【マッドフラッド】私たちには隠されている歴史の真実・第四回~宗教の嘘・灯台・水銀・錬金術の真実~【トリビア雑学・豆知識】

雑学・豆知識

この動画は、いわゆる「マッドフラッド」説や、古代の超技術文明、歴史の陰謀といったテーマを、錬金術やシンボリズムと結びつけて展開する、典型的なフラットアース的・陰謀論的主張を含んでいます。以下に、各主張に対して反論、論破し、一部肯定できる視点や論理補強を試みます。

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【主張への反論と論破、部分的な肯定と論理補強】

1. 隠された歴史と建築物の改変 (00:05~)

  • 主張の要約: 古い世界の建築物は意図的に変更され、特にここ200年で劇的に変化した。何かが隠され、消されている。
  • 反論/論破:
    • 建築様式の変化、増改築、修復は歴史を通じて常に起こりうる自然な現象であり、必ずしも「隠蔽」や「意図的な改変」を意味しません。戦争、災害、都市計画、所有者の変更、新しい技術の導入など、理由は多岐にわたります。
    • 「何かが消えている」という感覚は主観的なものであり、具体的な証拠が提示されていません。失われた技術や記録は歴史上存在しますが、それが世界規模の陰謀によるものだとするには飛躍があります。
    • 「マッドフラッド」説のような、短期間に大規模な地殻変動や泥の洪水が起きて文明が埋没し、その歴史が隠蔽されたという主張は、地質学的な証拠や考古学的な証拠と整合性が取れません。建物の地下部分が埋まっているように見えるのは、水害対策の嵩上げ、都市の累積的な堆積、あるいは元々の設計である場合がほとんどです。
  • 肯定できる点/論理補強:
    • 古い建築物の中には、当時の技術水準を考えると驚くほど高度なものや、現代でも完全には解明されていない工法や意図を持つものがあることは事実です。これらに対する探求心や疑問は知的好奇心として重要です。
    • 歴史の記録は常に勝者や権力者によって編纂される側面があり、特定の事実が強調されたり、逆に軽視されたりすることはあり得ます。しかし、それは動画が主張するような「グレートリセット」という壮大な陰謀とは異なります。

2. エーテルエネルギー、八角形、建築物の構造 (01:14~)

  • 主張の要約: 古代建築のアンテナはエーテルを集めていた。八角形はトーラスの渦生成に重要。ドームやタワーの中空空間にはエネルギー装置があった。
  • 反論/論破:
    • 「エーテル」は19世紀末にその存在が否定された物理学上の仮説です。現代物理学において、エーテルを介したエネルギー収集という概念は成り立ちません。
    • 建築物の上部にある突起物(アンテナとされるもの)は、避雷針、旗竿、装飾、風向計など、様々な機能的・装飾的理由で設置されます。
    • 八角形がトーラスの渦を生成するのに不可欠という主張に科学的根拠はありません。八角形は建築において、構造的安定性、デザイン上の美観、採光の効率化などの理由で採用されます。
    • ドームや塔内部の空間は、構造上の必要性(軽量化、強度確保)、音響効果、採光、通気、あるいは単に未使用の空間であるなど、エネルギー装置とは無関係な理由で存在します。ケルン大聖堂の尖塔のイラストも、建設中や修復中の足場や構造を描いたものと解釈するのが自然です。
  • 肯定できる点/論理補強:
    • 古代の人々が自然の力を理解し、利用しようとしていたことは確かです(例:太陽光、風力、水力)。その探求が、現代とは異なる宇宙観やエネルギー観に基づいていた可能性はあります。
    • 特定の幾何学模様(八角形含む)が、象徴的な意味や美的な調和のために好まれたことは多くの文化で見られます。

3. シリンダー状の装置と錬金術 (03:33~、07:23~)

  • 主張の要約: 建築物内部の空間にはシリンダー状の装置があり、エネルギーグリッドにアクセスしていた。錬金術は高度な技術であり、ファルコネリの著作や聖クリストファーの神話にそのヒントがある。
  • 反論/論破:
    • 「シリンダー状の装置」がエネルギーグリッドにアクセスしていたという具体的な証拠はありません。発見されている「シリンダーのようなもの」や「容器のようなもの」は、儀式用具、貯蔵容器、装飾品、あるいは建築部材の一部である可能性が高いです。
    • 錬金術は、物質変成(特に卑金属から貴金属へ)と霊的変容(賢者の石、エリクサーの探求)を目的とした、前科学的な哲学的・神秘主義的探求です。これを現代のエネルギー技術と直接結びつけるのはアナクロニズムです。
    • ファルコネリの著作は象徴的・秘教的解釈に富んでいますが、それを文字通り物理的な技術の記述と見なすのは無理があります。聖クリストファーの神話も、キリスト教的な信仰や道徳的教訓を伝えるものであり、金と水銀によるエネルギー生成の暗喩とするのは非常に飛躍した解釈です。
  • 肯定できる点/論理補強:
    • 錬金術が、後の化学の発展に繋がる実験や思索の萌芽を含んでいたことは事実です。また、単なる物質変成だけでなく、宇宙や生命の根源に関わる深遠な問いを探求していた側面もあります。
    • 神話や象徴は多層的な意味を持ち、時代や解釈者によって様々な読み解きが可能です。それらが当時の人々の宇宙観や価値観を反映している可能性はあります。

4. 水銀の役割と灯台 (16:07~、20:37~)

  • 主張の要約: 水銀はクリーンエネルギーであり、古い世界のテクノロジーの鍵。灯台のレンズ回転に使われた水銀は、元々エーテルエネルギー収集のためだった。
  • 反論/論破:
    • 水銀はエネルギー源ではなく、常温で液体の金属であり、電気伝導性が高いなどの特性を持ちますが、同時に非常に有毒な物質です。「クリーンエネルギー」という表現は誤りです。
    • 灯台のフレネルレンズを回転させるために水銀槽(水銀フロート)が使われたのは事実ですが、これは巨大で重いレンズを滑らかに、かつ低摩擦で回転させるための潤滑および軸受としての役割です。エネルギー生成やエーテル収集とは無関係です。
    • 水銀が電磁気力で渦を作ることはありますが、これが即座に大規模なエネルギーシステムに繋がるという主張は短絡的です。
    • 水銀の毒性を「誇張されている」とするのは危険な誤認です。水銀中毒は深刻な健康被害を引き起こします。
  • 肯定できる点/論理補強:
    • 水銀がその特異な性質(常温で液体、高い密度、電気伝導性、他の金属とアマルガムを作るなど)から、古くから様々な用途(薬、顔料、温度計、工業プロセスなど)に利用されてきたのは事実です。
    • 灯台の構造や技術は、当時の光学技術や精密機械技術の粋を集めたものであり、その工夫や美しさには目を見張るものがあります。

5. シンボルの解釈(ライオン、鷲、十字架、三日月、ヘルメスの杖、鉤十字) (35:06~、38:30~、48:58~、1:01:06~)

  • 主張の要約: ライオンと鷲(グリフォン)、十字架と三日月、ヘルメスの杖、鉤十字などは、元々錬金術やエーテルエネルギー、水銀に関連するシンボルだったが、その意味が隠蔽・汚染された。
  • 反論/論破:
    • シンボルの解釈は非常に多義的であり、特定の解釈(特に錬金術やエネルギー技術との関連)だけを唯一の「真実」とするのは恣意的です。これらのシンボルは、様々な文化や時代で多様な意味を持ってきました。
    • ライオンと鷲(グリフォン): 勇気、王権、神性、太陽、月など、多様な象徴性を持つ組み合わせです。
    • 十字架と三日月: これらが元々宗教的意味を持たなかったという断定はできません。古代から太陽、月、宇宙、生命などに関連するシンボルとして存在し、後に特定の宗教の象徴として強く結びついた経緯があります。建築様式の融合(例:アヤソフィア)は、征服や文化交流の結果として歴史的に説明可能です。ブラジルやサンフランシスコの三日月は、建築様式の流行、特定の団体(例えばフリーメイソンの一部ロッジなど)のシンボル、あるいは単純な装飾の可能性があります。
    • ヘルメスの杖(カドゥケウス): 伝令、商業、医学(特に米国)、平和、調和などを象徴します。水銀(メルクリウス/ヘルメス)との関連は明確ですが、それが即座に動画の主張するエネルギー技術に結びつくわけではありません。
    • 鉤十字(スワスティカ): 古代から広範な文化で幸運、太陽、生命力などの吉兆のシンボルとして使われてきました。ナチスによる悪用で否定的なイメージが強くなりましたが、それが元々の多様な意味を全て消し去るものではありません。電力会社がロゴとして使用した例は、回転やエネルギーを想起させる形状からの採用と考えられます。
    • シンボルの意味が時代とともに変化したり、権力によって利用されたりすることはありますが、それが世界規模での「隠蔽」や「汚染」だとするのは陰謀論的な飛躍です。
  • 肯定できる点/論理補強:
    • シンボルが時代や文化、文脈によって多様な解釈を持つことは重要であり、その変遷を研究することは歴史理解を深めます。
    • 古代のシンボルが、現代の我々が考える以上に深い宇宙観や自然観を反映していた可能性はあります。

6. グレートリセット、歴史改竄、万国博覧会 (53:33~)

  • 主張の要約: 19世紀から20世紀初頭の万国博覧会で見られた技術(動く歩道、イルミネーション)は、隠された古い世界の超技術の名残であり、「グレートリセット」によって歴史が書き換えられた。
  • 反論/論破:
    • 万国博覧会で展示された技術は、当時の最先端技術であり、産業革命の成果を誇示するものでした。動く歩道や大規模な電灯照明は、その時代の発明であり、隠された古代技術ではありません。これらの実現には多大な努力と複雑な配線が必要でしたが、当時の技術レベルで不可能ではありませんでした。
    • 「グレートリセット」という大規模な歴史隠蔽・改竄があったとする具体的な証拠はありません。歴史認識は常に研究によって更新されますが、それは動画が主張するような陰謀によるものではありません。
  • 肯定できる点/論理補強:
    • 過去の技術や発明に対して驚嘆の念を抱くことは自然です。また、歴史の記述が常に客観的であるとは限らず、特定の視点やイデオロギーが影響することはあり得ます。そうした点に疑問を持つこと自体は批判的思考の第一歩です。

7. 宗教と支配 (46:40~)

  • 主張の要約: 宗教は支配の道具として作られた。
  • 反論/論破:
    • 宗教の起源や機能は非常に複雑であり、単に「支配の道具」と断じるのは一面的すぎます。宗教は人々に道徳規範、共同体の結束、生の意義、救済などを提供する役割も果たしてきました。
    • 確かに歴史上、宗教が権力者に利用されたり、紛争の原因となったりしたことは否定できません。しかし、それは宗教そのものの本質というよりは、人間社会における権力構造や対立の問題が宗教と結びついた結果です。
  • 肯定できる点/論理補強:
    • 組織化された宗教が、時に権力と結びつき、社会統制の手段として機能した側面は歴史的に見られます。このような権力のあり方に対して批判的な視点を持つことは重要です。

8. 北極と水銀、古い地図 (1:04:34~)

  • 主張の要約: 北極には大量の水銀が埋蔵されており、古い地図(メルカトル図法など)は信頼できない可能性がある。
  • 反論/論破:
    • 北極圏の永久凍土に自然由来の水銀が含まれており、地球温暖化によってそれが環境中に放出される懸念は科学的に指摘されています。しかし、これが動画の主張するような意図的に隠された「大量の埋蔵」や、古代文明のエネルギー源だったという話に直結するわけではありません。
    • 古い地図は、当時の測量技術や地理的知識の限界を反映しており、現代の地図と比べれば不正確な部分があります。メルカトル図法も特定の目的(航海用)に特化した図法であり、高緯度地方の面積が誇張されるなどの特性があります。これを「信頼できない」と断じるのではなく、作成された文脈や図法の特性を理解して利用すべきです。
  • 肯定できる点/論理補強:
    • 未知の領域や未解明な現象に対する探求心は科学の原動力です。古い地図を研究することで、当時の世界観や探検の歴史を知ることができます。

総括

この動画の主張は、事実の誤認、科学的根拠の欠如、論理の飛躍、シンボルの恣意的な解釈、そして陰謀論的な思考に貫かれています。提示される「証拠」の多くは、特定の先入観に基づいて解釈されたものであり、客観性に欠けます。

しかし、既存の常識や権威的な説明に疑問を投げかけ、歴史や世界の謎に対して独自の視点から探求しようとする姿勢そのものは、完全に否定されるべきものではありません。ただし、その探求は、客観的な証拠と論理に基づいた批判的思考によって行われる必要があり、根拠のない陰謀論に陥らないよう注意が必要です。

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