★橘家圓蔵(八代目)猫と金魚

橘家圓蔵(八代目)

田河水泡作 新作落語

隣の猫が金魚にいたずらするので、店の主人から猫の手が届かない湯殿の棚の上に金魚鉢を置くように言われ、番頭は金魚を鉢から出して金魚鉢だけ棚の上に置く。

主人に金魚を棚の上に置くのだと叱られ、金魚だけ棚の上に置く。
また叱られた番頭、今度はちゃんと金魚鉢に金魚と水を入れ棚の上に置いた。
番頭は、言われたとおりにしたが気になることがあると言う。
湯殿の棚の高さと、隣の家の窓の高さが同じで、窓から猫が手を出して金魚鉢をかき回していると言う。

呆れた主人は、頭(かしら)の虎さんを呼びにやる。
威勢のいいことばかり並べていた頭だが、猫をこらしめてくれと頼むと急に弱気になり、意気地がない。
手下を3人ばかり連れて来るから3日ほど待ってくれなどという始末。
やっと承知させ、フロ場へ頭を送り込み戸を閉める。
フロの中でドタンバタンと頭と猫の格闘する音が聞こえ、頭が猫をこらしめていると思いきや、ザブンという音と、
「きゃー」という悲鳴と「助けて」という声。戸を開けて入って、

主人 「どうしたんだ」
頭 「あたしは猫にはかなわない」
主人 「おまえは虎さんだ」
頭 「名前は虎でも猫にはかなわない。このとおり濡れねずみになりました。」

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