第38話:唐入り(2023年10月08日)
時代の波に立ち向かう家康の決断
天下の采配と個の悲哀
戦国時代の終焉を迎え、秀吉は、すでにこの世を去った鶴松を悼みながら、次なる野望に目を向けていました。1592年の春、江戸の地を形作りつつあった家康は、秀吉によって名護屋に召喚されます。その目的は、中国の明を征服するという壮大な計画の発表でした。この戦いへの賛否両論は即座に湧き上がり、中でも浅野長政は秀吉の決定を狂気と断じますが、家康は巧みにその場を収めます。
忍びの影と疑惑の渦
その夜、家康は阿茶と共に酒を交わし、将来の不穏な動きに思いを馳せます。一方、徳川家では、かつての権威を振りかざす元将軍・足利義昭が、出家後も依然として態度の大きさを見せつけます。そのとき、半蔵が唐入りの困難を知らせ、状況はさらに緊迫します。敵には強力な大筒があり、我々の戦況は苦境に立たされていたのです。
秀吉への忠義と説得
家康と忠勝は、秀吉の命を受けて唐入りをするべきではないと石田三成に訴えます。天下人秀吉に代わりはおらず、彼の不在がもたらすであろう混乱は避けるべきでした。しかし、秀吉は、家康と三成の意見に耳を貸すことなく、自らの決断を押し通そうとします。
絆と迷い、そして茶々の謎
秀吉の母・仲の死は、秀吉に深い打撃を与えます。仲は生前、自分が秀吉に何も与えられなかったこと、そして秀吉が何を真に望んでいるのかについて、死の床で謝罪します。秀吉は、かつての信念に迷いを感じ始めていました。そんな中、茶々が家康に助けを求めて訪れます。彼女は、母・お市の最後の願いを伝え、自らの出自についても示唆に富んだ言葉を残します。
秀吉の心の迷いと家康の覚悟
秀吉と家康の間には、かつてないほどの緊張が走ります。秀吉は、家康から茶々を遠ざけるよう勧められますが、彼女を手放すことを拒否します。家康は、秀吉が真の目覚めを見せることを願いつつ、自らの命を投げ出すこともいとわない構えを見せます。
新たな命の予感と未来への希望
話は思いがけない方向に転じます。秀吉は唐入りを諦め、功を挙げた武将たちに褒美を与える決定を下します。家康の孫・竹千代が生まれると、家康は新しい世の中への希望を感じます。この子が将来、真に平和な世を築くことができるかもしれないという夢を抱きながら、家康は新たな時代への歩みを進めます。
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