『グリッドマンユニバース(GRIDMAN UNIVERSE)』劇場版クロスオーバーの真髄/泣ける青春群像劇アニメ映画
はじめに
2023年3月24日に公開された劇場版アニメ『グリッドマンユニバース』。TVシリーズ『SSSS.GRIDMAN』『SSSS.DYNAZENON』をクロスオーバーさせた完全新作で、監督は雨宮哲、脚本は長谷川圭一、制作はスタジオTRIGGER。上映時間は118分、配給は東宝アニメーション。音楽は鷺巣詩郎が担当し、テーマソング「uni-verse」も話題になった。
映画の魅力は、ヒーローと怪獣の激突だけじゃない。日常と非日常の狭間で揺れる若者たちの心情にこそ、観客は「わかりみ深い…」と共感してしまう。SNS上では「泣いた」「鳥肌が止まらん」といった反応が相次ぎ、公開直後から高評価レビューが殺到した。
興行成績と評価
公開初週は全国151館で上映、興行収入は約1.6億円で初登場5位。スクリーンアベレージ(1館あたりの収益)は100館以上上映作の中で1位と幸先の良いスタートを切った。その後も順調に伸び、最終的に国内で約7億円に到達。海外興行は限定的で、The Numbersの統計ではおよそ7万ドル規模。韓国などで限定公開はあったが、世界的な大ヒットには至っていない。
レビュー評価は驚異的で、Yahoo!映画★4.7、映画ランド★4.9、Filmarksでも高水準。ファンからは「SSSS両作の曖昧だった部分を補完してくれた」「キャラたちのその後が見れてエモい」との声が多い。一方で「シリーズ未視聴者には難解」という意見も散見され、入門作というよりは完全にファン向けの作品といえる。
ここからネタバレ注意!
ストーリーとテーマ
物語は、『SSSS.GRIDMAN』の響裕太と、『SSSS.DYNAZENON』の麻中蓬たちが同じ世界で交錯することから始まる。突如現れる怪獣、そして再び姿を見せるグリッドマン。シリーズをまたいだ友情・愛情・葛藤が交差する展開は、「ヒーローもの」という枠を超えた青春群像劇のよう。
最大の見どころは、グリッドマン同盟とガウマ隊が力を合わせて敵に立ち向かうクライマックス。バトルの熱量はもちろんだが、キャラ同士の細やかな感情のやりとりが観客の心を打つ。特に裕太と六花の関係性の掘り下げ、蓬と夢芽の繊細な心の距離感は、「それな…」と共感せずにいられない。
演出とスタッフワーク
監督・雨宮哲の映像演出は、特撮リスペクトを全開にしながらも現代的なテンポ感を実現。バトルシーンの重量感はさすがTRIGGER。さらに鷺巣詩郎の音楽が感情を増幅させ、主題歌「uni-verse」が流れる瞬間には鳥肌不可避。
登場人物一覧
- 響裕太(声:広瀬裕也) … 内気だが芯の強い少年。グリッドマンと同化する主人公。
- 宝多六花(声:宮本侑芽) … 裕太の同級生で、彼を支える存在。やさしさと葛藤を抱える。
- 内海将(声:斉藤壮馬) … グリッドマン同盟の仲間。オタク気質で熱い友情を見せる。
- 麻中蓬(声:榎木淳弥) … 『DYNAZENON』側の主人公。静かで思慮深い。
- 南夢芽(声:若山詩音) … 蓬と関わる少女。孤独を抱えつつも前に進む強さを持つ。
- ガウマ(声:濱野大輝) … ダイナゼノンの操縦者。豪快で仲間思い。
- 飛鳥川ちせ(声:安済知佳) … ガウマ隊の仲間。無邪気さと不安定さを抱える。
- 山中暦(声:梅原裕一郎) … クールな青年だが、内には熱さを秘める。
- ナイト(声:松風雅也) … グリッドマンを補佐する戦士。
人物相関図(テキスト図解)

- 響裕太──恋人──宝多六花
- 響裕太⇔内海将(親友)
- 麻中蓬──想い合う──南夢芽
- ガウマ→麻中蓬(師弟的関係)
- ガウマ⇔山中暦⇔飛鳥川ちせ(仲間)
- グリッドマン…響裕太(同化関係)
- ナイト→グリッドマン(補佐)
この相関図からわかるのは、「恋愛」と「仲間」「師弟」の絆が入り混じり、物語をエモーショナルにしている点だ。
SNSと口コミの反応
Twitter(現X)やFilmarksでは「泣けた」「シリーズ愛がやばい」といった感想が多数。上映期間中は入場者特典やボイスドラマ配信などの追加施策もあり、ファン熱は長期的に維持された。
一方、「シリーズ未視聴者お断り感が強い」という意見もあり、万人向けではなく濃いファン層に寄せた映画だったことが裏付けられる。
類似作品との比較
クロスオーバー映画といえば『アベンジャーズ』が有名だが、『グリッドマンユニバース』は規模よりも「人間関係の掘り下げ」に重きを置いている点で独自性がある。特撮やアニメの文脈で「ここまでキャラの感情に寄り添ったクロスオーバー」は珍しく、唯一無二の立ち位置を確立したといえる。
最新展開
2025年には「完全新作ボイスドラマ」がTSUBURAYA IMAGINATIONで配信予定。さらにツブコン2025では「怪獣」をテーマにした展示やトークイベントも発表されており、映画後もコンテンツ展開は続いている。続編の可能性は明言されていないが、ファンの熱量次第では「スピンオフ」「短編」など新展開の芽が残されている。
まとめ
『グリッドマンユニバース』は、ファン待望のクロスオーバーでありながら、単なるお祭り映画に終わらず「青春ドラマ」としても成立した稀有なアニメ映画だ。興行収入は7億円規模で“中ヒット”止まりだったが、レビュー評価やファンの熱狂ぶりを考えると、その存在感は数字以上に大きい。
「GRIDMANシリーズを愛した人たち」には必見。逆に未視聴者にはやや敷居が高いが、踏み込んだら抜け出せない“特撮×アニメの沼”が広がっている。
文責:ユメカゲ@アニメ考察勢
アニメの感情描写に沼りがちなZ世代ライター。@yumekage_anime #GRIDMANユニバース考察
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