第28話:本能寺の変(2023年7月23日)
物語は、安土城での家康の接待から始まります。
家康と信長の友情の象徴とも言える、二人だけの酒席から物語が展開します。しかし、その気楽さは一転、予想外に二人は相撲を始めます。家康はここで信長に対し、「戦争による殺戮は、いずれ報いを受ける」という重い警告を発します。
その頃、家康一行は堺という貿易の中心地に向かっていました。堺は、南蛮船が頻繁に往来する、当時の日本で最大規模の商業都市でした。ここで家康は、大商人津田宗及の屋敷で、堺の代官である松井友閑と共に茶の湯を楽しむ機会を得ました。松井友閑と津田宗及は、その茶道の技術から「茶の天下三大匠」とまで称される名だたる茶人であり、彼らとの交流は、家康の視野をさらに広げる機会となりました。
その頃、家康の家臣である酒井忠次らは、その場を遠巻きに見守っていました。津田宗及や今井宗久は、堺で自治の指導的役割を果たしている重要人物で、彼らとの関係構築は家康にとって大きな価値を持っていました。さらに、彼らとのつながりは、豊富な資源、貴重な金、そして最重要の戦闘アイテムである鉄砲を手に入れる手段ともなったのです。
この時期、家康は信長の妹であり、浅井長政の正室だったお市と再会します。お市は信長の息子、織田信忠が城主を務める岐阜城で暮らしており、その彼女が堺を訪れた理由は自分自身の気晴らしと、3人の娘たちに現世を見せるためだったと語ります。
家康とお市の会話からは、二人の長い付き合いと深い信頼感が伺えます。10年以上振りの再会にもかかわらず、お市は年を重ねた分だけさらに美しい女性になっており、その美しさは家康も感じていました。
しかし、その再会の最中にお市から衝撃的な発言が出ます。「兄(信長)は、家康に討たれたいと考えているのではないか」と。この発言によって、信長の真意と家康との複雑な関係性が浮かび上がります。
この後、信長が明智光秀によって本能寺で討たれ、その報せを受けた家康は慌てて三河に向けて逃げ出します。その途中、家康は信長との思い出を反芻し、織田信長の存在が自身の生存を可能にしていたと認識します。
この怒涛の物語は、家康が敵を避けながらも突き進み、最終的に雄叫びを上げる場面で締めくくられます。「皆の者、誰も死ぬな!生き延びるぞ」と。家康のこの勇ましい掛け声は、彼の闘志と生き残る決意を示すもので、視聴者に強い印象を残します。
幼年期から独自の道を歩む信長の葛藤
天下布武を夢見る織田信長は、小さい頃から「誰も信用するな」と父から教え込まれた孤独な戦士だった。その厳しい教育が、ある日、彼の中で突如として目覚める。彼の目の前にいる家臣たちを力ずくで倒し、この世界で自分だけが信頼できる存在であることを証明した。そんな夢を見て、本能寺での暗殺を恐れる夜を過ごす信長の姿は、彼の深い内面の苦悩を映し出している。
信長暗殺の噂と家康の決断
本能寺が炎に包まれる中、民衆の間では「信長を討ったのは家康」という噂が立ち、この混乱の只中で家康が逃亡中だと耳にする。一方、明智光秀は、信長が京都へ向かって家康と合流する予定だと知り、時を待つ。
この頃家康は大きな決断を迫られていた。信長の死が必ずしも自分への天下獲得に繋がるわけではないとの論理と感情の間で揺れ動く。家康に忠実な家臣たちは、様々な意見を交わしながら、その決断を下すべきか模索する。
家康とお市の思い出話
道中、家康はお市に出会い、彼女は信長が家康に一切害を加えるつもりはなかったと語る。幼い頃、相撲を取り交わした頃を懐かしむ信長にとって、家康は唯一無二の友だった。家康が持つ弱さや優しさが、信長にはうらやましく、もしも討たれるのなら家康の手によってであってほしいと信長は願っていたという。重い秘密を胸に、お市は去っていく。
本能寺の変と家康の苦悩
家康のもとへ、信長が明智光秀によって討たれたとの報が届く。一方、家康自身は信長を討つという最終決断に至ることができずにいた。その決断を下せない自分に対する家臣たちの慰めと支えが、彼の心の中で新たな思いをかき立てる。
織田信長の最後
そして、信長は自らの最期に、光秀が黒幕であることを知り、失望しながらも最後の挑発を投げかける。本能寺の炎の中に自らを投じ、彼の伝説は幕を閉じる。
家康の決意と別れの言葉
その頃、家康と家臣たちは激しい戦いを続けつつ、信長への別れを想い、これまでの彼らの関係を振り返る。信長を超えるために生きてきた家康は、最後の別れの言葉を心の中で織田信長に捧げる。そして、独自の天下取りの旅を始める決意を固めるのであった。
この葛藤と決意が交差する物語は、戦国時代の混沌とした空気を感じさせる。家康の内面のドラマと、織田信長の生きざま、そしてその最期が、後の天下統一に大きな影を落としていく……
コメント