強情灸(ごうじょうきゅう)は古典落語の演目の一つ。
元々は上方落語の『やいと丁稚』の演目。
得意にしていたのは8代目三笑亭可楽や5代目古今亭志ん生、5代目柳家小さん。
あらすじ
ある男が友達に、灸をすえに行った時の自慢話をしている。
大勢の先客が、さぞ熱いだろうと尻込みする中で、自分の番がきたので、すーッと入っていくと、
「この人ァ、我慢できますかな」
「まあ、無理でしょう」と、ひそひそ話。
癪にさわった強情者、たかが灸じゃねえか、ベラボウめ、背中で焚き火をするわけじゃああるめえと、先生が止めるも聞かばこそ、一つでも熱くて飛び上がるものを、両側で三十二もいっぺんに火をつけさせて、びくともしなかったと得意顔。
それだけならいいが、順番を譲ってくれたちょっといい女がニッコリ笑って、心で
「まあ……この人はなんて男らしい……こんな人をわが夫に」
なんて思っているに違いないなどと、自慢話が色気づいてくるものだから、聞いている方はさあ面目ない。
「やい、豆粒みてえな灸をすえやがって、熱いの熱くねえのって、笑わせるんじゃねえや。てめえ一人が灸をすえるんじゃねえ。オレの灸のすえ方をよっく見ろっ」
よせばいいのに、左腕にモグサをてんこ盛り。
まるでソフトクリームのよう。
「なんでえ、こんな灸なんぞ……石川五右衛門てえ人は、油の煮えたぎってる釜ん中へ飛び込んで、辞世を詠んでらあ。八百屋お七ィ見ろい。火あぶりだ。なんだってんだ……これっぽっちの灸……トホホホホ、八百屋お七……火あぶりィ……石川五右衛門……お七……五右衛門……お七……五右衛門……」「石川五右衛門がどうした」
「ウーン、五右衛門も、熱かったろう」
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