元犬(もといぬ)は、落語の演目の一つ。
原話は、文化年間に出版された笑話本「写本落噺桂の花」の一編である「白犬の祈誓」。
あらすじ
白犬は人間に近く、信心すれば来世には人間に生まれ変われる。
近くに住む(人間の)ご隠居からそんな話を聞き、一念発起して目黒不動にお百度を踏みに来た白い犬。
「できれば、今生のうちに人間になりたいと思います」
満願の日、一心不乱に祈っているとにわかに毛が抜け、あっという間に人間の姿になった。
大喜びした犬は、たまたま通りかかった件の隠居に事情を話し、『四郎』という名前を付けてもらって仕事の世話をしてもらう。
片岡さんという人のところで奉公をすることになった彼だが、つい犬の習性が出て失敗ばかり。
「焙炉(ほいろ)を火にかけてくれ」と言われ、『吼えろ』と聞きちがえて「ワンワン!」。
そのうち、女中のお元さんに用事ができ、片岡さんが「お元はいぬか?」と声をあげると四郎が勘違いして
「元は犬でございましたが、今朝がた人間になりました」
サゲは、「お元はいぬ(いる)か」と「元は犬か」を引っ掛けた地口落ち。
『白犬は人間に近い』という俗信をもとにしたもので、説教などにも似たような内容の噺が存在する。
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