映画では分からない「おくりびとの真実」
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- 2026年05月23日(土):感染症リスクに関する表現を根拠ベースに修正し、納棺師の仕事とテレビ番組由来の逸話を整理しました。
遺体にキスする場面が美談だけでは済まない理由
2008年公開の映画『おくりびと』を覚えていますか。
『おくりびと』(Departures)は、2008年の日本映画。滝田洋二郎が監督を務め、第81回アカデミー賞外国語映画賞、および第32回日本アカデミー賞最優秀作品賞などを受賞した。
[出典:おくりびと(Wikipedia > https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8A%E3%81%8F%E3%82%8A%E3%81%B3%E3%81%A8 ]
遺体を棺に納める“納棺師”という職業を通して、様々な死と向き合い人生をみつめるヒューマンドラマ。監督は「壬生義士伝」の滝田洋二郎、音楽を久石譲が担当。ひょんなことから納棺師の見習いとなった元チェリストの大悟は、妻の美香には冠婚葬祭の仕事とごまかして働いていた。日々とまどいながらも様々な死と出会い成長していく大悟と、それを見守る美香を本木雅弘と広末涼子が好演。第81回アカデミー賞で、日本映画史上初の外国語映画賞を受賞した。
[出典:おくりびと 作品情報(映画.com > http://eiga.com/movie/53337/ ]
納棺師とは、亡くなった方の身支度を整え、化粧や着替え、必要に応じた処置を行い、故人をきれいな姿で柩に納める仕事です。映画では、故人と遺族が最後に向き合う場面が静かに描かれ、多くの人に「死を丁寧に見送る仕事」という印象を残しました。
一方で、現実の現場では感情だけでは済まない注意点もあります。たとえば、ドラマや映画では、亡くなった人に別れのキスをする場面があります。とても切ない場面ですが、実際には慎重に考えるべき行為です。
CDCは、亡くなった人の血液や体液にHIV、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスなどの病原体が含まれる可能性があると説明しています。またWHOも、血液や体液が傷のある皮膚や粘膜に触れることで、血液媒介性の感染リスクが生じる場合があるとしています。
つまり、単に「遺体だから危険」という話ではありません。問題になるのは、故人の血液、唾液、体液、分泌物などが、口、目、鼻、傷口などに触れる可能性がある場合です。特に、死因や感染症の有無が分からない場合には、専門家の指示に従い、むやみに口づけをしたり、体液に触れたりしないことが大切です。
遺体に触れた後は手洗いを行い、葬儀や納棺に関わる専門職は手袋などの防護具を使って感染対策を行います。映画では見えにくい部分ですが、故人を尊重することと、遺族や作業者の安全を守ることは、どちらも大切な弔いの一部です。
時代によって、遺体のメイクも変わる
納棺の仕事では、亡くなった方に化粧を施すことがあります。ただし、その化粧は一律ではありません。故人の年齢、性格、生前の雰囲気、遺族の希望によって、求められる仕上がりは大きく変わります。
あるテレビ番組では、若い女性が亡くなった際に、遺族から「生前のようなギャルの姿にしてほしい」と頼まれたというエピソードが紹介されました。納棺師には化粧の心得がありますが、流行のギャルメイクは専門外だったため、故人の友人に手伝ってもらったといいます。
最初は悲しみながらファンデーションやチークを入れていた友人たちも、途中から「いつものあの子らしくしたい」という気持ちが強くなり、仕上がりにこだわり始めたそうです。通常なら1時間ほどで終わる支度が、完成まで4時間かかったという話です。
この逸話が示しているのは、納棺の化粧が単なる身だしなみではないということです。遺族や友人にとっては、故人を「亡くなった人」としてではなく、「生きていたときのその人らしさ」のまま送り出したいという思いが込められています。
時代が変われば、服装も髪型もメイクも変わります。納棺師の仕事もまた、その時代ごとの「その人らしさ」に向き合う仕事なのかもしれません。
強面の方が柩に入れようとしたもの
葬儀の現場には、時に信じがたいような出来事もあるといいます。2016年12月23日放送の『やりすぎ都市伝説 2016冬 4時間SP』では、いわゆる強面の人たちが関わる葬儀のエピソードが紹介されました。
ある葬儀で、納棺師が故人の関係者に「柩の中に何か入れて差し上げたいものはございますか」と尋ねたところ、最初に出されたのは刃物だったといいます。火葬の際に燃え残る恐れがあるため断ると、次に拳銃のようなものが出されたそうです。
もちろん、それも柩に入れることはできません。さらに別のものを求めると、白いアタッシュケースが置かれ、中には現金が入っていたという話でした。最終的には、その現金の一部を故人の顔まわりに飾る形で見送ったと語られています。
この話はテレビ番組で紹介された都市伝説的なエピソードであり、事実確認ができる公的な記録ではありません。ただ、葬儀の現場では、遺族や関係者が「その人らしいものを持たせたい」と考えることがあります。
ただし、柩に入れられるものには制限があります。金属、ガラス、危険物、燃えにくいもの、火葬炉を傷める可能性があるものなどは、一般に避ける必要があります。故人への思いがあっても、実際に入れてよいかどうかは葬儀社や火葬場のルールに従うことが大切です。
『おくりびと』が描いたのは、死者を美しく見送る静かな世界でした。しかし現実の納棺の現場には、感染対策、遺族の希望、時代ごとの価値観、そして時に驚くような人間模様があります。映画では分からない「おくりびとの真実」は、故人を尊重しながら、生きている人たちの安全と心にも向き合う仕事だといえます。
[出典:2016年12月23日放送、「やりすぎ都市伝説 2016冬 4時間SP」]
文責:ライターズラボ編集部(2026年05月23日(土)08:05執筆)


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