【符丁ふちょうとは】- コミュニケーションの秘密の言葉としての役割
符牒とも書く。符丁は、特定の集団や業界、コミュニティ内で使用される独自の言葉や表現のことを指します。これは一般的に外部の人には理解しづらいものであり、内部のメンバー間でのみ通用する特殊なコミュニケーション手段として機能します。
主に以下のような役割があります。
1. コミュニティの結束力強化: 符丁は、その業界やコミュニティのメンバー同士の結束力を高める役割を果たします。共通の言葉や秘密の意味を共有することで、一体感や連帯感を醸成し、団結力を高めることができます。
2. 内部情報の保護: 符丁は、外部の人に理解されないようにするための秘密の言葉としての役割も果たします。特定の業界やコミュニティに関わる情報や話題を内部のメンバー間で効率的かつ安全に共有するために、符丁が用いられます。
3. コミュニケーションの効率化: 符丁は、独自の表現やコードネームとして使用されることがあります。特定の概念やアイデア、商品名などを短い言葉やシンボルで表現することで、コミュニケーションの効率を高めることができます。
符丁は様々な業界やコミュニティで使用されており、医療業界やIT業界、音楽業界などさまざまな分野で独自の符丁が存在します。ただし、符丁は外部の人には理解されないため、業界内での共通の知識や経験が必要となります。
業界内のメンバーにとっては、符丁はコミュニケーションのツールとして重要な存在です。それは特定の集団や業界の文化や独自性を反映し、内部の結束力や情報の安全性を保つ一助となるでしょう。
一般には仲間同士で用いる隠語や暗号をいうが、商業用語としては、店舗内もしくは市場内で商品の値段などを示す数字の隠語をいう。
店舗内で使用するものを「お店符帳」といい、問屋仲間・同業者間が市場などで使用するものを「通り符帳」という。旧式の商業では正札(価格札)は用いず、掛け値をいうことが多かったから、符帳は不可欠であった。符帳の中心は口唱符帳または文字符帳であるが、鮮魚や青物の市場では手ぶり符帳が用いられ、後者は現在でも取引所などに残っている。口唱・文字符帳は正札による価格表示によって廃れた。[森本三男]
隠語とは
隠語とは、仲間内でだけ通じる非公式な言葉のことです。一般的には、香具師や犯罪者などの反社会的な集団が使うものだと思われがちですが、実は古代から存在しています。例えば、平安時代の神宮では「斎宮忌詞」(いつきのみやいみことば)と呼ばれる言葉がありました。これは塔を「アララキ」、僧を「カミナガ」、打つを「ナヅ」と表現するものでした。また、宮廷女官の間では「女房言葉」と呼ばれる言葉が使われており、田楽を「オデン」、杓子を「シャモジ」、豆腐を「オカベ」と呼んでいました。
さらに、僧侶の間では「学林秘語」と呼ばれる隠語がありました。卵を「シロナス」、鮎を「カミソリ」、酒を「ゴマス」と表現することが一般的でした。大阪の人形遣いは「占傍(せんぼう)」という隠語を使っていました。例えば、金銭を「センタロウ」と呼んでいたのです。
さらに、漁師や猟師などの間でも「沖言葉」や「山言葉」と呼ばれる隠語が使われていました。これらも広義では隠語と言えます。
また、学生や芸能人、商人、医師、軍隊、山窩(さんか)などの社会でも隠語が使われることがありますが、一般的には隠語と言えば、反社会的な集団が使う符丁言葉を指すことが多いです。香具師系、博徒系、掏摸(すり)系、盗賊系のように、いくつかの系統が存在していると言われています。
流通業や小売業などで使用される符丁(符牒)
例えば、百貨店などの対面販売を重視する店舗では、顧客に不快な思いをさせないために、店員同士の会話や連絡において、「食事休憩」「トイレ」といった内容を、各店舗ごとに異なる符丁で伝える習慣があります。また、得意な顧客を一般の客と区別するために特別な呼称を使うこともあり、これが一種のステータスとなって伝統化している場合もあります。
犯罪者や警察官などは、外部の人々に内容を知られたくない場合にわざと特殊な用語を使用することもあります。法曹関係者、建設業従事者、芸能界関係者、マスメディア関係者、風俗業関係者などの間では、一般の人には理解しにくい言い回しが使われることもあります。
医師や看護師などの医療関係者は、患者やその家族の前で業務を行う必要があるため、外部の人には分からない言葉を使うことで業務を円滑に進めることもあります。例えば、「エッセン」(食事休憩のこと)や「拾う」(当直中に患者の死に遭遇すること)などが使われます。
日本の警察では、「マル+漢字1文字」で表される隠語がよく使われています。例えば、「マル暴」(暴力団や暴力団員を指す)や「マル被」(被疑者を指す)などです。他にも、一般の人には理解しにくい隠語が存在します。
業務無線では、「通話コード」と呼ばれる特定の語に対応した数字やアルファベットの組み合わせを使用して通信する団体もあります。
寄席芸人の間では、「カゼ」(扇子)や「マンダラ」(手拭い)などの隠語が使われます。
客室乗務員の間では、「UUU」という隠語があります。これは、同じ便に乗務する同僚に、注文の多い乗客について注意喚起するための頭字語で、「Urusai」(うるさい)の3回繰り返しです。
旧日本海軍にも多くの隠語が存在し、士官や下士官・兵の間で使用されていました。海上自衛隊も旧海軍の後継者として一部の慣習を受け継いでいますが、隠語の使用は少ないようです。
鉄道業界でも、JRを通じて全国的に広く使われる隠語や各社ごとに異なる隠語が存在します。例えば、「ラッチ」(改札の鋏入れ)や「ナキヤ」(アナウンス係)、「マグロ」(轢死体)などです。また、電報略号から派生した略称も使われています。
相撲界やプロレス界でも、特殊な言葉が使われます。例えば、「ちゃんこ」(食事)、「金星」(美女)、「お米」(金)、「ごっつあんです」(ありがとうございます)、「ガチンコ」(真剣勝負)、「タニマチ」(スポンサー、支援者)などです。
古物市場の専門用語~符丁
専門用語 | 示す金額 |
---|---|
センマイ | 1,250、12,500、125,000 |
イチゴー | 1,500、15,000、150,000 |
イチテラ | 1,550、15,500、155,000 |
ジュッカンメ | 1,650、16,500、165,000 |
イナゴ | 17,500、175,000 |
ニ(セン/マン) | 2,000、20,000 |
ホンサン | 2,250、22,500、225,000 |
ニーゴー | 2,500、25,000、250,000 |
サン(セン/マン) | 3,000、30,000 |
ニジュッカン | 3,300、33,000、330,000 |
ヒャッカン | 3,500、35,000、350,000 |
ヨン(セン/マン) | 4,000、40,000 |
シゴ | 4,500、45,000、450,000 |
ゴ(セン/マン) | 5,000、50,000 |
テラ | 5,500、55,000、550,000 |
シヒャッカン | 6,500、65,000、650,000 |
ゴヒャッカン | 8,300、83,000、830,000 |
ドン | 10,000 |
トビゴ | 10,500 |
ピンピン | 11,000、110,000 |
ナナヒャッカン | 11,500、115,000 |
古物市場での専門用語
・相乗り=特定の買い手の入札に乗じること
・ちょい乗り=他のバイヤーの価格に少しだけ金額を乗せること。競りが長引くため、マナーが悪いとされる行為
・鉄砲=応札価格が指値に達さず競りが不成立になること。「出来ず」「引き」とも。
・あご=売り手の希望最低金額(最低金額に届かない場合は競りがなくなる)
・あと乗り=発句後すぐに入札せずしばらくしてから入札する
・あらもの(新物)=新しそうな商品
・うぶ荷=市場や古物商を経ず、市場に出てきたばかりの商品
・しまい(閉まい)=閉店・倒産したお店から出た商品
・ジャンク=返品不可商品・ジャンク扱い品・故障品
・大会=大会形式のオークション。下見期間が長く高額商品が多い(骨董市・ブランド市など)
・平場=平場形式のオークション。原則下見がない。商品数が多く低価格商品が多い
・つぶし=量り売り・グラム売りのこと(貴金属など)
・手ぜり=指のサインだけで競りをおこなうこと(水産市・青果市など)
・とりがいい=扱いやすい・買いやすいこと
・ぺろ=全部まとめて買うこと(単品で出品されている複数商品を落札者がすべて買う)
・山=一度にさまざまな種類の商品を同時に競りにかけること
・やまあらい=種類がバラバラな山・価格の低い商品が含まれている山
建築現場の符丁
業界の様々な暗号を調査した件
普段、我々の身の回りでは、様々な暗号が飛び交っています。
餃子の王将オーダーコールの暗号・符牒
餃子の王将 池袋東口店店長:島袋広章さんに聞いてみました。
”イーガー・コーテル”
これは、王将用語で、「餃子1人前」という意味です。
イーガーは1人前、コーテルは餃子になります。
コーテルの由来
中国語で、焼き餃子を「グオティエ」と言い、それが王将用語「コーテル」になりました。
王将用語を使うと、オーダーを通しやすく、従業員が聞きやすくて、「イーガー・コーテル」と厨房のセンターで言うことによって、活気が生まれて、お客さんも楽しんでいただけるために王将用語を使っているそうです。
トラック業界の暗号
株式会社山運社長の山本大輔さんに聞いてみました。
「今日はピンクがガッチャマンでQRでした。」
ピンクと言うのは、国道19号線。
ピンは、ピン芸人のピン「1」、クは「9」で、ピンク。
ガッチャマンが交通事故。
ガチャンと音がするガッチャマン。
QRは、渋滞していたという意味です。
ということで、「国道19号線が事故で渋滞していた」という意味の暗号でした。
更に、向かう場所も暗号化しています。
「お疲れさん、どこ行くの?」
「こっちはブルーヨンコクだよ、そっちは?」
「センタージャパン向けだよ。ブルーヨンコクか、遠いね。」
ブルーヨンコクっていうのは、”四国”のことで、海に囲まれた四県。
センタージャパンは、日本の真ん中にある”名古屋”のこと。
警察の暗号
元警察官の北芝健さんに聞いてみました。
ラジオ
「電波が飛んできて、無線」から、ラジオ=無線飲食
パー
パー=警察手帳
警察手帳をパーッと出すからパー。
てんぷら
てんぷら学生、てんぷら公務員、てんぷら警官
衣の中には別のものが入っているという意味で、てんぷら=偽者
ごんべん
ごんべん=詐欺
ごんべんに作で、詐欺の「詐」
このように、漢字の部首を暗号にしていることが多いです。
さんずい=汚職
うかんむり=窃盗
ヤリマン
ヤリマン=1万円
警察でのお金の数え方の暗号
1万~ヤリマン、2万~フリマン
3万~カチマン、4万~タメマン
5万~ズカマン、6万~ミズマン
7万~オキマン、8万~アッタマン
9万~ガケマン、10万~チギマン
合コンの暗号
合コンのファンタジスタ、カラテカの入江慎也さんに聞いてみました。
蓮舫
サラダを仕分けしてくれる女子の事。(蓮舫議員が仕分けで有名になったので)
トイレの神様
気持ち悪くなってトイレに行ったときに、介抱してくれる神様みたいな存在の女子の事。
ゲロマン民族の大移動
ゲロをしちゃって、みんなで席を移動する事。
2丁目の暗号
Benchのゆっこママに聞いてみました。
「ごぶみ~。」「お疲レースクイ~ン、ハイレググイグイ!」
と迎えてくれたゆっこママ。
飲みに行くときは、「グイしない?」って言うそうです。
グイグイ飲むのグイです。
「グイしない?」って言うと、「絶対にイヤよ」と返ってくるんですが、「グイしない?」「グイしない?」って何回か言うと、「しましょう!」ってなるそうです。
それから、お客さんがトイレに行くときに、
「行っトイレ、お便器で~尿意ドン!!」
ゆっこママのあいさつが、テレビに出るたび移り変わりが早いという話になって、
一番最初が、
「お疲レーシック、角膜ペリペリ」
二番目が、
「おつ加齢臭、耳裏プンプン」
三番目が、
「おつカレンダー、日めくりペリペリ」
そして今回が、
「お疲レースクイ~ン、ハイレググイグイ!」
(了)
[出典:2015年8月31日(月)放送「月曜から夜ふかし」]
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この情報源は、月曜から夜ふかしです