【マッドフラッド】私たちには隠されている歴史の真実・第三回 ~水による配電システム・水と星の関係・天空の水・スターフォートと水~【トリビア雑学・豆知識】

雑学・豆知識
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フラットアーサーの主張への反論と論理補強

まず、この動画は「マッドフラッド」という陰謀論と、古代の失われた超技術文明(特に水と音、電磁気を利用したエネルギーシステム)の存在を主張する内容が中心となっています。個別の主張に対して検討します。

肯定できる点・論理補強

  1. 水と音の関係、サイマティクス (00:06 – 01:16)
    • 主張の要点: 水は音に反応する。江本勝氏の研究やサイマティクスの実験がその証拠。
    • 肯定・補強:
      • 音波が媒質(水を含む)に振動を与え、特定の条件下でパターンを形成する「サイマティクス」現象は実際に観察されます。これは物理現象として確立されています。
      • 超音波が水を沸騰させたり、医療(超音波診断、結石破砕、特定の治療研究など)に応用されたりすることも事実です。
      • ただし、 江本勝氏の「水からの伝言」に見られるような、言葉や音楽が水の結晶構造に道徳的・感情的な意味合いで「良い」または「悪い」影響を与えるという主張は、科学的再現性が確認されておらず、疑似科学と見なされています。肯定できるのは「音という物理的振動が水に影響を与える」という点までです。
  2. 古代建築の精巧さと目的への疑問 (11:13以降の全体的なテーマ)
    • 主張の要点: 運河、スターフォート、大聖堂、宮殿などの古代・中世の建造物は、我々の知る歴史や技術レベルでは説明がつかないほど高度であり、本来の目的(エネルギー関連施設など)が隠されている。
    • 肯定・補強:
      • 過去の建造物、特にスターフォートの幾何学的な設計、大聖堂の音響効果、ローマ水道の技術などは、確かに当時の技術水準の高さを物語っており、現代の我々から見ても驚嘆に値します。
      • これらの建造物が持つ美しさや機能性、そして建設に関わった人々の知恵と労力には敬意を払うべきです。
      • 特定の建造物(例:大聖堂の鐘、オルガン)が音響効果を意図して設計されたことは事実であり、音は人々の精神に影響を与える要素として重要視されていました。
      • ただし、 これらが「未知のエネルギーシステム」であったという直接的な証拠はなく、その機能や建設方法は、当時の数学、天文学、工学、社会構造、宗教的信念などの文脈で説明が試みられています。
  3. チャッツワース・ハウスやヴェルサイユ宮殿の庭園の幾何学性と水路 (34:29 – 39:02, 45:48 – 48:03)
    • 主張の要点: これらの宮殿の広大な幾何学的庭園や水路システムは、単なる美観や娯楽のためではなく、食料生産や未知の目的(エネルギー関連など)のための「農場」やシステムだった。
    • 肯定・補強:
      • バロック時代の庭園様式は、確かに幾何学的な配置、広大な水路、噴水を特徴としています。これらは権力の象徴であると同時に、当時の美意識の現れでした。
      • これらの庭園には、観賞用だけでなく、野菜や果物を栽培する実用的な区画(キッチンガーデンなど)も含まれていたことは事実です。
      • 水路や噴水の設計・維持には高度な水力工学の知識が必要であり、その技術力は注目に値します。
      • ただし、 これらが「エーテルエネルギーを利用した超農業」や「パワーステーション」であったという主張には根拠がありません。美観、権威の誇示、レクリエーション、そして部分的な食料生産が主な目的であったと考えるのが妥当です。
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反論する点・論破

  1. 天空の水 (01:16 – 03:32)
    • 主張の要点: 聖書の記述(ラキア、大空)を根拠に、地球の上空には物理的な「水」の層が存在し、これが下の水と分けられている。
    • 論破:
      • これは古代宇宙観の字義通りの解釈であり、現代科学の知見(大気圏の構造、宇宙空間の真空、気象学)とは完全に矛盾します。聖書の記述は、当時の人々の世界観や神学的メッセージを反映したものであり、現代の科学的記述として捉えるべきではありません。
      • 「ラキア」の解釈は多様であり、必ずしも物理的な水のドームを意味するとは限りません。
  2. 望遠鏡と惑星の画像の捏造疑惑 (03:32 – 06:51)
    • 主張の要点: 反射望遠鏡は像を歪める。NASAなどが見せる惑星の画像は加工されており、アマチュアがニコンP900などで撮影したものこそが真実の姿に近い。木星などは自ら光っている。
    • 論破:
      • 屈折望遠鏡と反射望遠鏡はそれぞれ異なる光学原理を持ちますが、どちらも科学的に有効な観測手段です。収差(歪み)は存在しますが、それは補正技術によって最小限に抑えられます。
      • NASAなどの惑星画像は、複数のフィルターを通して撮影されたデータを合成し、科学的に意味のある情報を可視化したり、人間の眼に近い色合いに調整したりする画像処理が施されています。これは「捏造」ではなく、データを見やすく、理解しやすくするための科学的手法です。
      • ニコンP900/P1000のような高倍率ズームカメラで撮影される天体は、大気の揺らぎ、カメラのセンサーサイズやレンズ性能の限界、手ブレなどにより、鮮明さや解像度で大規模な天文台の望遠鏡には遠く及びません。それらが「真実の姿」というわけではありません。
      • 木星などの惑星が光って見えるのは、太陽光を反射しているためです。恒星のように自ら核融合で光を放っているわけではありません。動画内で「自身の光を放っているように見える」という印象論は、科学的観察とは異なります。
  3. 星の光と動きの独自解釈 (07:53 – 10:10)
    • 主張の要点: 星の光やまたたきは、大気の影響ではなく、星自体が「上空の水の中で自白(発光)している」ためであり、それぞれユニークな幾何学模様を持つ。これはソノルミネッセンスのような現象。
    • 論破:
      • 星のまたたき(シンチレーション)は、地球の大気の揺らぎによって光が屈折するために起こる現象であり、科学的に説明されています。大気の状態によって見え方が変わります。
      • 望遠鏡で見た星が点像ではなく、ある程度の模様(回折パターンなど)に見えるのは、光の回折現象や望遠鏡の光学系の特性、ピントの状態によるものです。これを「ユニークな幾何学模様」と神秘的に解釈するのは飛躍です。
      • ソノルミネッセンスは液体中の気泡が超音波で崩壊する際に発光する現象であり、宇宙空間で恒星が光る原理(核融合)とは全く異なります。
  4. 古代の超エネルギーシステムとマッドフラッド (11:13 以降の全体的なテーマ)
    • 主張の要点: 過去には水と音、電磁気を利用した地球規模のフリーエネルギーシステムが存在し、スターフォートや大聖堂、古代運河はその遺構である。この文明は「マッドフラッド(泥の洪水)」のような出来事で隠蔽・破壊され、歴史が改ざんされた。ジョセフ・パクストンなどの歴史上の人物はその隠蔽のための架空の人物か、役割を与えられた操り人形である。
    • 論破:
      • 証拠の欠如: このような高度なエネルギーシステムや、それを可能にする物理法則、それを裏付ける考古学的証拠は一切発見されていません。スターフォートは稜堡式城郭という軍事施設であり、その設計思想や歴史は明確です。古代運河も、当時の技術で建設可能な範囲であり、その目的は灌漑、水運、治水などです。
      • マッドフラッドの非科学性: 世界規模で最近(19世紀など)に文明を埋没させるほどの「泥の洪水」が起きたという地質学的・考古学的証拠はありません。局所的な洪水や土砂災害、都市の嵩上げなどは歴史上存在しますが、主張されているような地球規模のカタストロフとは異なります。
      • 歴史の改ざん説の陰謀論: ジョセフ・パクストン(クリスタルパレスの設計者)やジョン・スメドレー(水治療の推進者)といった人物は、当時の記録や資料によって実在と業績が確認されています。彼らを「架空の人物」や「操り人形」とするのは、自説に合わない歴史を否定するための陰謀論的な手法です。クリスタルパレスの建設も、当時のプレハブ工法や鉄とガラスという新素材の活用によるものであり、「建設不可能」ではありませんでした。
      • 水治療の歴史: 19世紀に流行した水治療(ハイドロセラピー)は、温浴、冷水浴、湿布などを用いるもので、現代医学とは異なりますが、当時の医療の一環として行われていました。これを「失われた古代の超技術」とするのは拡大解釈です。電気治療の試みも当時からありましたが、主張されるような万能のヒーリング技術ではありませんでした。
  5. 建物の解釈 (コロッセオなど 1:10:44 – 1:11:51)
    • 主張の要点: コロッセオは「円形劇場(amphitheater)」であり、「amp」は電流の単位やamplifier(増幅器)を連想させるため、音響兵器やエネルギー装置だった。
    • 論破:
      • これは語源の誤解と強引なこじつけです。「amphi-」はギリシャ語で「両側に」「周囲に」という意味の接頭辞であり、「amphitheatron」は観客席が周囲を取り囲む形式の劇場を指します。電気の「ampere(アンペア)」や「amplifier(アンプリファイア)」とは語源が異なります。
      • コロッセオが優れた音響効果を持っていた可能性はありますが、それは設計の結果であって、主目的が「エネルギー装置」であったという証拠はありません。

総括

これらの主張は、既知の科学的事実や歴史的経緯を無視または独自に解釈し、それらを繋ぎ合わせて壮大な陰謀論(マッドフラッドと失われた超古代文明)を構築しようとしています。

  • 肯定できるのは、音や水に関する一部の物理現象や、古代建築の素晴らしさといった表層的な部分に限られます。
  • しかし、それらを「隠された歴史の真実」や「フリーエネルギーシステム」といった結論に結びつける論理には飛躍が多く、証拠に基づかない憶測や誤解、陰謀論的思考が支配的です。
  • 特に、「天空の水」「惑星画像の捏造」「星の独自解釈」「地球規模のエネルギーグリッドとしてのスターフォートや大聖堂」「マッドフラッドによる文明リセット」「歴史上の人物の役割の歪曲」といった中核的な主張は、科学的・歴史的根拠に乏しく、論破可能です。

このような主張は、現実の複雑な事象を単純な陰謀論で説明しようとする試みであり、科学的思考や歴史研究の成果を軽視するものです。

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