捕虫網を手に持ち、虫カゴをぶら下げてトンボを追いかける。パソコンやゲーム機なんてなかった、それどころかテレビも普及していなかった時代には、トンボ取りは子どもの遊びの代表でした。
子ども仲間では網を使うなんていうのは外道で、小石を銀紙で包み糸の両端に付けて空中に放り投げ、餌虫と間違えて寄って来たトンボをからめ捕る技巧派が大きな顔をしていたようです。なかにはトリモチを使用する懐古趣味派がいたりして、皆してトンボさしに行こうと集まったのですが、一人、吉松っちゃんが来ないのです。
そこで、家まで迎えに行くと、ちょうどお母さんが縁側で昼寝をしているところでした。と、お母さんの……
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