あらすじ
とあるご主人、仕事から帰ってまいりまして、女将さんとの、いつもの会話。
お風呂にするか、ご飯にするか。
しかし、今日に限って、どうも様子がおかしい。
ボーっといたしまして、すぐに床取ってくれて。
疲れたんかいなあと思いきや、そうでは無い。
もう、人間辞めたいて。
この方、植木屋さんですねね。
とあるお店へ、いつものように、庭の手入れに出向いた。
そこへ、その家の子たちが、チョコチョコチョコと出て来た。
一人の子供に、お守のような人間が、何人か付いてる。
これでさえ、ご大家の跡取りですわな。
池のほとりで、何かを見つけて拾うた様子。
金属で、丸くて、真ん中に穴が開いてる。
要するに、文銭・銭・お金ですわな。
拾い上げてみて、不思議そうな顔してる。
「これ何?」って、お金知りませんねやね。
小首を傾げて、考えた末、「お雛様の刀の鍔だ!」と。
後で聞いてみると、五歳ですて。しかし、大したもんですわ。
金持ちのお坊ちゃんは、その年まで、お金を知らんということですわ。
こんなことがあったと、話している最中から、ここの家の子供、「遊びに行くから、お足をくれ」て。
大きな違いや。
同じ人間でも、育て方で、こないも違うものかと、呆れてしまいます。
また、この子供が、こましゃくれたガキですねね。
「お前に、こんなことが言えるか?」「ちゃんちゃらおかしい」てな返事。
こんな奴に、相手になっても、仕方が無いので、お父っつぁんは、放っておきますが、そこは、母親のこと、何がしかのお金を持たせると、子供は、遊びに行ってしまいます。
もうすぐ、ご飯ですので、そこは、呼んだら、帰って来るぐらいの距離で。
入れ替わりで、やってまいりましたのは、どこぞの大店の、ご主人の模様。
謝りに来たて。
この前、店の前で、悪態を付いていたので、何かいなあと、番頭さんに尋ねてみると、様子が分かったので、謝りに来たと。
要するに、このお店の、植木の手入れを頼まれていたのですが、他に、やりかけの仕事があるので、それを済ませてからと、待ってもらった。
その間に、間に合わせに、番頭さんが、知り合いの植木屋さんに、仕事をさした。
これが分かったので、店の前で、大きな声を出してしまったという理由。
今回のことは、これで済ましてもらって、また次回からは、植木の手入れに来て欲しいと、頼みにやってきはったんやね。
話が済んだところで、女将さんに、お茶と、羊羹の用意をさせますわ。
ここも、おもろい場面。
普段、切りなれてないせいか、なかなか、うまいこと、羊羹が切れませんわいな。
ようようのことで、出そうとしたところ、さいぜんの子供が帰って来る。
お客さんが召し上がる前に、羊羹を食べられては、具合が悪いと、隠そうとしているところで、「こんなもん拾うた!こんなもん拾うた!」て、大きな声で、穴開き銭を、差し出します。
「僕が考えるに、お雛さんの刀の鍔だと思うな」って、さっきの通りに演じてしまいます。
「これ、親方の、子供さん?大したもんやなあ」と、この旦那は、感心しますわ。
氏より育ち、これだけに育て上げるには、並大抵のことではなかったであろうと、大絶賛。
おこづかいを、あげようとしますが、銭を知らんのでは、仕方が無い。
そこで、手習いの道具を、一式揃えて、持って来てあげようと、約束をしてしまいます。
「これ、そんな汚いものは、捨ててしまいなさい」
「いやだよ。これで、焼き芋買って来るんだ」
[出典:http://www.geocities.co.jp/Hollywood/2975/sub185.html]
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