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2016年03月吉日(火):初投稿
2026年06月20日(土):軍事費・軍需企業ランキングを2024年データに更新。オーストラリア潜水艦商談の結末、日本の防衛装備完成品初輸出、防衛費の最新動向を追記
戦争がなくならない理由 戦争というビッグビジネス
戦争が起きると、お金が動き、潤う企業があります。戦争を遂行するのは「軍隊」、軍隊が使うのは「武器」、その武器を造るのは「企業」です。
武器など軍に関わるものを造り、それを売って利益を得る産業を「軍需産業」と呼びます。代表的なものを挙げると――
【軍艦】【戦闘機】【戦車】【銃器】【弾薬】【ミサイル】

軍需産業が手がけるのは兵器だけではありません。こうしたものも造っています。
【軍用食】【軍服】【フェイスペイント】【人工衛星】

軍用食は、普段の訓練でも携行します。人工衛星は軍事衛星を指します。フェイスペイントは、ジャングルでの戦闘で周囲の景色に合わせて顔を迷彩にするためのものです。
世界各国の軍事費

番組放送時(2016年)に紹介された2014年の軍事費では、アメリカが73兆円でトップ、2位の中国が26兆円、3位のロシアが10兆円、9位の日本が5.5兆円でした。アメリカは2位中国の約3倍、3位から10位までの合計を上回る額でした。
その後、構図は大きく動きました。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が2025年4月に公表した最新データによると、2024年の世界全体の軍事費は約2兆7066億ドルに達し、冷戦終結後で最大を記録しています。前年比の伸び率も実質9.4%と過去最高でした。ロシアによるウクライナ侵攻、中東情勢の不安定化、台湾海峡をめぐる緊張が、各国の支出を押し上げています。
2024年の国別ランキング(SIPRIドル建て)は次のとおりです。1位アメリカ9973億ドル、2位中国3137億ドル、3位ロシア1490億ドル、4位ドイツ、5位インド、6位イギリス、7位サウジアラビア、8位ウクライナ、9位フランス、10位日本(553億ドル)。日本はかつての9位から10位へと順位を下げていますが、これは他国の急増によるもので、額そのものは増えています。アメリカ一国で世界全体の約4割を占める構図は変わっていません。
注目すべきは、侵攻を受けたウクライナが647億ドルで8位に入り、日本やフランスと肩を並べた点です。対GDP比では34%超に達し、国を挙げた防衛戦の実態を映しています。
アメリカの軍需産業
アメリカ国防総省が直接契約した軍需企業(2010〜2014年)は、延べ14万社にのぼりました。それぞれに多数の下請けがあるため、実際の関連企業数ははるかに多くなります。
番組では2014年時点の上位5社が紹介されました。
アメリカ・軍事関連企業上位5社(2014年・番組放送時)

- ロッキード・マーティン 約4兆5000億円(約375億ドル) ステルス戦闘機 兵器比率82%
- ボーイング 約3兆4000億円(約283億ドル) V-22オスプレイ 兵器比率31%
- レイセオン 約2兆6000億円(約214億ドル)
- ノースロップ・グラマン 約2兆4000億円(約197億ドル)
- ゼネラル・ダイナミクス 約2兆2000億円(約186億ドル)
この順位もその後動いています。SIPRIが2025年12月に公表したデータでは、2024年の世界の武器製造上位100社の収益は計約6790億ドルと過去最高を更新しました。首位は変わらずロッキード・マーティンですが、2位だったボーイングはランクを下げ、レイセオンは2023年に持ち株会社名を「RTX」へ改称しています。米国勢が上位を占める構図は続く一方、ウクライナ戦争を背景に欧州メーカーが急速に収益を伸ばしている点が近年の特徴です。
兵器の需要がなくなれば、多くの人が職を失い、地域経済が冷え込みます。逆に戦争があれば武器の需要が高まる――この構造ゆえに、戦争はビッグビジネスと呼ばれます。
世界で一番使われた銃 その理由
ロシアには「世界で最も多く使われた」とギネス世界記録に認定された武器があります。それを造ったのが、ロシアの「イジェフスク機械製作工場」です。

設計したのはミハイル・カラシニコフ。彼の名から、この銃は「カラシニコフ銃」と呼ばれます。過激派組織アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディンが好んで使用したことでも知られます。
この工場が生んだ「ヒット商品」、ギネス記録を持つ銃が「カラシニコフ AK-47」です。

1948年に製造を開始し、大量生産向けの改良型「AKM」を含め、通称「AK-47」として世界に広まりました。番組放送当時、過激派組織「イスラム国」(IS)の戦闘員もテロや戦闘の最前線で使用しており、2015年11月のパリ同時多発テロでも使われたと報道されました。
では、なぜこれほど世界に広まったのか。主な理由は三つあります。
①壊れにくい
AK-47以前の銃は「いかに精密に作るか」を重視していました。対するAK-47は、砂が入り込んでも作動するよう、あえて隙間だらけに造られています。過酷な環境でも動く頑丈さが強みです。
②扱いやすい
子どもや女性、文字を読めない人でもすぐに使い方を覚えられる。この簡便さが、世界中に広まった大きな理由です。
③安い
平均価格は約4万8000円(約400ドル)。アフリカのある国では約1450円(12ドル)から売られているとされます。安さの背景には、東西冷戦中に旧ソ連や東欧諸国が大量備蓄したAK-47が、冷戦終結後に闇市などを通じて紛争地域へ流出したことがあると言われています。
こうしたヒット商品を生んだ工場の2014年の売り上げは、銃だけで約14万丁、約55億円にのぼりました。
軍需産業は銃だけではない
アメリカ・ノースカロライナ州アシュボロ市。人口約2万5000人の小さな街に、「フォックス・アパレル社」という会社があります。国防総省の発注を受け、海外派遣される兵士の戦闘服を月に3万着製造しています。海外派遣される陸軍兵士用ズボンのほとんどを、この工場が手がけています。
元々は1979年にジーンズメーカーとして設立され、今も同じ工場内でジーンズを製造しています。2008年に国の公募で落札し、陸軍兵士用ズボンの生産を始めました。工場全体の売り上げの65%が、この陸軍向けズボンです。従業員は約230人、その多くがこの街に住む女性たちです。軍隊が戦地に行けば行くほど、彼女たちの仕事は増える――そういう構図になっています。
民間軍事会社
民間軍事会社とは、民間が設立した戦闘要員・警備員の派遣会社です。戦地での要人警護や各国大使館の警備を請け負い、戦争のノウハウを持つ元軍人を多く抱えています。イラク戦争時(2000年代初頭)には、アメリカだけで約35社、全世界に300社以上が存在しました。
民間軍事会社は、戦地では正規軍と同じ迷彩服を着てはいけない決まりになっています。迷彩服を着ると非戦闘員と見なされず、戦闘員と判断され、ジュネーブ条約の「非戦闘員(民間人)は保護しなければならない」という保護の対象外になるためです。

民間軍事会社の市場規模は、推定で数千億〜12兆円(数十億〜1000億ドル)とされます(2015年4月14日付ニューヨーク・タイムズ紙)。戦争が起きれば、これだけのお金が動くということです。
アメリカ陸軍下士官の日給が約2万円なのに対し、民間軍事会社の戦闘要員の日給は約15万円弱。20日働けば300万円になります。これだけのコストがかかるのに、なぜ国は民間軍事会社を使うのか。国にメリットがあるからです。
戦地で死亡・負傷しても、民間軍事会社の戦闘員は「正式な戦死者・戦傷病者として扱わない」。兵士が大勢死ねば政府や大統領は批判を浴びますが、民間軍事会社の人間は兵士ではないため、いくら犠牲が出ても世論の批判を受けにくいのです。国の軍人に政府が支払った補償金は、2013年で約6兆4800億円(540億ドル)でした。民間軍事会社の人間には、この補償を払う必要がありません。長期的に見れば、その方が安上がりだという論理です。
かつて軍が担っていた業務を民間人や民間企業が肩代わりすることを「戦争の民営化」と呼びます。「国同士の争いごとを、コスト削減のために民間に委ねていいのか」という点が問題視されています。
広告代理店
「戦争のPR」をビッグビジネスにしている広告代理店もあります。1990年の湾岸戦争の際、アメリカの広告代理店「ヒルアンドノウルトン」社が、クウェートのある団体からある注文を受けました。
その目的は「アメリカ世論を湾岸戦争に誘導してほしい」というものでした。
1990年8月2日、イラクが石油資源獲得を理由にクウェートへ一方的に侵攻します。小国クウェートは大国アメリカに助けを求めようと、アメリカ世論の関心を集めようとしました。侵攻から数日後、ヒルアンドノウルトンに「自由クウェートのための市民」という団体から発注が入ります。
内容は「クウェートへの同情を集め、米軍の軍事介入を促してほしい」というものでした。
民間団体を装っていましたが、資金の大部分はクウェート政府が出していたと言われています。世論調査の結果、アメリカ国民が「クウェートに対するイラクの残虐行為」に不安を感じていることが判明します。ヒルアンドノウルトンは不安をあおるため、クウェートから脱出してきた人々を議会の公聴会に呼んで証言させました。その一人が、当時15歳の「ナイラ」さんです。

1990年10月10日、アメリカ議会下院・人権委員会の公聴会で、ナイラさんはイラク兵の残虐性を涙ながらに語りました。証言の要旨は、侵攻後に病院でボランティアをしていた際、イラク兵が保育器から赤ちゃんを取り出して保育器を奪い、赤ちゃんが冷たい床に放置されて亡くなった、という凄惨なものでした。
侵攻の2週間後、私は病院で12人の女性とボランティアをしていました。そこにいた時、イラク兵が拳銃を持って入ってくるのを見ました。彼らは、保育器の中から赤ちゃんを取り出して、保育器を奪いました。赤ちゃんたちは、冷たい床に置き去りにされ、亡くなりました。それは恐ろしい光景でした。
翌日の新聞は、こぞってイラクの残虐行為を報じました。

日本でも報道され、当時のブッシュ大統領は40日間に10回以上もこの証言を引用して演説しました。

証言からおよそ3か月後の1991年1月、アメリカは湾岸戦争への軍事介入に動きました。広告代理店のミッションは成功し、ヒルアンドノウルトン社は約14億円(約1200万ドル)の報酬を得たとされます。しかし証言から約2年後、ニューヨーク・タイムズ紙のスクープによって、大きな事実が発覚します。
ナイラ証言はウソだった!
1992年1月6日付のニューヨーク・タイムズ紙に、「ナイラ証言はウソだった」とする記事が掲載されました。

ナイラさんの正体は、在米クウェート大使の一人娘でアメリカ育ち。クウェートには行ったことすらありませんでした。
さらに「イラク兵が病院の赤ん坊を殺した」という事実も確認されず、証言は虚偽だったことが明らかになりました。
この記事を書いたジョン・マッカーサー氏は、ヒルアンドノウルトンを起用したのはクウェート主導ではなく、アメリカ政府がクウェート側に「君たちには広告担当が必要だ」と提案した、つまりホワイトハウスが主導したのだと見ています。マッカーサー氏によるナイラさんの正体を暴いた記事は、1993年、優れた論説に贈られる「メンケン賞」を受賞しました。
軍産複合体
軍は軍需産業に武器を発注し、軍需産業は軍関係者に再就職先を提供するなどの利益供与を行う。さらに軍需産業は政治家に献金や集票を提供し、政治家は軍に予算を与え、軍はまた軍需産業に発注する。この循環構造があります。

これが「軍産複合体という癒着構造」です。戦争がなくならない理由の一つとされます。
軍産複合体ではないかと批判されてきたアメリカの「ハリバートン」社は、国防総省と契約し、油田の掘削や戦地の油田修復など幅広い事業を展開してきました。かつてディック・チェイニー氏が同社のCEOを務めていました。
チェイニー氏はCEOになる前、ブッシュ政権で国防長官を務めていました。湾岸戦争時には軍需産業への発注責任者でした。その後ハリバートン社CEOから副大統領に就任し、副大統領時代にイラク戦争が起きると、ハリバートン社は約8400億円(70億ドル)の契約を受注しています。

防衛装備移転三原則
2014年4月1日に定められた「防衛装備移転三原則」という政策。これにより日本も武器輸出が可能になり、市場を他国と争うことになると池上彰は指摘しました。
防衛装備とは「軍隊が戦闘に使用する武器および技術」のこと、わかりやすく言えば「軍需品」です。武器や輸送機だけでなく、隊員の食料や戦闘服も含まれます。自衛隊は軍隊ではないため、自衛隊が使うのは「武器」ではなく「防衛装備」と呼ばれます。
移転とは「権利が移る」こと。要するに「他の国に輸出できる」という意味です。あわせて「防衛装備をよその国に輸出できる」ことを指します。
かつて日本には「武器輸出三原則」があり、対象地域への武器輸出を認めていませんでした。人工衛星打ち上げ用ロケットの軍事転用(ミサイル化)への懸念などから、日本で造った防衛装備(武器)は海外に輸出しないという原則を長く守ってきました。「武器輸出をしてはいけない」というイメージが国民に定着していたため、「防衛装備を移転する」という言い方に変えたのです。
防衛装備移転三原則の主な内容

- 紛争当事国などに該当しない(戦争している国ではない)
- 我が国の安全保障に資すると判断できる(アメリカやオーストラリアなど日本の友好国であれば日本のためになる)
- 目的外使用や第三国移転をしないと相手国が約束した
これまで「輸出禁止」が原則だったものが、「輸出可能」を原則とする方向へ転換しました。なお、この三原則はその後さらに緩和されています。2023年12月には運用指針が改定され、ライセンス生産する装備品をライセンス元国へ輸出することや、共同開発した装備品の第三国移転に道が開かれました。次世代戦闘機を日英伊で共同開発する「GCAP」も、この枠組みのなかで進められています。
経団連からの提言
三原則改定の背景には、尖閣諸島や北朝鮮ミサイルの脅威といった環境の変化、米英豪との結びつきの強化、輸出を求める他国の声に加え、経団連の提言がありました。理由として挙げられたのは、「国内への投資による開発・生産が国内産業の発展・経済成長につながる」「防衛技術・生産基盤の維持・強化は、国民の安全・安心を確保するための国としての重大な責務である」といった点です。
防衛装備の海外輸出に参加し得る主な企業は次のとおりでした。1位の三菱重工業は陸上自衛隊10式戦車、海上自衛隊の護衛艦「あきづき」など。2位の川崎重工業は潜水艦用発電機、固定翼哨戒機「P-1」など。3位の日本電気は野外通信システム、管制レーダー装置など。4位のANAホールディングスは次期特別輸送機(政府専用機)の取得などです。なお、現行の政府専用機(ボーイング777-300ER)は2019年に運用が始まっており、整備・運航はANAホールディングス傘下の体制が担っています。

国内向けの装備は市場が小さく、単価が高くなりがちです。外国の兵器は世界中に売って大量生産するため安い。海外に出せば単価が下がる側面があり、企業にとってはビジネスチャンスが広がります。それを経団連が代表する形で政府に働きかけました。
2015年10月1日には防衛装備庁が発足しました。防衛省内に分散していた装備品関連の機能を一元管理する、職員約1800人の組織です。防衛装備品という名のもとに武器輸出を国家戦略として進める――番組はこれを当時の安倍政権の経済戦略と位置づけました。
どうやって防衛装備を売り込むのか?
2015年5月13〜15日、横浜で国内初の防衛産業見本市「MAST Asia 2015」が開催されました。イギリスのイベント会社が企画し、防衛省が後援。国内外の政府関係者約1000人、来場者2000人以上が集まり、国内外100以上の民間企業・政府機関が出展しました。
日本が売り込もうとしていたのが、川崎重工業の海上自衛隊潜水艦「そうりゅう」型。長距離航行が可能で製造価格は約636億円。原子力潜水艦を持つアメリカ・ロシア・中国と異なり、多くの国は日本と同じディーゼル型を運用しており、なかでもオーストラリアが強い関心を示していました。

もう一つ注目を集めたのが、新明和工業の海上自衛隊救難飛行艇「US-2」。3メートルの波でも離着水でき、離着水距離は約300メートル、価格は約125億円。2013年に太平洋をヨットで横断中に遭難したニュースキャスター・辛坊治郎を救助した飛行艇です。

こうした飛行艇を造れる国は世界でもカナダ・ロシア・日本に限られ、なかでも日本機は性能で群を抜くと言われていました。海上防衛の強化を考えるインド・フィリピン・ベトナムが、中国を意識して関心を示していました。日本には「武器」という発想が薄かった一方、その技術は海外から長く注目されてきました。ベトナム戦争でアメリカ軍が北ベトナムを攻撃した際には、日本製カメラを大量に購入し、爆弾に転用していたとされます。日本の技術が武器に使えると気づき、防衛装備として売れば大きなビジネスになる――そういう発想の転換でした。
その後どうなったか――商談と輸出の結末
番組放送(2016年2月)の時点では「オーストラリアがそうりゅう型を欲しがっている」段階でしたが、その後の展開は日本にとって厳しいものでした。
放送からわずか2か月後の2016年4月26日、オーストラリアのターンブル首相は、次期潜水艦12隻(総額約400億ドル)の共同開発相手にフランスの政府系造船企業DCNSを選定したと発表しました。日本は安倍首相自ら陣頭指揮を執り、「ごうりゅう」プロジェクトと呼ばれるほど期待を寄せていましたが、ドイツとともに敗れました。当初は「そうりゅう型でほぼ決まり」とも言われていただけに、初の大型武器輸出を狙った日本にとって痛手となりました。敗因としては、豪側の「国内で建造したい」という強い要望に応えきれなかったこと、親米派のアボット首相から親中的とされるターンブル首相への政権交代などが指摘されています。
さらにこの商談は、その後さらに二転三転します。2021年9月、オーストラリアはフランスとの契約を破棄し、アメリカ・イギリスとの安全保障枠組み「AUKUS」のもとで原子力潜水艦を導入する方針へ転換しました。日本が競り合ったディーゼル型潜水艦の構想自体が白紙に戻った形です。一方のUS-2は、関心を示していたインドへの輸出が長く交渉されたものの、価格などの折り合いがつかず、成約には至っていません。
では日本の防衛装備輸出はまったく実らなかったのか。そうではありません。2023年、三菱電機がフィリピン空軍に警戒管制レーダーを納入し、これが防衛装備移転三原則の制定以降、初の完成装備品の輸出となりました。固定型レーダー3基と移動型1基を計約1億ドルで納める契約で、南シナ海で活発化する中国への警戒監視を後押しする狙いがあります。大型の潜水艦商談では敗れたものの、完成品輸出の最初の実績は、潜水艦ではなくレーダーで生まれました。
膨張する日本の防衛費
番組放送当時、2016年度の防衛費は初めて5兆円を超え、過去最大と報じられました。安倍首相はこれを「戦争を仕掛けられないようにするための抑止力」と説明していました。
その後の増加は、当時の想像をはるかに超えるものでした。2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻を契機に、岸田政権は同年12月、防衛費を「2027年度にGDP比2%(約11兆円規模)」へ引き上げる方針を国家安全保障戦略に明記しました。1976年の三木武夫内閣以来およそ「GDP比1%以内」を目安としてきた戦後日本の方針が、ここで大きく転換します。
当初予算ベースで2022年度に約5兆4000億円だった防衛費は、2023年度6兆8000億円、2024年度7兆9000億円とほぼ1兆円ずつ積み増しされ、2025年度は前年度比9.4%増の8兆7005億円。海上保安庁予算など関連経費を含めた総額は約9兆9000億円に達しています。2026年6月時点では高市早苗政権のもとで、GDP比2%目標の達成に向けた財源確保が引き続き課題となっています。
「抑止力」というキーワードのもとで防衛費が膨らみ、防衛産業がその受け皿となる。番組が問いかけた「どこかで戦争が起きれば日本が儲かる」という構図は、放送から10年を経て、より現実味を帯びる形で日本社会に突きつけられています。
[出典:2016年2月12日 池上彰緊急スペシャル!「なぜ世界から戦争がなくならないのか?」/軍事費・軍需企業ランキングはSIPRI 2024年データ、防衛費・輸出実績は各社報道および防衛省・外務省発表に基づき2026年6月に追記]
文責:ライターズラボ編集部(2026年06月20日(土)06:55執筆)






コメント
よく戦争起こったら現代ではむしろ損になるって言うけど、中規模~小規模の戦争、紛争ならむしろ儲けが出そうな気がする…。
今のテロもまさにそれで、ある意味軍需産業には面白い話なんだろうなぁ…とかしみじみ思う。