★柳家小三治(十代目)長者番付(うんつく酒)

柳家小三治(十代目)

あらすじ

江戸から遊山旅に出た二人連れ、村の茶店で飲んだ酒が、村を出ると酔いが醒める「村さめ」と飲むとすぐ醒める「じきさめ」。
弟分はこれをガブガブ飲んだもんで頭が痛いという。

近くに造り酒屋があるというので、酒を売ってもらいに行く。
酒屋のあるじに1升売ってくれと頼むが、だめ。2升、5升でも造り酒屋なのでそんな少量では売れないという。
いくらなら売るのかと聞くと、馬に一駄か、一車か、船に一艘なら売ると言われる。
これを聞いた兄貴分が頭にきて、この田舎者のどんつく野郎、うんつく野郎などと悪態を浴びせる。
怒って何を言っているのか分からない酒屋のあるじ、若い者に耳打ちし、部屋にかんぬきをかけさせ、回りをまきを持って取り囲ませる。

酒は売るから、「うんつく」「どんつく」の意味を教えろとせまる。
困った兄貴分は、あるじの後ろの長者番付を見て、口からでまかせの話をはじめる。
「うんつく」は運がつく、「どんつく」もどんどん運がつくということだと言うが、あるじは半信半疑だ。
そこで、長者番付の西の大関、鴻池善右衛門に運がついて、「澄み酒」を作ったいきさつ、東の大関、三井八郎衛門が旅先で運がつき商売を始め、ついには江戸に出て越後屋の暖簾をあげた話をする。

すると、酒屋のあるじはすっかり感心、納得して無礼を詫び、二人にいくらでも飲んでくれと酒を振舞う。
そして、造り酒屋へ入ったなら、「江戸の新川の者でございますが、利き酒をさせてもらいたい。」と言えば、ただで、いくらでもいい酒を飲ませてもらえると教える。
今日は泊まっていけと言うのを断り、帰り際にあるじの女房は「女うんつく」、せがれは「子うんつく」などとたたみかけると、あるじはすっかり喜ぶ。

店を出ると、弟分が兄貴はよく、鴻池だの三井の先祖のいわれを知っているなあと言う。
兄貴分は、さっきの話は口からでまかせのでたらめだという。
弟分は江戸では、馬鹿とかまぬけの意味のことばの、「うんつく」「どんつく」をよくこじつけて話しを作ったものだと感心したり、田舎者は甘いものだなどと笑う。
すると、後から酒屋のあるじが追ってくる。
弟分は、あるじがだまされたことに気がついて追ってきたのではと心配する。

「おおい、江戸の方」

「何だい、うんつく」

「おめえさまがたも早く江戸さへ帰って、一生懸命はたらいて、いいなうんつくになんなせいよ。」

「なに言ってやがんで、俺たちゃあ、うんつくなんざでえ嫌えだ。」

「なに、でえ嫌え、ああ生まれついての貧乏性か。」

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