★雷門助六(八代目)高砂や

雷門助六(八代目)

あらすじ
八五郎は何の前触れもなく、知識がないにも関わらず、ある日突然、仲人を務めることになる。彼の役目は、伊勢屋という名の裕福な商家との間で行われる。服装にも困っていた八五郎は、着るものがないため、知り合いの隠居から羽織を借りることにする。

隠居からは仲人としての心得も伝授され、「ご祝儀の一環として『高砂や』を披露しなければならない」と助言を受ける。しかし、八五郎は謡に馴染みがなく、悩みながらも隠居の「頭だけでも歌えば、後は親族がフォローしてくれる」という言葉に従い、渋々歌うことを承諾する。豆腐屋の呼び声に似ているという理由で、それを練習用にして、何とか序盤だけを歌えるようになる。

そして迎えた本番の婚礼披露宴。八五郎は「とーふー」と声を調整した後、「高砂や この浦舟に 帆を上げて」と一節を歌い、「後は親族にお任せ」と逃げるようにしようとする。しかし、親族から「不調法なので、仲人さん先にどうぞ」と言われ、つい「高砂や この浦舟に帆を 下げて」と間違って歌ってしまい、「帆を下げるなんて駄目です」と指摘される。

「高砂や この浦舟に 帆をまた上げて 高砂や この浦舟に……ウゥ……助け舟ェ!!」と、窮地を脱するために慌てふためく。

この話は、教えられた通りに実行しようとして失敗する「オウム」パターンの代表的な例で、「松竹梅」という類似のストーリーも存在する。物語のクライマックスである「高砂や」の部分は、夫婦の和を願う内容の能の『高砂』から引用されている。

本来の演出では、「高砂や この浦舟に帆を 下げて〜」の後、全員が巡礼歌の節で「高砂や」を歌い出し、「婚礼にご容赦」と進めることになる。しかし、「巡礼にご報謝」というフレーズが理解しにくいため、多くの場合は「助け舟」をもって締めくくられる。

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