『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』ネタバレ・あらすじ・感想・人物相関図/1984年渋谷の青春群像劇
三谷幸喜が25年ぶりに連ドラ脚本へ
2025年10月、フジテレビ水曜22時枠にて放送開始となる新ドラマ『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』。脚本を務めるのは、コメディと人間模様を描かせたら右に出る者はいない三谷幸喜。なんと民放ゴールデン帯の連続ドラマ脚本は25年ぶりということで、放送前からSNS上では「三谷節が帰ってきた!」「これは絶対観る」といった期待の声が続出している。
舞台は1984年の渋谷。カルチャーとサブカルが混ざり合い、若者たちが未来に焦燥と希望を抱いていた時代だ。物語の中心となるのは、渋谷の坂道「八分坂(はっぷんざか)」という架空の街並み。ここを舞台に、夢を追う若者たちが織りなす“くすぶり”と“煌めき”の青春群像劇が展開される。
豪華キャストが揃う ― 菅田将暉、二階堂ふみ、神木隆之介、浜辺美波
まず注目はキャスト陣。主人公・久部三成を演じるのは菅田将暉。劇団「天上天下」の若き演出家として、夢と現実の狭間で格闘する姿を体現する。演劇にすべてを賭けたそのエネルギーは、まさに“Z世代のエモ”を代弁してくれる存在だ。
倖田リカ役には二階堂ふみ。ダンサーでありながら、自分の表現に迷い、孤独を抱える姿が描かれる。二階堂特有の強さと儚さがどうリカに重なるのか、すでにSNSでも「彼女の存在感が物語の鍵を握るのでは?」と囁かれている。
さらに、放送作家を夢見る蓬莱省吾を神木隆之介が、八分神社の巫女・江頭樹里を浜辺美波が演じる。神木が演じるキャラクターは若き日の三谷幸喜本人を投影しているとも言われ、演劇ファンから「セルフオマージュ的要素が楽しみ」と期待されている。浜辺美波の神秘的で清廉なキャラクターは、混沌とした80年代の渋谷の中で“清涼剤”的な存在になりそうだ。
テーマは「夢と現実の狭間」
『もしがく』の大きなテーマは、「夢を追う若者」と「現実」のギャップだ。成功が見えない焦燥感、恋の揺らぎ、友情の衝突、自分自身との対話――そのすべてが、舞台である渋谷という街の雑踏の中に凝縮されている。
タイトルに込められた「楽屋」という言葉は、舞台裏=人間の素顔や居場所のメタファーとも受け取れる。人は表の舞台でどう生きるかだけでなく、裏側の“楽屋”でどう立ち直り、どう震え、どう夢を磨くのか。観る者に「あなたにとっての楽屋はどこ?」と問いかけてくる仕掛けだ。
ここからネタバレ注意!
第1話では、久部三成(菅田将暉)が旗揚げした劇団「天上天下」が八分坂の小劇場で初めての公演を迎える。だが、チケットは売れず、演者同士も方向性を巡って衝突。リーダーとして葛藤する三成の前に現れるのが、自由奔放なダンサー・倖田リカだ。彼女との出会いが、劇団の未来に大きな影響を与えていく。
同時に、放送作家志望の蓬莱省吾(神木隆之介)が業界への足がかりを掴もうと奮闘する姿も描かれる。テレビと舞台、ふたつのメディアに揺れる若者たちの姿は、当時のエンタメ業界の縮図でもある。
江頭樹里(浜辺美波)は巫女という立場から、現実の喧騒に距離を置いて生きている。だが彼女もまた、心の奥に秘めた夢を持ち、三成たちに少しずつ関わっていく。神秘的な彼女の存在は、物語を“ただの青春群像劇”に終わらせない奥行きを与えている。
第2話以降は、三成とリカの関係性がより濃く描かれる。リカが抱える家庭の事情や挫折、三成が劇団を守るための決断。友情と裏切り、恋と絶望が交錯し、まさに「人生は舞台」のメタファーそのままに展開していく。
SNSの反応
X(旧Twitter)では、放送前から「キャストが強すぎる」「菅田将暉×二階堂ふみは化学反応しかない」「三谷幸喜の青春ものとか絶対泣くやつ」といった声が続出。特にZ世代からは「80年代渋谷の描写が新鮮で逆に刺さる」という意見もあり、ノスタルジーと新鮮さが同居した作品として注目されている。
類似作品との比較
『もしがく』は、群像劇としては『オレンジデイズ』や『花束みたいな恋をした』を彷彿とさせるが、舞台設定や人物造形はもっと演劇的で、自己言及的。三谷幸喜らしい“メタ”な仕掛けが随所に散りばめられることは確実で、ただの恋愛ドラマにとどまらない奥深さを持っている。
登場人物一覧
- 久部三成(菅田将暉)/劇団「天上天下」の演出家。夢を追いながらも現実に苦しむ。情熱家。
- 倖田リカ(二階堂ふみ)/ダンサー。自由奔放だが孤独を抱える。三成に刺激を与える存在。
- 蓬莱省吾(神木隆之介)/放送作家志望。野心と不安の狭間で揺れる。三谷幸喜の若き日を投影。
- 江頭樹里(浜辺美波)/八分神社の巫女。神秘的で穏やか。物語の“癒やし”の象徴。
人物相関図(リスト形式)
久部三成 ⇔ 倖田リカ(恋と友情の狭間)
久部三成 ⇔ 蓬莱省吾(同志であり競合)
久部三成 … 江頭樹里(精神的な支え)
倖田リカ × 家族(葛藤を抱える)
蓬莱省吾 → 久部三成(クリエイティブライバル意識)
江頭樹里 ⇔ 倖田リカ(互いに刺激し合う存在)

誰に刺さるドラマか
- 夢を追うZ世代にとって「わかりみ深い」と感じられるリアルな群像劇。
- 演劇好き、1980年代カルチャー好きにとっては“エモい”世界観。
- 人間関係の複雑さ、夢と現実のギャップに共感したい視聴者。
『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』は、夢破れそうな瞬間にも舞台に立ち続ける若者たちの姿を描き、観る人自身に「自分の楽屋」を探させるドラマだ。現実に疲れた夜、きっと心のどこかで「それな」と呟きたくなるだろう。
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