北朝鮮・シリアだけじゃない!!いま注目すべき独裁国家
今 注目すべき独裁体制の国
今、世界を混乱させている国が2つあります。
一つは、金正恩第一書記を最高指導者とする北朝鮮。
もう一つは、アサド大統領が最高指導者を務めるシリア。
この2つの国は、その政治体制から「独裁国家」と呼ばれています。
2つの独裁国家には共通点があります。
それは、「近隣諸国への脅威」。
今年2月、北朝鮮は、人工衛星と称する長距離弾道ミサイルの発射を強行。
アメリカ東海岸まで届くと言う分析もあります。
一方シリアは、内戦の影響が国内外に拡大、480万人を超える難民はヨーロッパまで巻き込み、問題を引き起こしています。
このように、国際社会に混乱を招く独裁体制がある一方で、国民はもちろん、国際社会からも一定の理解を得ている独裁体制の国も。
中央アジア、カスピ海の東に位置する国、トルクメニスタン。
最近では、安倍首相が訪れるなど、日本とも交流を深めています。
しかし、他の独裁体制の国とは違い、国民を喜ばせた政策があります。
それは、埋蔵量が世界第4位の天然ガスなど、豊富な資源による利益を、国民に還元したことです。
今回、独裁国家を教えてくれるのは、時事問題のスペシャリスト、読売新聞 特別編集委員の橋本五郎先生(69歳)。
世界で最も裕福な国「カタール」
独裁にも、良い独裁と悪い独裁があります。
独裁とは、「一人の人」「一つの体制」、それ以外認めないということです。
「独裁」を調べると、167の国・地域のうち、なんと51もありました。
むしろ、「民主主義国」は、それほど当たり前のことではない、ということです。
2012年、経済紙フォーブスが発表した、世界で最も裕福な国ランキングベスト3
第3位 シンガポール 5万6694ドル
第2位 ルクセンブルク 8万1466ドル
第1位 カタール 8万8222ドル
カタールは、サウジアラビアに隣接する小さな国。
代々、サーニ家の人物が最高指導者(首長)を務めることになっている「独裁体制の国」です。
それを成し遂げたのが、カタールの政治指導者、ハマド前首長。
彼の指導力により、2011年には、経済成長率が世界一!
2014年には、天然ガスの輸出額が世界一になるなど、急成長!
公共料金・医療費・教育費は全て無料、税金もありません。
さらに、結婚すると国から土地がもらえます。
その結果、国民の家がすごいことに!
カタールでは、国の様々なサポートにより、広くて豪華絢爛な豪邸に住むことができます。
継続できる財源づくりの方法
カタールは、天然ガスなどの資源は将来、枯渇するかも知れないと考え、継続できる財源づくりを目指しています。
では、カタールが3兆円以上をかけて行っている、継続できる財源づくりの方法とは何でしょうか?
それは、世界の有名企業を買収することです。
カタールが買収した世界の有名企業とは?
イギリスの老舗デパート「ハロッズ」
シンガポールの5つ星ホテル「ラッフルズホテル」
イタリアのファッションブランド「ヴァレンティノ」
フランスの名門サッカーチームクラブ「パリ・サンジェルマン」
今後も価値が下落しないであろう企業やブランドを買うことで、継続して使える財源を得ようとしているのです。
また、カタールが国力を高めようとして作った企業が、今や国際的に影響力を持つようになりました。
それは、テレビ局「アルジャジーラ」です。
2001年のアメリカ同時多発テロ以降、ウサマ・ビンラディン容疑者のスクープを放送するなど、少ない中東関係の情報を積極的に発信、今では世界的に影響力のある放送局になりました。
ここで気をつけなければいけないのが、カタールは資源を持っているから豊かな国であって、独裁国ならみなそうだというわけではありません。
カタールと日本の友好関係
カタールの劇的な発展を可能にしたLPG(液化天然ガス)の開発で、積極的に技術を提供したのは日本の企業でした。
宮城県女川町に、6000トンもの海産物を保存できる冷凍冷蔵施設を作ってくれました。
その建設費は、実に20億円!
しかも、完成はなんと震災の翌年、2012年でした。
20億円という大金が、簡単に動くとは思えません。
それは、国王の決断によってすぐに決まりました。
ここが、独裁国家がプラスに転ずるところなのです。
「良いことはやる」「断固としてやる」「反対があってもやる」
また、物事を決めるのが非常に早くなります。
これが民主主義であれば、議論をしている間に半年くらい経ってしまうでしょう。
幸せの国「ブータン」
もともと、国王が国を統治する独裁的権力を持つ「王政」でした。
有名になったのは、国民によるアンケート調査で決める、GNH「国民幸福量」を世界で初めて提唱したから。
まさに、国民の幸せを願う国です。
ジグミ・シンゲ・ワンチュク前国王が、国民の幸せを想い、こだわった政策は・・・。
国民の健康を願い・・・「国内全禁煙(公共の場所で)」
きれいな景色を残すため・・・「信号を廃止(警察官が誘導)」
子どもたちが将来、海外で活躍できるように・・・「授業は英語(国語以外)」
その結果、2005年の調査では、国民の97%が「幸せ」と報告され、話題にされました。
しかし今では、ブータンは独裁的な権力がある国ではありません。
1960年代から、民主的政治を行い、2008年には国王が独裁体制を放棄して、立憲君主制に移行、完全に民主化したのです。
では、なぜブータンの前国王は民主化を進めたのでしょうか?
それは、前国王が「国民の将来の幸せを願った」からでした。
「独裁体制をやめよう」と前国王が言ったとき、国民はどんな反応を示したでしょうか?
”いやいや、そんな、やめないでくれ”
”今の方がずっと幸せだから”
このとき、前国王はこう言って、国民をいさめたといいます。
「今日の国王は良き君主でも、もし悪しき君主が現れたらどうするのだ?」
国王自ら、このように言ったのです。
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独裁国家は、どうしても言論の自由がなくなり、「自由にモノを言えなくなる」というところがあります。
逆に、うまく統一がとれなくても、「自由にモノを言える」ほうがいい、という価値観もあります。
ここのところを、バランス良くやるのが難しい、ということですね。(S.A.)
[出典:2016年4月9日 世界一受けたい授業 まとめ]
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