『肝つぶし』(きもつぶし)は、上方落語の演目の一つ。主な噺家は二代目桂ざこば、六代目三遊亭圓生などがいる。
あらすじ
ある男が病気で臥せっている。
その男の兄貴分が病床を訪れ容態を尋ねる。
実はその男、夢の中に現れた娘に恋煩い。
兄貴分、夢の中の娘ではしょうがない、とにかく元気を出すようと励まし、帰ろうとするところに医者が訪れる。
兄貴分が笑いながら恋煩いの話をすると、医者は深刻な表情で、
「この病は恐ろしく、亥の年、亥の日、亥の刻に生まれた人間の生き胆を薬として飲ませなければ死んでしまう」と告げる。
兄貴分、長屋に帰ると奉公に出ている妹が訪れている。
ひさしぶりに休みが取れたので、明日朝早く芝居見物にいくから今晩泊めてくれとのこと。
兄妹で酒を酌み交わし、妹の年齢を尋ねるとなんと亥の年、亥の日、亥の刻生まれ。
兄貴分は因縁を悟る。
もともとこの兄妹は両親に早く先立たれ、病の男の父に育てられたのである。
大恩ある義理の父もいまはこの世になく、恩を返すにはなんとしても病の男を治すしかない。
兄貴分は寝入った妹に包丁を突きつけるが、こぼした涙で妹は目覚めてしまう。
「ああ、肝がつぶれた」
「肝がつぶれた? もう薬にならない」
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