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2016年09月:初投稿
2026年05月11日:公開後の事実関係を反映し、原作・監督・キャストの最新情報に更新
映画「少女」湊かなえ原作×三島有紀子監督×本田翼×山本美月
湊かなえの長編ミステリー「少女」を、本田翼と山本美月のW主演で実写化した映画。監督は『しあわせのパン』『繕い裁つ人』の三島有紀子。2016年10月8日に東映系で全国公開された。上映時間は119分。「人が死ぬ瞬間を見たい」という願望を抱える2人の女子高生が、それぞれの夏休みに病院と老人ホームでボランティアに身を投じる姿を、二つの視点から並行して描く。
原作:湊かなえ「少女」
原作は2009年に早川書房から刊行された湊かなえの長編小説「少女」。2008年のデビュー作『告白』に続く第2作で、書き下ろし作品として発表された。2012年に双葉文庫から文庫化、2016年の映画化に合わせて漫画版(岩下慶子作画)の新装版が講談社から刊行されている。
湊かなえは1973年広島県因島市生まれ。武庫川女子大学家政学部被服学科を卒業後、青年海外協力隊員としてトンガに2年間赴任。帰国後の30歳を過ぎた頃から執筆を始め、2005年に第2回BS-i新人脚本賞佳作、2007年に第35回創作ラジオドラマ大賞を受賞。同年「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞し、これを第1章として執筆した『告白』が2008年に双葉社から刊行された。『告白』は2009年の第6回本屋大賞を受賞している。
その後も「望郷、海の星」で第65回日本推理作家協会賞短編部門、『ユートピア』(2015年)で第29回山本周五郎賞を受賞。『贖罪』は米国の文学賞エドガー賞候補となった。映像化作品も多く、『告白』(2010年、中島哲也監督)、『北のカナリアたち』(2012年、阪本順治監督)、『白ゆき姫殺人事件』(2014年、中村義洋監督)、『母性』(2022年、廣木隆一監督)、『ドキュメント』(2024年)など多数の小説が映画・ドラマ化されている。近作にはイヤミス系の長編『人間標本』(2023年)、『C線上のアリア』(2025年2月、朝日新聞出版)、『暁星』(2025年11月、KADOKAWA)がある。
[出典:映画「少女」公式サイト、湊かなえ Wikipedia]
監督:三島有紀子
三島有紀子は1969年4月22日、大阪市出身。神戸女学院大学文学部卒業後、1992年にNHKに入局。「NHKスペシャル」「ETV特集」「トップランナー」など、市井の人々を追うドキュメンタリー番組を多数手がけた。劇映画を撮るために2003年に独立し、東映京都撮影所などでフリーの助監督として活動しながらオリジナル脚本を執筆。2009年に『刺青 匂ひ月のごとく』で映画監督デビューを果たした。
その後、『しあわせのパン』(2012年)、『ぶどうのなみだ』(2014年)とオリジナル脚本・監督で作品を発表。『ぶどうのなみだ』は第38回モントリオール世界映画祭ワールド・グレイツ部門に招待された。2015年には池辺葵の人気コミック『繕い裁つ人』を映画化。本作『少女』(2016年)の翌年に発表した『幼な子われらに生まれ』(2017年)は第41回モントリオール世界映画祭審査員特別大賞、第42回報知映画賞監督賞、第41回山路ふみ子賞作品賞などを受賞し、国内外で高く評価された。
主な近作には『ビブリア古書堂の事件手帖』(2018年)、夏帆主演の『Red』(2020年)、ドキュメンタリー『東京組曲2020』(2023年)がある。2024年2月公開の最新長編『一月の声に歓びを刻め』は、三島自身が6歳の時に受けた性被害を出発点に書き下ろしたオリジナル脚本作品で、第26回イタリア・ウディネ・ファーイースト映画祭コンペティション部門に正式招待された。同作でカルーセル麻紀が第79回毎日映画コンクール助演俳優賞を受賞している。WOWOWのダークミステリー『硝子の葦』(原作・桜木紫乃)の演出も担当した。
[出典:映画「少女」公式サイト、三島有紀子 Wikipedia、yukikomishima.com]
『少女』予告編
みどころ
原作は湊かなえの第2長編「少女」。『告白』に続く書き下ろし作品で、由紀視点と敦子視点のエピソードが交互に展開する構成を取る。基本的にはヒューマンドラマだが、最後に衝撃的な事実が判明することからヒューマンミステリーと位置づけられている。
『告白』は2010年に中島哲也監督・松たか子主演で映画化され、第34回日本アカデミー賞最優秀作品賞をはじめ多くの賞を獲得した。本作『少女』では、感受性の鋭い2人の女子高生が「死とは何か」「死ぬ瞬間を見たい」という欲望に駆られ、それぞれボランティアの現場で死に近い人々と向き合う。いじめ、自殺、教師による盗作、援助交際など、湊かなえ作品で繰り返し描かれてきた現代社会の闇が織り込まれている。
監督の三島有紀子は、それまで『しあわせのパン』『繕い裁つ人』などひたむきに生きる人々を描く作風で知られていた。本作はその三島が、初めて湊かなえ作品に挑み、思春期の少女の心の闇に踏み込んだ一作となる。撮影は愛知県豊橋市・蒲郡市・豊川市・田原市・東栄町などで行われ、舞台となる女子校は桜丘中学校・高等学校が使用された。
主題歌:GLIM SPANKY「闇に目を凝らせば」
主題歌はロックデュオGLIM SPANKYが本作のために書き下ろした「闇に目を凝らせば」。映画の世界観と呼応した重厚なロックナンバーに仕上がっている。
あらすじ
「どうせなら死ぬ瞬間を見てみたい。そう思わない?」
「死って、モノじゃなくて現象だと思う。」
【由紀の闇】
読書好きで休み時間はひとり静かに本を読み、授業中は小説を書いている由紀。クラスの女子が親友の敦子を集団でいじめていても助けることはできずにいた。ある日、いじめがエスカレートして倒れた敦子は、保健室のベッドのなかで「死にたい」と訴えかける。そんな”闇”を抱える彼女に由紀は「暗闇の中を一人ぼっちで綱渡りしている、そんな気持ちなのかもしれないけど、そんなことないから」と手を差し伸べる。そしてその夜、書きかけの小説を完成させる。しかし、その翌日に原稿が何者かに盗まれてしまったことで、由紀はある危険な行動に出る。
「死ぬ瞬間ていうか、生きている最後の顔をみないと、本当の意味での死を理解するなんて無理だと思うけど。」
「助けて、由紀。死にたい。」
「努力を重ねて、ここまで生きてきた。迫害されるようになってからも、努力は怠らなかった。」
【敦子の闇】
幼い頃から剣道を習い将来有望と期待されていた敦子。ところが、高校の団体戦でミスをしたことを機にいじめの対象になる。その時ケガした足はすでに完治しているが、学校では足を引きずったふりを続けている。敦子にとって唯一の友だちは由紀だと思っていたが、ある時から2人の関係がぎくしゃくしているように感じ、距離を置くようになる。それでも由紀のことが気になり、何が彼女を変えてしまったのかそっと見守るうちに、由紀の”闇”を目撃する。そんなとき、紫織という生徒が転校してくる。彼女に誘われ、敦子はあることを断りきれずに共犯者になる。
[出典:映画「少女」公式サイト]
キャスト・登場人物
映画版の舞台は厳格なキリスト教の女子校「桜宮女学院」。主演の本田翼と山本美月は、これ以前にもドラマ「恋仲」などで共演経験があり、本作で4度目の共演となった。新田真剣佑(公開当時の芸名は「真剣佑」、2017年5月に改名)は本作出演時点で本格的なブレイク前で、翌2017年の『ちはやふる -上の句-』で第40回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞している。
桜井由紀……本田翼(子供時代:渡邊このみ)
桜宮女学院2年の女子高生。ニヒルで冷静な性格で、親友の敦子からは何を考えているか分からないと思われている。認知症の祖母を両親と共に介護していた。一つ年上の牧瀬と交際している。敦子をモデルに書いた小説を元担任に盗作される。ある事情から左手が不自由になり、握力が3kgしかない。
草野敦子……山本美月(子供時代:原涼子)
桜宮女学院2年の女子高生。天真爛漫で少々空気が読めない性格。元剣道部で有名私立への推薦も決まっていたが、中学最後の県大会で2勝2敗のところを惜敗して以来、学校裏サイトに自分の悪口が書かれていないか見に行くのが日課になっている。過度の不安症で、神経質でもあり、過呼吸で倒れることがある。
高雄孝夫……稲垣吾郎
敦子に「おっさん」と呼ばれている。特別養護老人ホーム、シルバーシャトーに勤務する中肉中背の中年男性。必要最低限のことしか喋らず、地面ばかり見ていて暗い性格。文学愛好家でバツイチ。
滝沢紫織……佐藤玲
2年に黎明館高校から桜宮女学院に編入してきた転校生。親友の死を由紀と敦子に語る。
小倉一樹……児嶋一哉
由紀と敦子の元担任の国語教師。本職は作家と自称している。由紀の作品「ヨルの綱渡り」を盗作して新人文学賞を受賞する。作家活動に専念するため退職するが、「事故」により死亡。黎明館の女生徒と交際していた。
牧瀬光……新田真剣佑
近隣で偏差値が最も高い男子校に通う、由紀の交際相手。電車のホームで投身自殺を目撃して以来、由紀たちと同じように死を目の当たりにしたいと思っている。高3の夏に数Ⅰ基礎をやっているなど成績はよくなく、調子のいいバカと見られているが、実際はサイコパス的な凶暴さや反社会的性格を持つ。本作出演時点の芸名は「真剣佑」で、2017年5月に事務所をトップコートへ移籍するとともに「新田真剣佑」へ改名している。新姓「新田」は出演作『ちはやふる』で演じた綿谷新の名前に由来する。
田中昴……中村瑠輝人
S大学付属病院の小児病棟に入院している小学5年生。「タッチー&昴」と『マイ・フレンド・フォーエバー』で声優を務めたアイドルに重ねられている。か細く、綺麗な顔をした男の子。タッチーから手術の成功率が7%と教えられ、由紀の目的の対象となる。
太一(タッチー、肉まん)……山田日向
「タッチー&昴」のタッチー。由紀からはその風貌から肉まんと呼ばれる。昴の手術前に、両親が離婚してから会っていない父親と会わせてあげたいと由紀に懇願する。
桜井義孝(由紀の父)……二階堂智/桜井慶子(由紀の母)……川上麻衣子/水森正代(由紀の祖母)……白川和子
由紀の家族。祖母は認知症でシルバーシャトーに入居しており、由紀のことを「フジオカ」と呼ぶ。
敦子の母……佐藤真弓/敦子の父……小嶋尚樹
敦子の両親。
滝沢芳也……菅原大吉
昴の父親の所在を知る男として由紀の前に現れる人物。原作では「三条」という名前で三条ホームの社員として登場し、由紀が昴の父親を探す際に展示場に夜8時に来ることを条件に情報を提供すると言う中年男性として描かれていた。
岡田恵美……銀粉蝶
映画版では病院のスタッフ。原作の岡田は読み聞かせボランティア団体「小鳩会」の代表で、赤ずきんやさるかに合戦の残酷な結末をハッピーエンドに脚色する人物として描かれている。
シルバーシャトーのヘルパー……占部房子、星野園美、広澤草、岩橋道子、大塚加奈子
原作では大沼さん(30代半ばのリーダー格)、小沢さん(40代)などとして登場する介護スタッフ。
桜宮女学院の生徒……石橋静河、土居志央梨、小林麗菜、浅野望、飯村未侑、水田萌木、小山莉奈
劇中のメイポールダンスを踊る生徒たち。石橋静河は本作出演後、『きょうのキラ君』『夜空はいつでも最高密度の青色だ』などで主演を務め、第41回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞している。
[出典:映画「少女」公式サイト、少女(湊かなえ)Wikipedia、映画.com]
スタッフ・配給
脚本は松井香奈と三島有紀子の共同。音楽は平本正宏、撮影は月永雄太、編集は加藤ひとみ。配給は東映で、製作は「少女」製作委員会(東映、木下グループ、ポニーキャニオン、パルコ、ファインエンターテイメント、BS日テレ、双葉社、朝日新聞社、ユニバーサルミュージック、日本出版販売、アルマックスジャパン)。
[出典:少女(湊かなえ)Wikipedia]
文責:ライターズラボ編集部(2026年05月10日(日)22:55執筆)




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