碁泥(ごどろ)は、落語の演目の1つ。上方では「碁打盗人」と呼ぶ。
現在は主に東京で演じられる。 3代目柳家小さんが、大阪の4代目桂文吾に教わり、東京に移した。
「笠碁」とならぶ碁をテーマにした落語の代表的演目である。
5代目柳家小さん、6代目春風亭柳橋が得意とした。
あらすじ
主人が友人を呼んで碁を一局することになる。以前碁に夢中になって畳を焦がしてしまったから、「碁は碁!煙草は煙草!」と分けて、一局のあとゆっくり煙草を吸おうと決め、二人は碁盤に向かう。
だが、「おい!煙草がないぞ!」と約束も忘れてしまう。家人も気を利かして、煙草盆に紅生姜を入れて女中と外出する。
そうとは知らぬ二人、碁に夢中である。煙草をつけようとしても紅生姜だからつかない。
「あれ!?おかしいなあ。つかねえ」と言いながらも、碁盤ばかり見つめている。
そこへ一人の泥棒が入っていくる。
ありたけ盗んでさあ引上げようとしたら、パチリ!という碁石を打つ音が、静かな夜更けだから余計に響く。
また、因果とこの泥棒も碁好きときているから。…
「あっ!やっているな。…手はどうかな。…あっ? それはいけない。もしもし、だめですよォ!」
と、自身が泥棒に入ったのを忘れて対局に首を突っ込む始末、二人もまさか泥棒とは気付かない。
「何言ってる。これでなくちゃあ…うるさいねえ。あれ?知らない人だ」
と初めて気づくが、また碁盤に目を落とし
「お前は誰だいっと、いくか」とパチリ。
相手も「じゃあ。わたくしもお前は誰だいっと!」パチリ。
「へへ。泥棒です」
「泥棒さんか」パチリ。
「よくいらしゃったねえ」とパチリ。
サゲ
柳橋は、「よくいらっしゃたねえ。」のあと、
「お景気はいかがです。」
「おかげでこんなに御宅からいただきました。」
「それはよいことをしましたな。…これからちょいちょいいらっしゃい。」
というサゲを用いていた。
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