本来は「短命」という演題だが、縁起をかついで「長命」ともいう。
「肥がめ」では汚いから「家見舞」、「しびん」は「花瓶」と、演者のセンスで題名を変えることも多いのが落語である。
師の圓生が落語協会を脱退し「三遊協会」を作ったころ、一門は寄席には出ないから全国を回った。
圓生が「三年目」か「包丁」でトリを取る。
その前の出番で良く掛けていたのがこの「長命」もしくは「町内の若い衆」だった。
圓生の死後は、独演会が格段に多くなり、弟子の開口一番の後はマクラをたっぷりと振ってからの「長命」、中入りをはさんで「浜野矩随」。
前半で笑わせるだけ笑わせて、後半は涙で締めるという演出で大変に評価が高かった。
前半では、男の察しの悪さに業を煮やすやりとりがいわば漫才のようなもので、お客のノリによってはやる側も楽しく、たっぷりになる。
この録音では時間が限られているからいささか軽い。
後で出てくるかみさんの形容と動きが、圓楽独特の豪快さで笑える。
とはいいながら女は女として演じているから、口調には女らしい色気が消えていないのが芸の微妙なところだ。
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