締め込み(しめこみ)は古典落語の演目の一つ。
原話は、享和2年(1802年)に出版された笑話本・「新撰勧進話」の一遍である『末しら浪』。
『時の氏神』『盗人の仲裁』『盗人のあいさつ』など、別題は多数。
主な演者には、4代目三遊亭圓生や3代目柳家小さん、そして5代目古今亭志ん生などがいる。
上方では『盗人の仲裁』の演目で5代目桂文枝が演じた。
あらすじ
とある長屋の一室、留守に泥棒が入る。
めぼしいものを物色して風呂敷包みに仕立て上げ、さて逃げようか……と思った途端、表でなにやら足音がした。家人らしい。
慌てて荷物を放り出し、裏に逃げようとしたが、高い塀があって逃げられない。
仕方がないので床板を上げ、縁の下に潜り込む。
入れ替わりに入ってきたのはこの部屋の主、八五郎。見れば件の風呂敷包み……
「カカァめ、間男作ってやがったか! 俺の居ぬ間に家財道具まとめて逃げようと……太ぇ真似を!」
てっきり女房が浮気をしていると勘違い。
早合点の八五郎、後から帰った女房に
「このアマ、とんでもねえ奴だ」と一喝。
何も知らないおかみさん、目を白黒させるが、あらぬ浮気の疑いに立腹。
売り言葉に買い言葉で、罵声と唾と皿鉢が飛び交う凄絶な夫婦喧嘩が勃発。
逆上した八五郎、傍らの火鉢に掛かった薬缶を投げつけるが狙いが外れ、薬缶は畳をゴロゴロ……熱いお湯が畳にぶちまけられる。
「熱ッ……アチャチャチャチャ!!」
真下にいた泥的、頭から煮え湯をかぶって思わず飛び出した。慌てて喧嘩の仲裁に入る。
「旦那、落ち着いてください!! おかみさんも気を静めて!!」
「放っといてくんねぇ! これは俺とカカァの……お前さん、誰だい?」
「え!?」
泥棒が素直に白状したので、夫婦は「これで別れずにすむ」と感謝して、泥棒に酒をのませてやる。
「これを機会に、またちょくちょく」
「冗談じゃねえ。そうちょいちょい来られてたまるか」
しばらく酌み交わしているうちに、泥棒がベロベロになって寝てしまう。
「おい、不用心でいけねえ。もう寝るんだから、表の戸締りをしろ」
「だって、もう泥棒は家に……」
「それじゃ、表から鍵をかけておけ」
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