まれたら、もう受け入れるしかない」というフジコ。
「取材はもう終わり、もし私からの手紙が届いても破り捨てて、気が変わったから」というフジコに、「取材は終わりにできません。まだ何も終わってないから」という美智子。

編集部に戻ると、フジコからの手紙が。
そこには、美智子に「養子縁組しませんか?」というフジコからの提案がありました。
若村は、養子縁組しなくても、上原美也子に戻ればいいじゃないかと言います。
「それはできないし、戻る場所なんてないよ。もともと、母親と娘だったことなんて、一度もなかったんだから」という美智子。
「水谷編集長と連絡がとれない」と騒ぐ編集部。
美智子が、「そういえば、小坂初子とアポとれたって言ってた」と言います。

独房でよみがえるフジコの記憶。
中津区一家惨殺事件の犯人で、自分のクビを包丁で切ったのは小坂初代でした。
「あー……小坂初代……」とつぶやくフジコ。

★★★★★

ドラマ「フジコ」第5話

森の中の地中から聞える携帯の着信音。
電話をかけているのは、美智子の自宅にいる若村。
小坂初代は住所不定で見つけようがないという若村。
若村は美智子に、早季子が死んで3日後に届いた原稿は「誰かが預かっていたのでは」と言います。
それは早季子の夫では?といい、天水教の元信者とアポと取るという若村。
若村に「養子縁組は?」と聞かれ、「するわけない」という美智子。
「だって、あの人の話の中に、美也子って名前が出てきたことすらない」

面会にきた美智子。
突然「あの女!小坂初代!」と叫びながら入ってきたフジコ。
「小坂初代だったのよ!あいつが私の家族をぶっ殺した!いますぐあいつをぐちゃぐちゃにしてやる!」と美智子に叫ぶフジコ。
フジコは、美智子と養子縁組をして、小坂初代に復讐しようと思っています。
美智子は、「私には、本を出版して事実を明らかにすることしかできない」と言います。
小坂初代のことで思い出したことを話しだすフジコ。

フジコが学校から帰ってくると、部屋中血だらけの惨状。
のこぎりと父の片手を持ってフジコに近付いてくる小坂初代。
のこぎりを捨て、包丁をもち、まだ息のあったフジコの母に「お前さえいなければ、私はあの人と一緒になれたんだ」と言って蹴飛ばす初代。
フジコに向かって話をする初代。
「これはカルマよ。カルマ。お前が持って生まれた運命。どうせ一生逃げられない。子どもはねえ、しょせん親のようにしか生きられない。死んじゃいなさいよ」と言って首を斬る初代。

初代はフジコの父と不倫関係にありました。
「いま考えれば、あいつずーっと見張ってたのかも、私が事件のこと思い出してないか」というフジコ。

上原英樹は会社がうまくいかず、お金もないのに散財する日々。
お金に困っていたフジコは、着物をツケで買うことを店員に断られ、着物の紐で首を絞め殺害し、レジのお金を強奪。
フジコがお金に困っていることを噂するホステスに「いい人紹介する」と言われ、ホテルでその男を殺害、スーツケースに遺体を入れ、自宅でバラバラにしてトイレに流します。
金目の良さそうな男に声をかけられ、ホテルで殺害。
鏡に向かい、「足りない、時間もお金も、なにもかも足りない」とつぶやく血だらけのフジコ。

フジコの自宅に化粧品のセールスにくるようになった小坂初代。
初代に頼まれ、保険に入るために夫と子どもの名前を貸すフジコ。
「ちがうわ、貸すんじゃない、一人3万円で名義を売る」

お金が無くなり、水道も止められ、新しいマンションに引っ越してきたフジコたち。
新居にやってきた茂子に「そういえばさっき、小坂さん見かけたんだけど。この部屋から出てきたように見えたんだけど、あなたあの人とおつきあいしてるの?」と言われ、ここで初めて、フジコは化粧品のセールスにきていた女が、小坂恵美の母・小坂初代だと知ります。
「フジコちゃん、あの人には気をつけて、逆恨みされてるかも知れない」
「どうして私が!?」
「だって、恵美ちゃんは若くして死んだのに、クラスメイトのあなたはこんな幸せな暮らししてる」という茂子。

美智子はフジコに、どうして自分が殺した恵美の母とその後も平気で付き合ったのか、申し訳ないという気持ちはなかったのかと聞きます。
「ないね、初代は自分の娘を虐待してんだから。殺されても何も言えないでしょ」
「だったら、あなただって早季子さんを虐待してたんだから、親を殺されても何も言えないですよね。小坂初代をぐちゃぐちゃにできなくても、何も言えないですよね」という美智子。
フジコにとっては、親が問題ではなく、首に傷をつけた初代をぐちゃぐちゃにしたいのでした。
小坂初代に会って確かめるという美智子。

早季子を虐待する母の目を逃れて隠れたいた美智子(美也子)に、「おまえはいてもいなくても同じ」と吐き捨てられる美智子(美也子)。
その場面を思い出す美智子。
「あの人の人生に、何も関係なかったんだよ」

母親に虐待される夢を見てうなされるフジコ。

編集部に来た美智子は、水谷編集長の遺体が見つかったことを知ります。
バラバラにされて山に埋められていました。

水谷の葬式の帰り、若村に「私いま、小坂初代を殺したいと思ってる、やっぱりあのクソ女の血が流れてる」という美智子。
教団を抜けて二人で暮らす早季子の夫・草場と子どもの居場所がわかったという若村。

記憶を思い出すフジコ。
血まみれで「フジコ、おまえは私とは違う」というフジコの母。
最後のとどめをさす小坂初代。

早季子の夫・草場と娘に会いにきた美智子と若村。
早季子は自殺じゃないという草場。
彼は、「私は、早季子は小坂初代に殺されたと思っています」
原稿のことで、初代に何度も呼び出されていた早季子。
彼によれば、「初代は教団内でかなりの力を持っていた。原稿を送る事と娘を守ることで精いっぱいだった」と。
どうして早季子が母そっくりに整形したのかを聞く美智子。
早季子には精神的な疾患があったと。
「つまりは、仮の人格、ということです」

フジコそっくりに整形した顔で、フジコの面会にきた早季子。
「私が広告塔になってから、信者が増えてる。みんな、殺人鬼・フジコを見たがってる」

いつも別の顔を持っている早季子は、天水教の信者が早季子にとって完璧な仮面だという草場。
「あれはただの人形だったんじゃないかって、今でもそう思ってしまうんです」
早季子の娘があやとりをしているのを見て、かつてフジコが自分とあやとりをしてくれたことを思い出す美智子。

独房の中で、一人であやとりのまねをするフジコ。

若村に、「早季子は幸せになろうとしてた、あの原稿でなにか伝えようとしてる」という美智子。
「お姉ちゃん、逃げてるんじゃなかった。私、フジコに言うよ。私が美也子だって言うよ」

フジコの面会にきた美智子。
「初代のことはもういい。最後に書いときな、フジコはやっぱり、自分とは違った、何も共感できない、生まれながらの殺人鬼だったって」というフジコ。
早季子の夫・草場と娘に会ってきたとフジコに言う美智子。
「早季子さんはこの原稿を怪しまれて、おそらく小坂初代に殺されています」
早季子は母親になろうしてたという美智子の言葉を否定するフジコ。
結局言い争いになり、美也子だということが出来なかった美智子。

編集部にいた美智子に、「小坂初代が死んだ」と告げる若村。

面会にきた茂子から、小坂初代が死んだことを聞かされるフジコ。
「小坂初代が死んだのなら、もうそれでいい」というフジコ。

★★★★★★

ドラマ「フジコ」第6話

新聞に「天水教幹部・小坂初代、大量の睡眠薬とアルコールによる自殺」との報道。
数々の事件をほのめかす遺書、筆跡鑑定で一致。
全ての犯行を認めた初代。

新聞を叩いて、「私は認めない、これで終わりって。ウソだ、こんなの!」と美智子。

草場に会いにきた美智子と若村、しかし、草場と娘は引越していました。
「本当に出てったのかな?なんか変な感じがするね」という若村。
草場の家に入ってみる二人。

茂子は、早季子の娘を連れてフジコの面会に来ていました。
「早季子に似て不細工だね」というフジコ。
上告が棄却され、死刑が確定したフジコ、もう会えなくなるねという茂子。
早季子の娘に手を伸ばし、娘も指を伸ばしますが、ガラスで遮られます。

草場の家にあった写真には、早季子の隣に茂子がいました。
茂子は幹部でした。
「茂子さんみたいなごく普通の主婦が、幹部になれるのかな?」という美智子。
「何か、教団に大きな貢献をしないとね」という若村。

早季子が面会にきた場面を思い出すフジコ。
原稿をフジコに読んでほしいと頼む早季子。
美也子に原稿を送るという早季子に、「あの子は、高峰って名前で生きてる他人だよ。誰も知らないヤバい事も書いてるんだろ?ほかの記者に送りな」とフジコ。
「たぶん、これを読んでも誰にもわからない。私たち家族にしかわからないから」という早季子。

天水教団にきた美智子。
祭壇には初代の写真。
教団に貢献した人がもらえるガラスの器に、1997年12月18日の日付で下田茂子の名前が。
それをカメラに撮る美智子。
突然扉が開き、入ってきた茂子。
「あなた、母親に似てきたわね」という茂子。

若村に、写真を見せる美智子。
「功徳って何だろう?」という若村に、前に茂子の部屋で、同じような賞状を見たという美智子。
1977年(昭和52年)、1994年(平成6年)、1997年(平成9年)に表彰を受けている茂子。
昭和52年は中津区一家惨殺事件、1997年はフジコが逮捕された年、フジコが事件に関係している年に茂子が表彰されていることに気づく美智子。
もう一度資料を調べ直す二人。

1994年は、裕也が失踪宣告を出され、法律上の死亡扱いになった年。
フジコの父親、フジコの二人の夫、表彰された年は、必ずフジコの周りで誰か死んでいます。
そのすべての保険金の受け取りが、下田茂子でした。
「功徳を積むって、保険金をお布施してたのか」と若村。
「茂子が容疑者リストから外れていたのは、フジコ、早季子を育てていたから。茂子にとってフジコは、完璧な隠れ蓑になってた」と美智子。
「まさか、そのために生かしておいた……」と若村。
「実行犯は小坂初代、だけど、それを裏で操っていたのは……」
フジコに会いに行くという美智子。
「お姉ちゃんがどうして、私に原稿を送ってきたのかわかった気がする。この原稿のラストには、二つの意味があったんだよ」

いじめっ子の加藤は死んでいませんでした。
早季子をいじめていた加藤を線路から助けたのは小坂初代でした。
早季子と手をつないで歩く初代。

原稿のあとがきを何度も書き直す美智子。
上原美也子としてフジコに面会することを決めた美智子。
「フジコの娘と知られるのが恐くて、一人で逃げてたのは私だった」と若村にいう美智子。
「上原美也子に飽きたら、若村美也子でもいいから、若村美智子でもいいし」という若村。

独房で、破った家族写真をテープで貼っていたフジコの元に、面会にきた美智子。
「18年前のあの日に、もう一度だけ戻らせてください、これが最後です」

上原英樹に殴られ、家を出てきたフジコ。
給食費のために、銀座で働こうとして追い返されます。
整形をカードで頼もうとして、侮辱する医者を絞殺します。
美容院で美容師を絞殺し、金を奪います。
道で会った元同僚のホステスを壁に打ち付け撲殺し、金を奪います。
朝になって自宅に戻り、血まみれの給食費を早季子に渡すフジコ。
寝ている英樹の首を、早季子からとったハサミで切ったフジコ。
ベランダに血まみれで立っているフジコを踏切のところで見上げる早季子。
血だらけの部屋にやってきた早季子。
早季子に近付くフジコ。
「汚れちゃったね。元通りにしなきゃね。どこまで戻ればいいんだろう、あんたが生まれる前?ミナミを殺す前?やっぱり、私が生まれる前?戻ってどうなるの?」
「どうにもならない」という声を聞き、早季子の首を切ったフジコ。
とどめを刺そうとしたとき、早季子が手を伸ばしてきました。その手を握り、包丁を落とすフジコ。

加藤は死んでいたという美智子。
原稿に書いてある「そびえたつ富士」は茂子を指す隠語で、そこへ早季子を連れて行く初代の姿は、茂子に意のままに操られていることを指すという美智子。
原稿に隠されていた二つの意味、一つは茂子が真の犯人だということ、もう一つは、家族に対してのメッセージ。
早季子は、すべてが血のつながりの連鎖で起こったのではないということを伝えたかったという美智子。
最後に、実の親子として言い合いのケンカをする二人。

刑務所から出てきた美智子に若村から電話が。
「つかれたけど、全部話せてすっきりした」という美智子。
その後ろ姿を、じっと見つめる茂子。

独房で、美智子が書いた本を読み終えるフジコ。
巻末には、「亡き高峰美智子に捧ぐ 若村 春」と記載。
そして、死刑執行の時間になり、「上原、時間だ、一人で歩けるか?」と迎えにきた看守に聞かれ、「はい」と答えるフジコ。
本を閉じると、「殺人鬼フジコの衝動 上原早季子・上原美也子共著」、表紙の写真を写真はテープで貼られた家族写真。
最後に、鏡に向かい、「こんなにババアだったっけ……」とつぶやくフジコ。

総括・感想

見ごたえのあるドラマでした。
映像を観ていない人でも情景が浮かべられるように細かく描写してみました。
私は単なるあらすじの羅列は好きではなく、印象に残ったセリフを書き残しています。
映像は、血が吹き出たりがてんこ盛りなので、まだ観ていない方は覚悟して観てください。

いわゆる「イタミス」の小説です。
”痛い、残虐なミステリー”

フジコの両親・妹を殺したのは小坂初代。
動機は、初代がフジコの父の愛人で、痴情のもつれから。
しかし、初代を裏で操っていたのはフジコの叔母の下田茂子。
とにかく、殺人が多くて面喰ってしまいます。
一番数が多いのはフジコ。

①まず、小学校の同級生の小坂恵美を殺したのが最初。
②次に、高校生のときに彼氏・辻村裕也を奪った大月杏奈。
③その後裕也と結婚し、働かずに愛人を部屋に連れ込み、杏奈を忘れられない裕也を殺害。
④裕也に続いて娘にミナミを殺害。
整形後に銀座でホステスになり、上原英樹と結婚。
⑤その店に来ていた「作り物か」と言った客を殺害。
上原の会社が傾き、水道も止められ、給食費も払えなくなったフジコ。
⑥着物の店の店員を殺害。
⑦同僚ホステスに紹介された男を殺害。
⑧声をかけてきた金回りの良さそうな男を殺害。
⑨整形外科医を殺害。
⑩美容院で美容師を殺害。
⑪道で元同僚ホステスを殺害。
⑫その後、早季子に血まみれのお金を渡し、ベッドで寝ている上原英樹を殺害。
ドラマに出てくるだけで12人。
実際は、もっと多いのかも!?

次は、小坂初代。

①まずは、愛人を殺害し、7年服役。
②③④フジコの両親と妹を殺害。
⑤早季子を殺害。
⑥石川記者を殺害。
⑦水谷編集長を殺害。
初代は7人の殺害。

次は、フジコの叔母・下田茂子。
この人が実際に手を下したのは、小坂初代と高峰美智子(上原美也子)の2人。
もしかしたら、早季子の夫・草場も殺しているかも!?
どうして茂子は初代を操ることができたのかがわかりません。
初代に保険金をかけさせたのは、フジコの父、フジコの二人の夫、フジコの二人の娘の5人。
すべて茂子が受取人で、そのお金を教団にお布施。

物語の最初は、フジコが一番悪いと思っていました。
中盤になるにつれ、フジコの人格を崩壊させた「中津区一家惨殺事件」の実行者、小坂初代が一番悪いと思いました。
しかし、最初から気になっていたのは叔母の茂子。
茂子が言う「カルマ(業)」は、血のつながりによる宿命。
フジコの母親、自分の姉を嫌っていた茂子でした。
ことあるごとに、茂子に「母親のようにならないで」と言ってきました。
でも、フジコの母親からカルマが来たのなら、フジコの母親の母親からも来ているはず。
それはまさに、茂子にとっても母親になります。
つまり、茂子も「カルマ」を引き継いでいるはずなのです。

茂子は、姉を憎んでいました。
それは宗教上の理由なのか、それとも個人的な恨みなのか。
それとも、ただ単に、保険金殺人のための方便だったのか。

殺人鬼・フジコを造ったのは、間違いなく叔母の茂子でしょう。
茂子の今後がどうなるのか、気になります。
茂子はフジコ、早季子を引き取って育てました。
早季子の娘も引き取って育てるつもりなのか、それとも、姉の血統、フジコの血統を根絶やしにするために殺すのか。

もしかしたら、茂子はすでに、「第二の小坂初代」を育てているかもしれません。
茂子の新たな計画は何でしょうね?あなたは予想できますか?(S.A.)

初回投稿:2017.2.8
更新:2023.05.29


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