猫の皿(ねこのさら)は、落語の演目のひとつ。
古美術商が旅先の途中で立ち寄った茶店で亭主を騙してある皿を買い叩こうとするが、その亭主の方が一枚上手だったという噺。
月尋堂作の浮世草子『子孫大黒柱』所収の『一休和尚』や『爪かくす猫の食器』にその原型といわれるくだりがある。
あらすじ
設定は江戸時代の川越市。当時の古美術商の中には、地方に出かけてお宝を見つけては所有者を言葉巧みに騙して安値で買い叩き、それを江戸に持ってきて今度は大変な高値で蒐集家に売りつけるという、ずる賢い連中もいた。
そんな古美術商の一人が、あるとき地方の茶店でとんでもないお宝を発見する。茶店で飼われている猫の餌用の皿が、何と柿右衛門の逸品だったのだ。
これなら江戸の蒐集家にかなりの高値で売れると踏んだ古美術商、その皿の真価などは知る由もなかろう茶店の亭主を言いくるめて、これを買い叩こうと企む。「ご亭主の飼い猫がどうにも気に入った、是非わたしに引き取らせてはくれないか」ともちかけて、猫を二両で買い取ると、「皿が違うと餌も食いにくかろう」と猫の皿も一緒に持ち去ろうとする。
すると亭主は古美術商を遮り、猫だけを渡して皿は取り返すと、
「これは初代柿右衛門の名品でございますから」。
驚いた古美術商が「それを知っているのなら、何でその名品で猫に餌をやっていたのだ」と訊く。
亭主「はい、こうしておりますと、時々猫が二両で売れます」。
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