日本橋石町(こくちょう)の生薬屋(きぐすりや)の旦那と出入りの職人の新太が、一生に一度は行っておかねばならないと言われているお伊勢参りをした。
伊勢神宮の内宮、外宮を参拝して熱田神宮にもお参りをした。
宿をとっていた名古屋の旅館を引き払い夜8時の夜行で東京に帰る道すがら、医者の息子の半七とお寺の娘のお花が飛び込み心中をしようとしているところに出くわす。
どっちがお花を抱きかかえて引き留めるかの一悶着の後、帰京を一日延ばして二人を連れて泊まっていた宿に引き返す。二人に聞けば品川に住んでいて親同士の仲が悪く一緒になれないのだという。
店の者が翌朝の帰りを出迎えに行ったら可哀相とのことで旦那はシンさんに「アスアサカエレン」とだけ電報を打つように言いつける。30銭だと言ってお金を渡す。
初めて電報を打つシンさんの郵便局での脱線ぶりがこの噺の一つの山場。大正の初めの鉄道事情と電信事情の時代背景を想像しながら聴くところ。
電報を打つ理由を伊勢参りの端から心中を引き留めるところまでの一部始終を話したり、差出人も入れた30文字の残りの3文字に初電報の記念に「シンタ」を入れてくれとせがんだり、シンさんのおしゃべりが長くなって17時を過ぎてしまって60銭になるところをおまけして貰ったり。
その晩に安城付近で汽車が正面衝突をしたという号外が翌日に出て、それを見て心配をしている店にその電報が届いて大騒動になる。
と、そこにシンさんだけが戻ってきて
「旦那はどうした」
「旦那は品川のお寺に廻っている。」
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