基本情報 & 概要
- タイトル:大追跡〜警視庁SSBC強行犯係〜
- 放送期間:2025年7月9日スタート、水曜21:00〜(テレビ朝日系列)
- 話数:8話+最終話(全9回)
- 原作脚本:福田 靖
- 制作:テレビ朝日・東映
- 主題歌:DREAMS COME TRUE「BEACON」
舞台設定とテーマ
このドラマの核は、現代捜査の「分析力」と「テクノロジー」の融合。特に、
- SSBC(捜査支援分析センター)という、防犯カメラ映像・スマホ・PCデータの解析・プロファイリングなど、裏方(支援)としての役割を持つ部署。
- 「強行犯係」という名前が示すとおり、殺人・強盗・放火など凶悪犯罪を扱う、捜査一課を支援する“別班”。官僚的な捜査一課とは異なる立ち位置から、事件を追う。
そのため、伝統的な“刑事ドラマ=現場で拳銃や張り込み”と“デジタル捜査・分析重視”の対比が頻繁に出てきて、「過去の体力と勘 vs 今のデータとテクノロジー」というテーマが隠し味になってる。
ストーリー展開の流れ(ネタバレ少なめ)
物語は、
- 第1話で、SSBC強行犯係の紹介とキャラの配置(伊垣 vs 名波、青柳との関係、捜査体制の問題)が提示される。ベンチャー企業の社長殺害事件が起き、それをきっかけに、SSBCの“支援分析”だけではなく、現場にも積極的に介入したくなる葛藤が生まれる。
- 各話で、「ただ証拠を集める」「防犯カメラ映像を追う」「デジタルデータを解析する」「プロファイリングをする」など、SSBCらしさが活かされる捜査が展開される。捜査一課との協力・衝突が繰り返される。
- 組織内・人間関係の葛藤もポイント。伊垣の元刑事としてのプライド、名波のキャリア組としての視点、青柳の現場指揮としての重圧など。親族・過去のトラウマなども散りばめられて、ただの“事件もの”ではなくキャラクターの成長・内面ドラマが描かれる。
- 最終話に向かって、SSBCの存在意義、支援分析だけでは越えられない壁・法的・倫理的な問題、捜査との境界線などが問われる展開。事件解決だけでなく、「新しい捜査スタイルとは何か」を観る者に投げかける。
見どころ・強み
以下、このドラマが特に光る点。
- “分析と現場の橋渡し”:デジタル捜査・データ解析と、人間的直感や現場での行動との融合。古い刑事ドラマ好きも、新しい捜査ドラマ好きも楽しめる。
- キャラのバランスが取れている:タイプの異なる刑事が衝突しつつも、それぞれの立ち位置とバックストーリーが丁寧に描かれていて、ただの“ヒーロー祭り”にはなっていない。人間の弱さ・葛藤あり。
- 組織的ポリティクス:捜査一課 vs SSBC、キャリア組 vs ノンキャリア、政治家や上層部からのプレッシャー、といった「権限・制度の壁」がドラマに厚みを与えてる。
- 物語のテンポと構成:一定話数で様々なタイプの事件を扱うオムニバス寄りの構成ながら、キャラクターアークが途中で途切れないように設計されてる。視聴者の関心を保ちやすい。
気をつけたい点・課題
もちろん、良いところばかりではなく、「こうだったらもっと良かったかも」というポイントも。
- “越権・支援”の線引き:SSBCがどこまで現場捜査に関わっていいのか、法的・制度的な説明が曖昧な部分がある。ドラマ的盛り上げのためとはいえ、視聴者にとっては現実とのギャップを感じるかも。
- バックストーリーの説明量:キャラの過去(なぜ伊垣が異動したのか、名波がキャリアを選んだのかなど)は出てくるが、全てが十分に語られるわけではない。感情移入しやすい人には「もっと見たい」部分が残る。
- 登場人物が多いため、特定の人物に感情移入する余裕がない回もある。たとえば分析担当 vs 現場担当のキャラクター間で焦点がずれる回も。
比較:類似ドラマとこの作品の“差別化”
この手の刑事・捜査ドラマをいくつか見てきたが、この作品がユニークなのは:
- 防犯カメラ・デジタルフォレンジック・プロファイリングが“主役級”に扱われている点。多くのドラマでは現場の張り込み・聞き込みが中心だが、ここでは“数字・データ”が鍵を握る。
- 組織内部の古い体質と新しい体制の対立が丁寧。キャリア vs ノンキャリア、人情と制度、正義感と役割の制約が重なってドラマを複雑で面白くしてる。
- 主演3人(大森南朋・相葉雅紀・松下奈緒)の“重厚さ”と“バランス感”。ベテラン演技派 + 若手 +中堅という組み合わせで、事件の重さにも人物の内面の重さにも説得力がある。
観る価値・感想
このドラマ、「ただ事件を追うだけ」で終わらない。視聴者は「現代捜査とは何か」「技術と人間、どちらが主導権を持つべきか」「正義とは何か」などの問題にも考えさせられる。
もしあなたが、
- 最新の監視社会・デジタル技術が捜査にどう使われるか興味あるなら
- 犯罪ドラマだけでなく、刑事の内面や倫理、制度の矛盾にも惹かれるなら
- キャラクターの関係性(元夫婦、上司と部下、親戚関係など)がドラマに味を出す作品が好きなら
この「大追跡」はかなりオススメ。
「大追跡〜警視庁SSBC強行犯係〜」各話あらすじ(ネタバレあり)
ここからネタバレ注意!
第1話「裏方の刑事たち」
都内でベンチャー企業社長が殺害される事件が発生。捜査一課が捜査を進める中、SSBC(捜査支援分析センター)強行犯係が立ち上がる。
異動組の伊垣修二(大森南朋)は“現場主義のベテラン刑事”だったが、いまや分析支援要員。そこにキャリア官僚出身の新メンバー・名波凛太郎(相葉雅紀)が加わり、捜査手法をめぐって衝突する。
結局、伊垣の“現場感覚”と名波の“データ分析”が噛み合い、容疑者の逃走ルートを割り出す。だが、伊垣の過去の問題行動もちらつき、チームの行方は不安定なままスタート。
第2話「監視カメラの罠」
住宅街で連続放火事件が発生。監視カメラ映像を解析すると、同一人物らしき影が映っていた。
SSBCはAIで顔認証を試みるが、犯人は意図的に“監視カメラの死角”を突いていた。伊垣は「カメラに映らない動き」に注目し、犯人が元消防士だと突き止める。
しかし、逮捕寸前で放火犯は警察に恨みを吐き捨て、自分の犯行を“警察の怠慢を暴くため”だと主張。SSBCの“監視社会的な手法”の是非が問い直される回に。
第3話「旧友との対決」
金融機関を狙った強盗殺人事件。容疑者は伊垣のかつての情報屋・旧友だった。
伊垣は情報屋との絆を頼りに非公式に接触するが、逆に“内通疑惑”をかけられ、チームから孤立する。
名波は「伊垣を信じるべきか」葛藤するが、青柳(松下奈緒)は冷徹に「証拠を追うしかない」と突き放す。
最終的に旧友は真犯人に利用されていただけで、伊垣の“情”と名波の“分析”が合流して真犯人を追い詰める。伊垣の孤独さと正義感の強さが際立つ回。
第4話「母の影」
女性殺人事件の被害者は、青柳の部下の妹だった。青柳は感情を抑えきれず、捜査を“私刑”に傾けそうになる。
伊垣は元妻として、彼女の痛みに寄り添いつつも「刑事としての線引き」を説く。
一方、名波は冷静にDNA鑑定を進め、被害者の交際相手が容疑者であることを突き止める。
しかし実際の犯人は、被害者が通っていた病院の医師。青柳の激情と名波の冷静さ、伊垣の人間味が三者三様に交差する。
第5話「デジタルの闇」
高校生の失踪事件。SNSに残された“暗号めいた投稿”が手掛かりになる。
SSBCはAI解析を駆使して投稿の発信元を追跡するが、背後にはダークウェブを利用する人身売買組織が。
名波のハッキング技術が光る一方、伊垣は失踪した少女の母親の声に耳を傾け、「まだ生きている」と信じる。
少女救出はギリギリで成功するが、背後組織は“政治家とのつながり”を匂わせ、久世官房長官(佐藤浩市)の存在がうっすらと影を落とす。
第6話「交錯する正義」
警察内部の情報漏洩事件。SSBC内にもスパイがいる可能性が浮上。
容疑はチームメンバーにまでかかり、互いの不信感が膨れ上がる。
伊垣は仲間を信じたいが、名波は「データが裏切れない」と冷徹に調査。
最終的に裏切り者は外部の元警察官で、内部メンバーの情報を盗み出していたことが判明。
しかし、「組織は個人を守らない」という名波の冷酷な現実認識が突きつけられ、チームにヒビが入る。
第7話「青柳の選択」
青柳の娘が誘拐される。犯人は“SSBCへの復讐”を掲げ、警察に挑戦状を叩きつける。
伊垣と青柳は、かつての“夫婦”として協力し、娘救出に奔走。名波は冷静に交渉戦術を進める。
最終的に娘は救出されるが、青柳は「私情が捜査を歪める」ことを痛感。チームとしての結束は一度崩壊しかける。
第8話「名波の過去」
名波の過去が暴かれる。なぜ証券会社からキャリア官僚に? そこには久世官房長官(伯父)の存在があった。
さらに、名波の過去の“ある取引”が、現在の事件とリンク。彼の冷徹さの裏に“正義への憧れ”が隠されていたことが判明する。
伊垣は「正義を貫くのに資格は要らない」と語り、名波は初めて“理屈だけでなく情”を重視する姿勢を見せる。
最終話「大追跡」
SSBC解体の噂が広まる中、大規模なテロ計画が発覚。
捜査一課とSSBCは全面的に協力し、東京を舞台に“史上最大の追跡劇”が展開される。
伊垣は命を賭けて犯人を追い、名波は政治的圧力を振り切り、青柳は現場をまとめ上げる。
最終的に事件は解決するが、SSBCの存在意義を問う声は消えない。
ラストシーンは、伊垣・名波・青柳が「どんな形でも正義を追い続ける」と誓い、それぞれの未来へと歩き出す姿で締められる。
文責:シティハンター令和(@cityhunter_r #刑事ドラマ廃人)
自己紹介:刑事ドラマとサスペンスをこよなく愛するドラマウォッチャー。SNSでは#刑事ドラマ廃人 で感想つぶやいてます。
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