モンタージュ~3億円事件奇譚~前編・後編 二夜連続
土曜プレミアム・フジテレビ系
前篇 2016年6月25日(土)よる9時~11時10分
後篇 2016年6月26日(日)よる9時~11時09分
原作:渡辺潤「モンタージュ 三億円事件奇譚」
モンタージュ 三億円事件奇譚 全19巻(講談社・ヤングマガジン)
みどころ
【三億円事件とは?】
1968年12月10日午前9時20分頃―
東芝府中工場のボーナス約3億円を積んだ日本信託銀行の現金輸送車が、府中刑務所横で偽装した白バイ警察官に止められた……
「コノ車ニ、ダイナマイトガ仕掛ケテアル……」
これが日本の犯罪史上類を見ないミステリーの幕が開いた瞬間だった―。偽白バイ警察官は車の下にもぐり込んだ後、叫び声が響いた。
「爆発スルゾ!」
発炎筒を焚いた犯人は、銀行員4人に対して車外へ避難するよう促すと、運転席に乗り込み3億円を積んだ車ごと走り去った。わずか3分間の犯行……
このとき銀行員は危険を顧みず、爆発物を遠ざけてくれた勇敢な警察官だと思い、ただ走り去るのを見守っていた。
乗り捨てられた白バイが偽モノであることに気付いたのは、それからしばらく経ってからである。だが、すでに犯人の姿は煙のごとく消えていた。
以後、史上最大の捜査が展開された。
投入された捜査員……延べ17万1805人。
取り調べを受けた人物……延べ11万7950人。
捜査にかかった費用……およそ9億円。しかし、発生から7年後の1975年12月10日に時効を迎え、ついに犯人に辿り着くことは出来なかった……
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【1968年(昭和43年)の時代背景】
三億円事件が起きた1968年、日本は高度経済成長の真っただ中にあった。
家電製品やマイカーが普及し、国民の生活も急速に変化していた。
しかし、そんな繁栄とは裏腹に、社会に暗い影を落とす事件も多く起きている。
ベトナム戦争が泥沼化していく中、金嬉老事件や東大紛争、新宿駅騒乱事件、海外ではキング牧師とロバート・ケネディ大統領候補が次々と暗殺された。“アングラ”と略称されるアンダーグラウンド文化が発達、ピンキーとキラーズの「恋の季節」やキング・トーンズの「グッド・ナイト・ベイビー」が大ヒットし、ビートルズの来日をきっかけに流行したグループサウンズが、当時本格化していた学生運動に勤しむ多くの若者たちの溜まり場となっていたジャズ喫茶に流れていた。
民間大卒初任給が3万円、ラーメン一杯80円、銭湯代32円。
“サイケ”や、“ハレンチ”といった言葉が流行したのもこの年である。文化や科学技術の急な発達と豊かになっていく暮らしに沸き立っていた時代に「三億円事件」という当時破格の現金窃盗事件は、日本全国に衝撃を与えた。
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【「三億円事件」年表】
1968年(昭和43年)12月10日9時20分頃
「三億円事件」発生1968年(昭和43年) 12月10日
府中署に特別捜査本部設置1968年(昭和43年) 12月21日
モンタージュ写真公開1969年(昭和44年) 4月9日
逃走用の車と3億円が入っていたジュラルミンケースを団地で発見1975年(昭和50年) 12月10日
事件から7年後・公訴時効成立1988年(昭和63年) 12月10日
事件から20年後・民事時効成立[出典:モンタージュ 3億円事件奇譚フジテレビ http://www.fujitv.co.jp/montage/about.html ]
このドラマは、2010年から2015年まで「ヤングマガジン」(講談社)で連載された大人気マンガ『モンタージュ 三億円事件奇譚』(渡辺潤・コミックス全19巻)を映像化した作品です。
漫画「モンタージュ 三億円事件奇譚」は、1968年12月10日に発生した20世紀最大の未解決事件「三億円事件」をテーマにした壮大なスケールの物語で、連載中から各社間で、激しい映像化権争奪戦が繰り広げられたそうです。
このドラマは、大作映画にも引けを取らない規模で制作されましたが、その中でも、長崎県・軍艦島(端島)でのロケが象徴的でした。
軍艦島は、主要登場人物が生まれ育った場所であり、物語の鍵となる重要な場所です。
これまで軍艦島では、様々なドラマや映画などが撮影されてきましたが、「世界文化遺産」に登録後、ロケが行われたのは初めてのことでした。
※軍艦島に関する詳細記事
また、「三億円事件」が発生した1968年当時も濃密に描かれ、その時代を忠実に再現するために、茨城県・高萩市、群馬県・高崎市、さらには佐賀県・佐賀市などで、広範囲で大規模な撮影が行われました。
いままで「三億円事件」を題材にしたドラマや映画は数多くありました。
その多くは、未解決事件としての「三億円事件」の真相に迫るミステリーやサスペンスが軸でした。
しかし、今回のドラマは、「三億円事件」を題材にしながら、様々な側面で閉塞感が充満し、まっとうに生き抜くことが困難になっている“現代”と、その“現代”と比べて物質的には貧しかったかもしれないが、少なくとも“現代”に比べ、人々が必死に生き抜いていたであろう「三億円事件」発生当時の“過去”とを、緻密かつ巧妙に絡めなた「本格社会派エンターテインメント」になっています。
そういう意味で、過去の「三億円事件」を題材にした作品とは明らかに一線を画しています。
あらすじ
1968年(昭和43年)12月10日に、東京都府中市で発生した20世紀最大の未解決事件「三億円事件」。
空前の規模(のべ17万人の捜査員を動員)での大捜査が行われたものの、犯人逮捕には至らず、時効を迎えた。舞台は2009年の長崎、高校3年生の鳴海大和(なるみ・やまと/福士蒼汰)は通学路の途中で、幼なじみの小田切未来(おだぎり・みく/芳根京子)と共に、地面にできた血だまり、さらには壁に付着した血痕を発見する。
その血痕をたどると、袋小路に倒れる瀕死の老人・東海林明(しょうじ・あきら/香川照之)を発見。
大和は唐突に、東海林から「お前の父親は、三億円事件の犯人だ。誰も信用するな」と告げられる。
その真意を尋ねようとする大和だが、東海林は大和への宣告を最後に、亡くなってしまった。
その日の夜から、突然、姿を消した大和の父親・鳴海鉄也(なるみ・てつや/唐沢寿明)は、三日後に長崎から遠く離れた東京で水死体として発見される……。
元々、母親を早くに亡くし、鉄也に男手ひとつで育てられてきた大和は、若くして両親を失うことに。
幼い頃から、鉄也を父親のように慕ってきた未来の父親・武雄(たけお/デビット伊東)は、大和を放っておけず、大和は小田切家で一緒に暮らすことに。時は過ぎ、2016年の長崎、25歳になった大和は、高校卒業後、進学も就職もせず、フリーターとして日々を無為に過ごしていた。
人生の目的を見出すこともできずに、日々を漫然と過ごす大和は、その不満を埋めるかのように、7年前に東海林から告げられた「お前の父親は、三億円事件の犯人だ」という言葉に妄想を膨らまし、「三億円事件」について詳しく調べ始める。
そんな折、大和は父親・鉄也の形見の剣道着を、武雄に譲り渡す。
武雄の計らいで「鳴海」という刺しゅうの入った「垂ネーム」だけは大和が受け取ることに。
その「垂ネーム」に違和感を抱く大和。
縫い目を切り、中を調べるとそこには折り畳まれた旧・五百円札が入っており、広げてみると飛び散った血痕が付着していた。
慌てて、三億円事件関連の資料を調べる大和。
資料には、三億円事件で奪われた紙幣のうち、ナンバーが分かっているのは二千枚の五百円札だけとあり、該当のナンバーが記されていた。
手元にある五百円札のナンバーを調べると、資料のナンバーと一致する。
なぜ三億円事件で奪われた紙幣が、父の剣道着に隠されていたのか……。
一方、武雄も鉄也の甲手からメモを発見する。その数日後、武雄と未来の母親・葉子(西尾まり)が失踪。
夫婦の失踪と三億円事件の関連を疑う大和は、武雄が鉄也の甲手から発見したメモを見つけ、彼らがかつては「炭鉱の島」として空前の繁栄を誇り、今は誰も住むものない孤島、軍艦島に向かったことに気付く。
夫婦を追って、軍艦島にたどり着いた大和と未来は、メモに書かれていた場所から、三億円事件で奪われたと思われる旧一万円札の束が詰まった袋を発見する。
しかし、武雄と葉子の姿はなかった……。大和と未来が、三億円を持って軍艦島からボートで戻って来ると、二人組の男たちに出会う。
一人は、2009年に大和と未来が、東海林の死に立ち会った際に、事情を聞かれた長崎の刑事・関口二郎(せきぐち・じろう/遠藤憲一)、もう一人は山田というヤクザだった。
彼らのただならぬ雰囲気に困惑する大和と未来の前に、車に乗って助けに現れたのは、鈴木泰成(すずき・たいせい/劇団ひとり)だった。
泰成は、予備校講師で、未来の父親・武雄が経営する剣道場の門下生でもあり、大和と未来とは旧知の仲。
泰成の助けで、関口と山田から何とか逃げられた大和と未来。
二人を取り逃した関口は、刑事であるにも関わらず、近くにいた貸しボート屋の店主を殺害、さらにその犯行を大和と未来によるものだと罪をなすりつけ、二人を殺人犯として指名手配する。
また、2009年に東海林を殺害したのも、関口だった。やってもいない殺人の容疑者として警察から追われることとなった大和と未来は、軍艦島で発見した三億円と共に、長崎から福岡、さらには東京へと逃亡することに。
図らずも、さまざまな人物の思惑が複雑に絡み合った、大きな事件の渦に飲み込まれていく大和と未来は、父親・鉄也の謎の死、そして三億円事件の真相にたどり着くことができるのか……[出典:モンタージュ 3億円事件奇譚フジテレビ http://www.fujitv.co.jp/montage/story.html ]
キャスト・登場人物相関図
【現在】
鳴海大和(なるみ・やまと)25歳……福士蒼汰
あらぬ殺人の容疑をかけられ、未来と共に逃亡する羽目に陥るが、都度、機転を利かせ、時に警察から逃げ延び、時に三億円事件の真相を知る人物たちと、大胆な駆け引きを行う。
父親の謎の死や三億円事件の真相にたどり着くという強い信念のもと、さまざまな人物に妨害され、もがき苦しみながらも、一歩ずつ前進していく。
小田切未来(おだぎり・みく)23歳……芳根京子
大和とは幼なじみ。やってもいない殺人の容疑者として、大和と共に警察から追われることとなり、長崎から福岡、さらには東京へと逃亡。
剣道の達人である父親・武雄の影響で幼い頃から剣道をたしなみ、なかなかの腕前。その腕前で、逃走中の危機を救うことも。
鈴木泰成(すずき・たいせい)33歳……劇団ひとり
予備校講師。未来の父親・武雄が経営する剣道場の門下生でもあり、大和と未来とは旧知の仲。
彼らの逃亡劇の手助けを行うこともあるが、大和は彼のことを信用できずにいる。
関口二郎(せきぐち・じろう)48歳……遠藤憲一
大和と未来を殺人の容疑者に仕立て上げた悪徳警官。「三億円事件」の鍵を握る大物政治家・沢田慎之介の命を受け、大和と未来を追跡する。
響子ギブソン(きょうこ・ぎぶそん)68歳……夏木マリ
大和と未来が「三億円事件」の真相を追う中で出会った、沖縄でバーを経営する謎の女性。「三億円事件」と関わりがあるようだが……
東海林 明(しょうじ・あきら)70歳……香川照之
「お前の父親は、三億円事件の犯人だ」という言葉を大和に残し、息を引き取った老人。
大和と未来が「三億円事件」の真相を追う中で、「三億円事件」を担当していた府中南署の刑事だったことが明らかになる。
鳴海鉄也(なるみ・てつや)66歳……唐沢寿明
鳴海大和の父親。東海林からは「三億円事件の犯人」とされ、2009年に東京で水死体として発見されるが……
沢田慎之介(さわだ・しんのすけ)70歳……西田敏行
民和党の幹事長を務める大物政治家。政治家転身前は、府中南署で「三億円事件」を追う刑事だった。
「三億円事件」の鍵を握る人物で、関口を介し、大和と未来の行方を追う。
小田切武雄(おだぎり・たけお)48歳……デビット伊東
未来の父。
小田切葉子(おだぎり・ようこ)48歳……西尾まり
未来の母。
水原大輔(みずはら・だいすけ)30歳……ムロツヨシ
博多の刑事。
中野夏美(なかの・なつみ)19歳……杉咲 花
予備校生。鈴木の教え子。
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【1968年】
川崎雄大(かわさき・ゆうだい)17歳……野村周平
軍艦島出身。1967年、17歳の時に府中に上京。沢田慎之介とは同郷の幼なじみ。上京後、井上和子、望月竜、響子ギブソン、横溝保と知り合う。
明るく快活な性格で誰からも愛される存在だったが、とある事件をきっかけに、「三億円事件」に深く関わっていくことになる。
井上和子(いのうえ・かずこ)18歳……門脇 麦
マイルス・デイビスをこよなく愛す女子大生。雄大とは、彼が働くジャズバーで出会い、付き合うことになる。将来、雄大と一緒に、ジャズ喫茶を開くという夢を抱いている。
望月 竜(もちづき・りゅう)18歳……渋谷謙人
府中を中心に活動する不良グループのリーダー的存在。ヤクザともめている所を雄大に助けられ、それ以降、親交を深めていく。
響子ギブソン(きょうこ・ぎぶそん)19歳……ホラン千秋
竜の恋人。いつも無茶ばかりする竜を心配している。
横溝 保(よこみぞ・たもつ)17歳……瀬戸利樹
竜の弟分。いつも、竜や響子と共につるんでいる。
沢田慎之介(さわだ・しんのすけ)22歳……三浦貴大
軍艦島出身で、雄大とは幼なじみの府中南署刑事。上京してから、竜や保といった不良と仲良くしている雄大のことを心配している。後に、民和党幹事長を務めるほどの大物政治家になる。
東海林 明(しょうじ・あきら)30歳……香川照之
府中南署の刑事。竜たち、不良グループには頭を悩まされているが、彼らのことをどこか憎めず、愛情を持って接している。
[出典:フジテレビ http://www.fujitv.co.jp/montage/chart.html#charttop]
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