第2作 1969年(昭和44年)11月15日公開
寅次郎の夢
もし、もし人違いでしたらごめんなさいよ。
もしや、あなたはお菊さんとは申しませんか?
お菊さん、よおくあっしの顔を見ておくんなさい。
この顔に見覚えはござんせんか。おわかりでござんせんかね?
今を去る38年前、雪の降る寒い夜、あんたは玉のような男の子を産みなすったはずだ。
永い月日でござんした、朝な夕な、あなたの名前を呼び続けて、そうして死ぬ前にたった一度、その名を口に出しとうございました。
おっかさん、お懐かしゅうござんす。おっかさんの倅、寅次郎でござんす。
おっかさん……
おっかさーーん!
キャスト・登場人物
- 車寅次郎:渥美清(41)
- さくら:倍賞千恵子(28)
- 車竜造:森川信(57)
- 車つね:三崎千恵子(49)
- 諏訪博:前田吟(25)
- タコ社長:太宰久雄(46)
- 源公:佐藤蛾次郎(25)
- 川又登:津坂匡章(秋野太作)(26)
- 御前様:笠智衆(65)
- 葬儀屋:関敬六(41)
- 坪内散歩:東野英治郎(62)
- お菊(寅の実母):ミヤコ蝶々(49)
- お澄(連れ込み宿女中):風見章子(48)
- 藤村薫(医師):山崎努(33)
- 病院の患者:財津一郎(35)
マドンナ:坪内夏子/佐藤オリエ(当時26歳)
彫刻家:佐藤忠良の娘。1966年、フジテレビ系のテレビドラマ「若者たち」のオリエ役でデビュー。
テレビ版「男はつらいよ」でも、散歩先生の娘・冬子としてマドンナを演じている。
あらすじ(ネタバレ注意)
【久しぶりに柴又に帰ってきた寅さん】
まだ生まれたばかりの甥っこ;満男に対面する。四角い顔がどことなく寅さん似だと言われる満男の誕生を心から祝福するも、生来のフーテンの寅さんは、そのままぷいっと出かけてしまった。
【恩師との再会】葛飾商業高校時代の恩師:坪内散歩先生(東野英治郎)のお宅へ家へと訪れる。20年振りの再会にすっかり意気投合する散歩と寅さん。恩師との久しぶりの会話に、そして何よりも、恩師の娘・夏子との再会に、時間が経つのも忘れ酒食を堪能する。しかし、普段食べなれないハイカラな料理が原因で胃けいれんを起こして入院してしまう。
【病院のベッド】
優しく介抱してくれる夏子。夏子がいない時には、医者も呆れる問題児の寅さんは、ある日、病院を抜け出し舎弟の川又登と居酒屋へ行き、無銭飲食で警察の厄介になってしまう。皆に迷惑をかけてしまったことを恥じ、寅さんは恩師・坪内先生にだけ、その心情をそっと打ち明け旅に出ていってしまう。
【京都】
坪内先生と観光を楽しむ娘の夏子は、偶然にも寅さんと再会する。まっとうな職にも就かずに京都でタンカバイしている寅さんを叱咤する坪内先生。寅さんは、京都に居るという生みの母親を訪ねて、京都で商いをしている。その話を聞いた坪内先生は寅さんの瞼の母探しに夏子を同行させる。
人伝に聞いた母の働く「グランドホテル」は、連れ込み旅館であった。夏子に励まされ部屋に入る寅さん。瞼に思い描いていた母親にそっくりな女中さん(風見章子)は人違いだった……
「お菊」(ミヤコ蝶々)と名前だけ知っている母親は、実は、連れ込み旅館のオーナーであるごうつくババアだった。カネの無心に来たと勘違いする母親に、寅さんはがっかりし、喧嘩別れしてしまう。落ち込む寅さんは、坪内親子と一緒に柴又へ帰ることになった。
【坪内先生の死】
寅さんが柴又へ帰ると皆が心配して待っていた。
ある日、恩師の願いから江戸川でうなぎを釣ってきた寅さんと夏子は、坪内先生の死に直面することになる。
【葬式当日】
御前様に諭されて葬式を仕切る寅さんであったが、弔問に来ていた病院の医師・藤村と夏子が恋仲だったことを知ることになる。
恩師の死と失恋で再び落ち込んでしまった寅さん、京都へと旅に出る。
【京都・鴨川三条の橋】
新婚旅行中の夏子と藤村は、実母のお菊と楽しそうに親子の会話をしているのを目撃する……
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