神田お玉が池、小間物屋・次郎兵衛さんが佃島で開かれる、住吉神社の大祭、”佃祭り”の賑わいを見に行った。暮れ六つの”しまい船(最後の便)”に乗り込もうとする時、一人の女性に引き留められ、乗り損なって帰れなくなった。
彼女曰く
「3年前吾妻橋から身投げをしようとした時に、5両のお金を恵んでくれて助けてくれた。その人が旦那さんではありませんか?」
「その様なことが有りましたっけ」
「そうです。やっと見つけました」
「はっきりと思い出したが、帰ることが出来ませんよ」。
「家は漁師だから舟でお送りしますので、是非我が家へ」と招かれて落ち着く。
外がザワザワと騒がしくなるので、火事か喧嘩かと聞くと、しまい船が沈んで誰一人助かっていないと言う。
次郎兵衛さんは泳げないので九死に一生を得て、彼女に逆に感謝する。
亭主の漁師・金太郎が帰って来て、お互いに感謝をしあい、ヤキモチ焼きの奥さんの手前なにがなんでも帰りたい次郎兵衛さんに、救護が落ち着いたら、後で送るからと酒を勧めて歓待する。
次郎兵衛さんの家ではその情報を知って、手回し良く葬儀の準備万端整えて、執り行っている。
奥方は悲観にくれていると、金太郎に送られ戻ってきた次郎兵衛さん、彼と別れて家に着くと、葬儀の真っ最中。
お互いビックリしながら、無事だったことを祝ながら感謝する。経を上げていた住職が帰り際
「情けは人の為ならず」と説教、同席者みんなで納得しあう。
それを聞いていた、輪の中の与太郎さん、人間良いことをすると必ず良いことがある。
と、ガッ、ガガーンと頭の芯まで感じて、自分の財産を売り払い、五両の金を作って、身投げを捜す。
3日目にやっと見つけて喜んで止めにはいった。
「私は歯が痛いから涙ぐんでいた」
「だって、袖に石が入っているじゃないか」、
「これは戸隠さんに納める梨ですよ」。
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