斬り捨て御免!時代劇ドラマのイメージと実際の意味が違った件#1099

雑学・豆知識
スポンサーリンク

切り捨て御免は下手をすれば死刑!?

時代劇から学ぶ歴史の新事実

切り捨て御免!

江戸時代の「士農工商」という身分制度の元では、武士が一番偉いので、無礼な事をした農民や町民を切り捨ててしまってもお咎めにはならない、つまり罪にはならない、無罪である……と言うのが、一般的な切り捨て御免のイメージです。

しかし、現役東大教授の本郷先生が様々な文献を紐解いた結果、実際の切り捨て御免は、われわれのイメージとは全く違うと言います。

高橋英樹さんが、実際にドラマでやっている切り捨て御免の実演をする際、白い刀を持たされ、「殿様の刀が出てきた」と言います。

1

白は一番偉い人で、地方の大名が地元にいる時は白を使いますが、江戸に来たら将軍がいるので白は使えないそうです。

実演で、斬られ役の林先生が刀に当たると「無礼者! 武士の魂たる刀に当たるとはおのれ切り捨て御免!」と斬る高橋さん。

時代劇でよく見る切り捨て御免は、些細な理由で町民を斬っても武士は無罪です。

無礼な者を斬っても問題なし、それが無礼討ち、切り捨て御免というものですが、実際にはかなり違うと本郷先生は言います。

本郷先生によると

江戸時代、切り捨て御免は下手をすると死刑になる。

本郷先生が、高橋さんに現場でやっていていかがでしたかと聞くと、これはほとんど無かったんだって言いながら、「映像的にはこれがないと」と言って作っているそうです。

刀が当たったとか、泥が跳ねただけで殺すって、無茶ぶりでしょと高橋さん。

本郷先生曰く、実際は殺人罪で、人を一人殺していると下手をすれば打ち首で、武士の名誉の切腹も認められないそうです。

3

それが、本当に町人が、武士に対して堪え難い無礼な事をして、どうしても許せないと言う時に斬っちゃった、これはお構いなしであるというのがあります。

逆に、正当な理由がなくて切り捨てた場合は、ただの人殺しなので死刑に。

高橋さんの説明によれば、時代劇などでは、悪人を悪人らしく描くためには理不尽な行為をしてでも相手を斬ってしまうような奴を悪人にしたがるとか。

主人公がそういう悪人をやっつけるのがヒーローとして際立つからですね。

実際に、切り捨て御免した後は?

実際には、切り捨て御免をした後は、まずは速やかに役所に届け出を行います。

6

どんな事情があったにせよ、人の命を奪ったわけなので、責任の重みのために20日以上にわたる自宅謹慎をします。

7

それから、斬った刀は、証拠品として一時押収されることになります。

8

そして、本当に相手が無礼な事をしていたかどうかを立証しないといけないので、証人を探します。

9

立証しないと、お前は勝手に人を殺したという話になります。

当時の武士と町人の関係

武士はそれなりに立派な人。町人は守ってやるべき人、まだまだ未熟な人。

「町人は、まだまだ未熟な発展途上の人間だから、ちょっとのことをやっても許してやろうぜ」というのが、武士の本来のあり方だそうです。

ところがそれを斬ったとなると、「お前、なんでそんなことしたの?」と罰を受けるのです。

江戸時代は、そういう意味ではまともな社会でした。

安心して暮らせるので、あっという間に人が増えました。

関ヶ原の戦いのころは人口が1200万人くらいでしたが、たった100年の間に2倍の約2500万人になりました。

嫌な事もたくさんありましたが、人口が倍に増えるくらい、人に優しい社会だったそうです。
[出典:2015年11月10日放送「林修の今でしょ講座2時間SP」]

コメント

タイトルとURLをコピーしました