第1話 あらすじ&ネタバレ
佐竹純子の逮捕
場面は海の見える丘の上の、特別記者会見場。
多くの記者が詰めかけていた。
その中には、1人目のジュンコ、ジャーナリストの田辺絢子(松雪泰子)の姿もあった。
そして、2人目のジュンコ、赤いドレスを着た佐竹純子(小池栄子)が姿を現し、
「皆様、ようこそお越しいただきました。皆さんがお揃いになったら始めますので、それまでもうしばらくお待ち下さい」
そう言った佐竹は、自分を見つめる田辺を見つめていた。
すると、佐竹の名を呼ぶ警察が駆けつけ、殺人未遂事件の逮捕状を見せた。
佐竹の弁護士がそれを確認すると、佐竹は無言のまま両手を差し出した。
手錠をかける刑事。
カメラのシャッターが切られるなか、佐竹は笑みを浮かべて連行された。
(田辺のナレーション)
「バタフライエフェクト……ほんの些細な事が、徐々にとんでもなく大きな現象の引き金になる」
自宅のテレビで逮捕の報道を見ているのは3人目のジュンコ、社宅暮らしの主婦、福留順子(西田尚美)。
そして、4人目のジュンコ、守川諄子の遺影に手を合わせる、娘の守川美香(麻生祐未)は、
「兄ちゃん、もしかしてお母さんのとこ、行っちゃった?」
とつぶやいた。
5人目のジュンコは、職場のコールセンターの休憩室で佐竹の逮捕をスマホで見ていたOLの篠田淳子(ミムラ)。
(田辺のナレーション)
「あのジュンコが、もしこの世に存在していなかったら、私達の運命は変わっていた。全ての事件は起きていなかったかも知れない」
ノンフィクション作家・久保田芽依
ワイドショー「ライブバード」のスタジオ。
「独身男性連続殺人事件の佐竹純子容疑者が逮捕された数か月、間もなく拘留期限を迎えようとしています」
司会者は、ノンフィクション作家の久保田芽依(渡辺真起子)を紹介する。
久保田は、司会者の隣に立っていた。
5人の男性が、全財産を佐竹に貢いだ後、自殺を装った同じ死因の遺体で発見された。
その5人は、
松野智彦さん(80)元弁護士
被害総額約6000万円。
Aさん(74)団体役員
被害総額約2200万円。
佐藤辰夫さん(49)大学教授
被害総額約1300万円。
牧田博幸さん(56)会社役員
被害総額約360万円。
Bさん(67)自営業
被害総額約500万円。
幸いにも命が助かった被害者が通報、その人は、
Cさん(43)会社員
被害総額約210万円。
睡眠薬を飲まされて練炭による自殺を強要されたと話し、事件が明るみになるきっかけとなった。
久保田は、被害者は皆、妻と死別、離婚、未婚など孤独な男性と説明。
「稀代の悪女などと言われてますが、違います。佐竹純子は本当の悪魔です」
久保田のアシスタントをしている田辺もスタジオにいて久保田を見守っていた。
「私は今後も徹底してこの事件を追っていきたいと思っています」
と久保田。
収録を終え、控室に戻ってきた久保田と田辺。
久保田は田辺に、どこよりも早く佐竹にインタビューするよう指示。
取材依頼の手紙を本人に送ると答えた田辺は今日のスケジュールを久保田に説明。
廊下を歩きながら、久保田は田辺に、明日から新しいアシスタントが来ることを伝えた。
私一人でも何とかなってますと言う田辺に「なってない」と言う久保田。
田辺が取材で留守の時にいろいろ困ると言う久保田、いつも支援してくれる鵜飼さんのお嬢さんだと田辺に伝えた。
久保田の携帯に保育園から、娘の美優が37.6℃の熱を出したので迎えに来てほしいとメールが届いた。
直帰すると言う久保田に、インタビューは?と聞く田辺。
それを何とかするのがあなたの仕事でしょ?という久保田。
じゃ、お疲れ様!と言い去って行く久保田。
夫の田辺貴也
自宅に戻った田辺。
テレビを見ていた夫の田辺貴也(津田寛治)は、かつては大手の新聞記者だったが、女性関係でクビになり、今は3流ゴシップ誌を担当している。
テレビに映っているのは、久保田と娘。
シングルマザーのアピールをしているとつぶやく貴也。
おととしは1年で2冊出版、それが子供を産んでから書く気がなくなったと久保田のことを言う田辺。
レギュラー2本、準レギュラー3本、週刊誌の連載、講演会など、タレントも結構だけど本業を忘れてほしくないと言う田辺。
「母親になったことで彼女は変わった」
貴也は、テレビに映った妻を見て、「映ってんじゃん」と言うが、田辺はテレビを消した。
主婦・福留は、夫(児嶋一哉)と見ていたテレビに、田辺が映っている事に驚く。
福留と田辺は昔、会社の同僚だった。
佐竹の故郷、熱海へ
取り調べで何も話さな佐竹に、刑事が、
「なあ、佐竹さん、あんた一体、何考えているんだ?」
「ここ、すごく乾燥するからパックを差し入れてもらおうかなあ、なんてことを考えてました」
と答える佐竹。
田辺が事務所に着くと、入り口に新しいアシスタントの鵜飼優子(小林涼子)が立っていた。
久保田は来ないし、私も熱海に取材へ出かけるから、今日はもう帰っていいと言う田辺に、一緒に熱海に連れて行ってくださいと頼む鵜飼。
車中で、田辺に話しかける鵜飼。
佐竹は小学生の時に両親を亡くし、東京でホステスをやっていたが、事件当時熱海に住んでいた。
どうして熱海に戻ってきたのかと尋ねる鵜飼に、それを調べに行くのと告げる田辺。
クリーニング屋の女性が、中学時代の同級生に電話をし、みんなを集めてくれた。
佐竹の印象はあまりないと話すみんな。
近くでスナックをやっていて、今はグアムにいるという美津絵は、佐竹が宝塚ファンだったことを覚えてると言っていた。
一番仲が良かったのは?と聞く田辺。
篠田淳子だと答える女性。
「あー」
「ほら……」
何かあったのかと尋ねる田辺に、「別に何も」と話をしないみんな。
卒業アルバムを見て、佐竹と、集合写真の右上に2人別で映っていること、そして篠田の写真に注目する田辺。
篠田の所在を聞くがみんな知らない。
田辺は、「希望」と表紙に書かれたアルバムを借りることにした。
篠田の職場のコールセンター。
お客様の電話に対応する篠田。
前に座る女が、振り返って何も言わずに篠田の机の上のチョコを勝手に取り食べた。
篠田は何も言わず、中学時代を回想した。
篠田の前には佐竹が座っていて、振り返った佐竹は何も言わず、ただ篠田を見て笑った。
その光景を思い出していた篠田は、黙ってチョコを食べた。
田辺は美津絵のスナックを訪ねたが、休みの張り紙が扉に貼ってあった。
田辺と夕食を食べる鵜飼は、どうして久保田の所で働くようになったかを聞いた。
「なんとなく。流れよ」と田辺。
どうしてジャーナリストになりたいかを聞かれた鵜飼は、久保田の「真実を知る瞳」という本を中学時代に読み感銘を受けたと答えた。
冤罪の末に自殺をしたある男と、その家族の話、読んだ時に心臓がえぐられる気持ちになったと言う鵜飼。
晴れない冤罪を死をもって知らしめた男、残された妻、その娘の気持ち、その苦しさがリアルで、息も出来ないくらいに苦し……
田辺の表情を見て言葉を飲み込んだ鵜飼。
鵜飼は、田辺に子どもは?と聞き、いないと言われると、作らないんですか?と聞いた。
「えっ!? なに?」と田辺。
話題を変える鵜飼。
田辺が自宅に戻ると、ソファで貴也が寝ていた。貴也を起こす田辺。
寝室に行く貴也。
洗い物を終えた田辺は、本棚にあった、「真実を知る瞳」を手に取った。
(田辺のナレーション)
「地獄のような日々が彼女に突然降りかかった。ある日、いつものように高校から家に帰ると……」
記者の一人が、「犯人の娘じゃねえか?」と言い、みんな集まってきて、
「田辺絢子さんですね?」
「はい」
「お父さんの犯罪知ってますか?」
「犯罪?なんですか?」
「会社のお金を横領したんです」
「一言お願いします」
迫ってくるカメラや記者を振り払って逃げるように家の中に入った田辺。
回想を終え、本棚に本をしまった田辺はパソコンで、行政書士・田辺絢子として篠田淳子の遺言書作成の代行業務に関する書類を作っていた。
田辺と福留の再会
近所のおばさんに篠田の母のことを聞く田辺。
母は糖尿病で、篠田が厳しく食事制限をしていると聞いた。
篠田の母を訪ねた田辺は、ケーキを手土産として母に渡し、家に上がることに成功した。
普段、娘から甘い物を禁じられている母はケーキを見て興奮し、嬉しそうに食べた。
佐竹のことを聞くと、「あの子は本当に良い子だったのに」と話す篠田の母。
完全黙秘を続け、もうすぐ拘留期限を迎える佐竹は、看守に、「もうすぐお別れね、寂しくなるわ」と言って笑みを浮かべた。
田辺が事務所に戻ってくると、久保田と鵜飼がお菓子を食べていた。
篠田は留守で、母親と話ができたことを久保田に報告する田辺。
福留が近くの喫茶店で待っていると鵜飼に聞かされる田辺。
面倒くさそうだと思いながらも、久保田に行ってくればと促され、福留に会う田辺。
12年ぶりだと話す福留。
どうしたの?と聞く田辺に、ずっと会いたかったけど連絡先がわからなくて、テレビで見て会いたくなって、思い切って調べてきたと話す福留。
何かあったの?と聞くと、顔が見たかっただけと話す福留。
しらける田辺に、本当は、夫の上司の妻が久保田の大ファンで、サインをもらえないかと思ってと白状した。
タイミングが合えばもらっとくと言い、忙しいから戻る言う田辺を制止し、福留は知人が佐竹の被害者の親戚だと言った。
誰?と聞かれ、80歳の元弁護士の……
会いたいから名前を教えてという田辺に、周りに知られたらまずいから言えない、面倒はごめんだと話し、社宅生活の大変さを細かく話す福留。
自宅に戻った篠田、ゴミ箱の中身から母がケーキを食べたことを知り、母に怒る。
もらったのに食べないのは悪いじゃないという母に、誰からもらったかを聞くと、佐竹のことを聞きにきた記者のことを話した。
「良い子だったのに」と言う母に
「何度言ったらわかるの、あいつは良い子じゃない!」
「悪魔よ」
面会に来た弁護士から、相当の数の取材依頼がきていると聞く佐竹。
田辺が送った手紙に同封された名刺を見て
「ジュンコ」
とつぶやく佐竹。
熱海のスナックのママ・美津絵を訪ね、宝塚のチケットをプレゼントした田辺。
喜ぶ美津絵から、篠田と佐竹の話を聞くと
「事件があった」と言う。
中3の時に篠田が登校拒否になり、いじめの犯人と言われたのが飯田野梨子で、1年後に自殺したとのことだった。
図書館で当時の記事を調べる田辺。
鵜飼は、久保田に、田辺が篠田の居場所を突き止めた方法を聞いた。
「あなたには無理よ。特別な資格を使って違法行為だから。ま、探偵事務所なんかでもよく使ってるんだけどね」
保育園の迎えに行こうとする久保田に、「真実を知る瞳」の本にサインしてほしいとお願いする鵜飼。
残された家族はどうなったのかを聞く鵜飼に
「あの子はあなたの近くにいるわ」
「えっ!?」
「みんな誰でも過去を抱えながら生きてるって言う意味」
そう言って立ち去る久保田。
自宅で、卒業アルバムの佐竹の写真を見る田辺。
(田辺のナレーション)
生まれてから死ぬまでの間に出会う人々、その出会いが、必然なのだろうか。
誰かに出会うことによって、その人の人生は変わっていく。
いや、その人だけではなく、周りの人々の人生までもが変えられていく。
幸せに導いてくれる奇跡のような出会いもあれば、地獄に引きずり込まれるような出会いもある。
そう、この世界には、決して出会ってはいけない女がいる……
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