全米戦慄!予想外の展開★ある裁判が招く悲劇!そして感動の結末!
婦女暴行事件の被害者 ジェニファー
1984年7月28日、アメリカ ノースカロライナ州。
この日、大学4年生のジェニファーは、恋人のポールとパーティーに参加していましたが、頭痛がしたため、早々にアパートに引き上げていました。
成績優秀で才色兼備で、優しい彼氏との交際も順調、大学卒業後は結婚する約束も交わしていました。
彼女の人生は、まさに順風満帆でした。
その日の深夜 午前3時、見知らぬ男が彼女の部屋に侵入してきました。
「黙れ。さもなければ刺すぞ!」
そしてナイフで脅され、ジェニファーは暴行されました。
男は顔を隠していなかったので、最後には自分を殺すに違いないと、彼女は思いました。
そこでジェニファーは…
「ナイフが怖いの。外に置いてきて。じゃなきゃ、リラックスできないわ」
「警察に電話したりしないだろな!?」
「しないわ、お願い!」そう言って、男にナイフを置きに行かせました。
さらに、男にウイスキーを勧め、男が油断した隙に逃げ出すことに成功、隣家に駆け込んで助けを求めました。
そしてそのまま気を失いました。
容疑者 ロナルド・コットン、22歳
目覚めると病院で、目の前には恋人のポールがいました。
そして、捜査員のマイク・ゴールディンがいました。
「あなたは襲った人物をはっきりと見ましたか?もう一度見たらわかりますか?」と聞かれた彼女は「はい、わかります」と答えました。
そして、警察でモンタージュの作成をすることになりました。
作成された犯人の似顔絵は、事件の翌日から連日ニュースに流され、視聴者からの情報提供が求められました。
すると事件の2日後、通報により、1人の容疑者が浮かび上がりました。
ロナルド・コットン、22歳、シーフード店でウエイター見習いとして働いている男でした。
そしてジェニファーは、警察で複数の写真を見せられ、その中に犯人がいるかどうか確認しました。
事件で、心に深い傷を負った彼女には、苦痛をともなう作業でしたが、ジェニファーが示したのは、ロナルド・コットンの写真だったのです。
面通しの結果、ロナルドだと確信したジェニファー
事件から10日後、面通しが行われました。
通常、目撃者と容疑者が直接対面しないように配慮される面通しなのですが、この時は警察署の建て替えがあり、臨時の建物で行われたため、ジェニファーの姿は丸見えの状態でした。
さらに警察は「黙れ。さもなければ刺すぞ!」 と、男たちに、犯人が口にした言葉を再現させました。
これは、ジェニファーに、再び恐怖を蘇らせました。
ジェニファーは男たちの中から、犯人はロナルド・コットンだと確信しました。
ロナルドは16歳の時に、同じように暴行目的で女性の部屋に不法侵入し、18ヶ月少年院にいた過去がありました。
しかも、ロナルドが主張した事件当日のアリバイは、でたらめだったことも判明したのです。
ロナルドは、「キャンドルナイトクラブで騒いでいた」と話しましたが、のちにそれはウソだったと判明しました。
また、逮捕時にロナルドは、ナイフを携帯していたのです。
さらに同じ夜、同じ町でもう一件、女性の暴行事件が起こっていました。
ドライバーでドアをこじ開けるという侵入の手口、また、被害者が覚えていた犯人の服装が、ジェニファーの証言と一致し、同一犯の仕業であることは間違いないと思われました。
さらに、その事件で被害者の部屋から持ち去られた懐中電灯と同型のものが、ロナルドの部屋から見つかっていたのです。
ロナルドが司法取引を拒否
ジェニファーには、さらなる悲しい出来事が起こります。
事件をきっかけに、恋人のポールが彼女の元を去っていったのです。
順風満帆なジェニファーの人生は、たった一つの事件によって、正反対のものになってしまいました。
さらに、ロナルドが司法取引を拒否しました。
【司法取引とは】……被疑者が取引に応じて罪を認めた場合、裁判にかけずに比較的軽い量刑を受ける制度。
しかし、ロナルドは無実を主張し、裁判を選んだというのです。
物的証拠がないため、裁判になるとジェニファーの証言が重要な鍵となります。
ロナルドに有罪判決
1985年1月、事件から約半年後、ロナルドの裁判が始まりました。
弁護側は連日、ロナルドの家族を証人として出廷させました。
ロナルドの母は、「あの日、ロナルドは家で寝ていた」と証言。
「警察で供述したことは、ただの記憶違いで、嘘をついたわけではない」と主張しました。
検察側はロナルドが、「常にナイフを携帯していたこと」「虚偽のアリバイを供述した事」「もう一つの事件で持ち去られた懐中電灯と同型のものが部屋にあったこと」「16歳の時に同様の事件を起こしていること」などを次々と挙げました。
さらに…
検事)「ジェニファーさん、あなたに暴行を加えた男は今日、この法廷にいますか?」
ジェニファー)「はい」
検事)「その男を指差してもらえますか?」
ジェニファー)「あの男です!」
ジェニファーの証言が決め手となり、ロナルドは有罪になりました。
《終身刑プラス50年》の刑が言い渡されました。
それは、ロナルドがもう2度と、刑務所の外に出られないことを意味していました。
こうして、ようやくジェニファーは、安心を手に入れたのです。
しかし、事件はこれで終わりではありませんでした。
彼女はこのあと、とてつもない「苦しみと恐怖」を味わうことになるのです。
ロナルドは犯人ではなかった!
1984年7月29日午前3時。
それは、ジェニファーが襲われた日の、まさにその時刻のことです。
「ソファーで寝てると風邪引くわよ、ロナルド」
実はロナルドは、犯行時刻に自宅のソファで眠っていたのです!
つまり彼は、ジェニファーを襲った犯人ではなかったのです!
事件の3日後。
彼が家に戻ると、母親から、警察がロナルドのことを探しに家に来たと知らされました。
3日前の暴行事件の犯人の似顔絵が、ロナルドに似ているというのです。
ロナルドは、自ら警察に出向くことにしました。
ロナルドは楽観していました。
似顔絵にたまたま似ているだけ、それだけで犯人にされるはずはないと思っていたのです。
6年前にも冤罪で有罪になっていたロナルド
しかし、警察に着くといきなり、捜査員のマイク・ゴールディンにボディチェックをされました。
そして、ロナルドがいつも携帯している万能ナイフを取り上げられました。
すぐに事情聴取で、犯行時刻のアリバイを聞かれ、「キャンドルライトクラブにいた」と証言。
しかし、それは単純な勘違いでした。
さらに、16歳の時に女の子を暴行しようとして、18ヶ月少年院に入っていたことを言及されましたが、これについてはロナルドには言い分がありました。
それは、ロナルドが友人の家に行った時、友人の妹をびっくりさせようと布団に潜り込んだところ、彼女が叫び声を上げたため、母親が警察に通報し、逮捕されたのです。
ところが当時の弁護士に「君の言う通りだとしても、裁判には勝てない。司法取引をした方がいい」と説得され、まだ若かったロナルドは、弁護士に言われるまま司法取引に応じ、暴行の意思があったことを認めてしまったのです。
こんな女性は知らない。僕だと言うはずがない
さらに、同じ日に起きた別の暴行事件で、被害者・メアリーの部屋から持ち去られた赤い懐中電灯と同じものが、ロナルドの部屋から見つかったというのです。
しかし、その懐中電灯は量産品で、たまたまロナルドも使っていたものでした。
こうして、数々の偶然が重なり、ロナルドは逮捕、勾留を余儀なくされました。
しかし彼には、最大のチャンスが残されていました。
それは、被害者・ジェニファーとの面通しでした。
”こんな女性は知らない。僕だと言うはずがない”
「黙れ。さもないと刺すぞ!」
”お願いだから、僕が犯人だなんて言わないでくれ”
しかし、まさかの事態が…。
ジェニファーはロナルドを、犯人だと指し示したのです。
”ばかな。そんなばかな…”
この日、もう一つの暴行事件の被害者、メアリーも面通しを行いました。
すると彼女は、ロナルドではない男を指し示したのです。
そこで警察は、ロナルドの有罪を確実なものにするため、ジェニファーの事件でのみ彼を起訴したのです。
無実の罪で、死ぬまで刑務所に
弁護士は、裁判を続けても有罪になる確率が高く、そうなれば終身刑になる可能性もある、しかし司法取引をすれば3年で出られる、司法取引をしたほうが良いと勧めてきました。
しかし、ロナルドは司法取引を拒否、やってもいない罪を認めるのは絶対に嫌だったのです。
それは、6年前にやってもいない罪を認めてしまったからでした。
こうして裁判にのぞんだロナルドでしたが、結果は有罪で、終身刑プラス50年の刑だと。
信じがたい判決でした。
こうしてロナルドは、無実の罪で、死ぬまで刑務所に入ることになったのです。
”なぜ、こんなことに…。なぜだ!?”
刑務所に収監
判決後、ロナルドはノースカロライナ州の「中央刑務所」に収監されました。
そこは、凶悪犯が収監される事で知られる刑務所でした。
ロナルドは運命を呪いました。
そして頭に浮かんでくるのは、ジェニファーの顔でした。
”なぜ、あの女は僕を…”
希望など微塵も感じられない刑務所での生活、そこは暴力がはびこる、地獄のような世界でした。
ロナルドに良く似たボビー・プール
そんなある日、刑務所に、新たに収監される男がやって来ました。
男の名は「ボビー・プール」。
ボビーは、ロナルドと同じ調理場の担当になりました。
すると奇妙な現象が…。
看守)「おい、ボビー」
ロナルド)「違います、僕はロナルドです」
看守)「ああ、すまんすまん。いつも間違えちまう」
たびたび、ロナルドはボビーに間違えられるのです。
”僕たちはそんなに似ているのか!?だとしたら、あの女も見間違えた可能性がある!”
実際の写真を比べてみると、確かに良く似ています。
犯人はボビー!
ある日、同じ調理場で働くケニーが、こんなことを言ってきました。
ケニー)「良いことを教えてやる。ボビーの奴、お前の事件は、本当は自分がやったって言ってる」
ロナルド)「本当なのか!?」
ケニー)「ああ」
ロナルドは確信しました。
犯人はボビーに違いないと。
”あいつのせいで、僕は…”
”殺してやる”
”殺してやる”
ロナルドはボビーに殺意を抱き、調理場に落ちていた金属片を何日も磨き上げ、ナイフを作り上げました。
ロナルドが、ついにボビーに襲いかかろうとしたその時!
「ロナルド!面会だ」と、看守が声をかけました。
面会に来たのは父でした。
父)「殺す!?」
ロナルド)「あいつのせいで、僕は一生…」
父)「今、その男の命を奪えば、もう決して家には帰ってこられなくなる。ここの一員になってしまうんだ。お前は無実だと言った。家族はみんな、お前を信じてる」
2度目の有罪判決
そんなロナルドに転機が。
刑務所に入って2年半が経った1987年1月、弁護士から彼のもとに、裁判のやり直しを認める手紙が届いたのです。
警察は手口が酷似していた事から、「2件の暴行事件の犯人は同一人物」と考えていました。
しかし、2人目の被害者メアリーは、ロナルドではない別の人物を犯人だとしていました。
ロナルドの弁護士は、こうした明らかな矛盾があるにも関わらず、彼を有罪にした判決はおかしいと訴え続けていたのです。
そしてその努力が実り、ついに裁判のやり直しが決定しました。
”裁判でボビーが真犯人である事を証明できれば、僕の疑いは晴れる”
こうして、その年の11月、やり直し裁判が開かれました。
そこで、弁護側の証人の1人として呼ばれたのは、ケニーでした。
ケニーは、「はい。ボビーは、自分がやったと言いました」と証言しました。
それは決定的な証言に思えました。
しかし検察は、「証人は、有罪判決を受けた犯罪者であり、そんな彼の証言が果たして信用できるでしょうか?」と、ケニーの証言を一蹴したのです。
そして、ジェニファーが…。
検事)「あなたを襲ったのは誰ですか?」
ジェニファー)「あの男です!」
再び、ロナルドを指差したのです。
しかし、それだけではありませんでした。
警察では別の男を選んだメアリーまでもが、ロナルドが犯人だと答えたのです。
警察や検察から圧力がかかったのではないかと、ロナルドは思いました。
そしてロナルドに、もう一度、有罪判決が下りました。
しかも「被告人に終身刑2回、プラス54年の刑を言い渡す」と、新たにメアリーの事件も加わったため、さらに重い刑が言い渡されたのです!
こうして、ロナルドの希望は無惨にも打ち砕かれ、虚しく年月だけが過ぎていきました。
最後の賭け「DNA鑑定」
そして1994年、事件から10年が経過したある日。
「裁判でDNA鑑定が行われる」というニュースが流れていました。
それは、元アメリカンフットボール選手のOJシンプソンが、妻とその交際相手を殺害したと容疑をかけられた事件でした。
この裁判で、当時の最新科学である「DNA鑑定」が用いられることが、大々的に報道されたのです。
ロナルドは、この最新科学が自分を救ってくれる可能性があることを知りました。
弁護士)「つまり、DNA鑑定を申請したいと言うのだね」
ロナルド)「そうです」
弁護士)「しかしそれにはリスクもある」
ロナルド)「リスク?」
弁護士)「もし何か間違いが起こり、DNA鑑定で犯人は君だと言われてしまえば、もう終わりだ。君の無実を信じてくれる裁判官はいなくなる。それでもいいんだね?」
これまで、起こるはずのない不運が何度も起こっていました。
それだけにロナルドも怖かったのです。
しかし…。
ロナルド)「僕はやってない。だから僕のDNAは見つかりません」
弁護士)「わかった、やってみよう」
ロナルドにとって最後の賭けでした。
果たして、その結果は?
「今日からあなたはもう自由です」
1995年6月30日。
DNA鑑定にすべてを賭けたロナルド、ついに運命の判決が下されました。
「今日からあなたはもう自由です」
事件から11年、ロナルドは最後の賭けに勝ったのです!
実は、ジェニファーの衣類や検体からは、鑑定可能なDNAは検出されませんでした。
しかし、もう一人の被害者であるメアリーの衣類から、刑務所にいたボビーのDNAが検出されたのです。
これにより観念したボビーが、メアリーへの暴行を自白、さらに追及すると、ジェニファーの事件も自分の犯行だと認めました。
しかもその自供の中には、侵入の手口など、犯人しか知り得ないものが含まれていました。
そのため検察は、両方の事件について、真犯人はボビーだと断定したのです。
”私は、何て事をしてしまったの…”
晴れて自由の身となったロナルドの元には、多くのメディアが駆けつけました。
そしてそこには、ずっと信じ続けてくれた母の姿がありました。
ロナルド・コットンさん≫
「私は拳を上げて、『自由になった。もう束縛される事はないんだ』と叫びました」
この世紀の逆転裁判は、瞬く間に全米を駆け巡り、大きな話題となりました。
しかしこの時、茫然自失の状態でニュースを見ていた人物がいました。
それは、ジェニファーでした。
”私は、何て事をしてしまったの…”
思い違いにより、無実の男性を11年もの間、刑務所に閉じ込めていたことを知ったのです。
そしてこの後、彼女は想像もしなかった地獄の日々を送る事に…。
恐怖に怯えるジェニファー
あの事件から11年、ジェニファーは新たな恋人と出会い結婚、3人の子供にも恵まれ、幸せな生活を取り戻していました。
ところが、そんな頃、衝撃の事実を知ってしまうのです。
それ以来、彼女の生活は一変しました。
子供を外に、遊びに連れて行くことすらできなくなっていたのです。
ジェニファー・トンプソンさん≫
「混乱と同時に、恐怖に怯えていました。家族の身の安全を思うと、本当に怖かった。誤って有罪になった男性が11年後に釈放された時、何を考えるのか、それを考えると夜も眠れませんでした」
出所したロナルドは、ジェニファーの家から車で1時間ほど、同じノースカロライナ州で、新たな生活を始めました。
「人生を台無しにされたロナルドが仕返しにくるのではないか」ジェニファーは、《罪悪感と恐怖》の両方を抱えながら、日々を過ごしていました。
決してロナルドが姿を現す事はありませんでしたが、見えない影は常に、ジェニファーから離れようとしなかったのです。
なぜジェニファーは、何も言ってこないのだろう
1996年、ロナルドが釈放されてから1年あまり。
そんなジェニファーに転機が訪れます。
それは「目撃者がなぜ過ちを犯してしまうのか」を検証するドキュメンタリー番組への出演依頼がきたのです。
その番組で、ロナルドの事件を取り上げるため、是非、インタビューに応じて欲しいというのです。
事件から遠ざかりたいという思いから、最初は断っていたジェニファーでしたが、出演することにしました。
ジェニファー・トンプソンさん≫
「彼が無罪であるという事は、私の記憶は間違っていたという事です。でも自分の記憶の中では、依然としてあの事件の犯人はロナルドでした。だから、なぜ自分は間違えたのか、真摯に向き合う必要があると思ったんです」
実はこの番組には、ジェニファーだけでなく、ロナルドも出演することになっていました。
事前のスタッフとの打ち合わせで、ジェニファーは、ロナルドが今、自らを救ったDNA鑑定の研究所で職を得ており、そこで知り合った女性と結婚していることを知りました。
さらに、2人のインタビューは別々の場所で撮影されたため、互いに顔を合わせることはありませんでした。
1997年2月に放送された番組を見たジェニファーは、最後にロナルドが語った言葉に、大きく心を動かされます。
「なぜジェニファーは、何も言ってこないのだろう。彼女の気持ちを自分の言葉で、僕に直接話して欲しいと思っています」(ロナルド)
”私、彼に会うわ。いつまでも逃げているなんてできない。たとえどんな罰を受けたって、私は彼に会う、会わなきゃいけないの”
ジェニファー・トンプソンさん≫
「いろんな思いが巡りました。彼はどう思うのか、そして私は何を話すのか?でも、その日の終わりには、正しい事をしようと決心していました」
あなたを……許します
そして事件から13年、1997年4月4日、ついに運命の日は訪れました。
ジェニファーとロナルド、2人の再会は、当時の捜査官の仲立ちで、ジェニファーがかつて通っていた大学の中にある教会で行われることになりました。
数奇な運命に振り回された2人が、こうして顔を合わせたのです。
ロナルド・コットンさん≫
「彼女はとても神経質になっていました」
ジェニファー・トンプソンさん≫
「私の精神と魂は、本当に死にかけていました。恐怖で麻痺していたんです」
ロナルド・コットンさん≫
「彼女の心からの謝罪の言葉が聞きたかった」
そして…。
ジェニファー)「ロナルドさん、私がどれほど申し訳なく思っているかを、これからの人生すべてをかけてお話ししても、それでも私の思いを伝えきれません」
ロナルド)「僕は、みんなが幸せに暮らし続ける事だけを望んでいます。あなたに、残りの人生を、僕が追ってくるとか、家族に危害を加えるとか、ビクビク考えながら過ごしてもらいたくないんです。あなたを恨んだ事もあった。でも今は違う。あなたを……許します」
ジェニファー・トンプソンさん≫
「(許しますと言われた時は)長い間壊れていた心や魂が、まるで氷が解けるように癒されていくのを感じました。体の中で壊れた部分が、もう一度元に戻ろうとしている感じでした。会ってから2時間、私たちは話しては泣き、話しては泣きを繰り返しました。彼も私も、お互いがどのような時間を過ごしていたのか知りたがっていたし、『あの最悪の11年間は一体なんだったのか?』という思いを共有していました」
ロナルド・コットンさん≫
「人間は間違いを犯します。完璧な人間なんて、この地球には存在しません。怒りを持ち続けるより、許したいと思いました。許せば解放されるけど、怒りを持ち続ければ、どこに行ってもそれを握りしめて苦しむ事になります。怒りを手放せば楽になれます。楽観的に考え始めれば、前向きに良い人生が送れます。僕はハッピーで自由な人生が送りたいんです」
この事件は、ノースカロライナ州で、DNA鑑定によって、有罪判決後 無罪が確定した初めてのケースでした。
この事件がきっかけとなり、冤罪被害者に対し、州が1年あたり1万ドルの補償金を支払う法律が制定されました(現在は1年間に5万ドル)。
ロナルドには、11年間に対し約1100万円が支払われました。
ロナルドとジェニファーの今
2人はこの体験をもとに、共同で本を書き出版、ベストセラーとなりました。
「とらわれた二人 無実の囚人と誤った目撃証人の物語」岩波書店。
そして現在、ジェニファーは、自らも冤罪被害者である女性とともに、被害者を救うための団体を立ち上げ、活動を続けています。
釈放された冤罪被害者の話に耳を傾け、その後の生活のための、補償問題の解決などに力を注いでいます。
2人はさらに交流を深め、家族ぐるみの付き合いをしています。
ジェニファー・トンプソンさん≫
「彼とこんな関係を築けるとは思っていませんでした。ロナルドは最高に愛すべき人です」
ロナルド・コットンさん≫
「長年の付き合いで、彼女の人間性の素晴らしさがわかりました。ジェニファーは、冤罪加害者と被害者、その両方の家族の心の傷を理解し、癒しています。彼らが交流することで、お互いに心が解放されて、危機を乗り越えられるのです。私も救われた1人です」
Q.)改めて、あなたにとって「許すこと」とは?
ロナルド・コットンさん≫
「他人の過去、そして未来を解放する事かな。負の魂を抱え込むより、人を許す事の方が遥かに気持ちがいいでしょう」
ジェニファー・トンプソンさん≫
「あなたのお陰で、私は解放されたわ」
ロナルド・コットンさん≫
「君のお陰で、僕も自由になれたよ」
(了)
[出典:2016年11月17日放送「奇跡体験!アンビリバボー」]
コメント
テレビは見ました。
冤罪11年の金額1,100 万には驚いた。
冗談かと思う。
何もしていないのに突然逮捕され冤罪で刑務所11年。
1年100万!
皆さん、自分だったらどうですか?
こんな金額じゃ警察も冤罪は怖くないですね。
ただただロナルドさんが可哀想です。
これ、たまったもんじゃないですよ!