『百川』(ももかわ)は古典落語の演目の一つ。6代目三遊亭圓生の十八番だった。
現在でも柳家小三治など多くの落語家が高座にかける。
あらすじ
老舗の料理屋『百川』に奉公人としてやって来た田舎者の百兵衛。
かなり田舎の訛りが酷く、主人も挨拶を聞き、内容を理解するのに苦しむような状況なところに、お客様からの呼び出しがかかったため、主人は不安に思いつつ、百兵衛にご用件を聞くついでに挨拶をしてくるように言う。
そんな訳でお客様のところへ出向いた百兵衛であったが、案の定、訛りが酷いために「あたくし、しじんけのかけぇにんでごぜぇまして(私、主人家の抱え人でございまして}…」という言葉を
「私、四神剣の掛け合い人でございまして…」という風に聞き間違われてしまう。
実はこのお客の源兵衛達は、以前祭りで四神剣を借用してたのだが、金銭で困り、あとで出せばいいだろうとそれらを質に入れてしまっていたため、慌てふためき、なんとか言いくるめて百兵衛に帰ってもらおうとするが、当然百兵衛の発言と噛み合っていないため百兵衛が帰る訳がなく、またこの百兵衛がまたヌケた奴であり、「顔は潰さないので…」という言葉を文字通り捉えてしまったため、源兵衛達は困ってしまう。
そんな中、くわいのきんとんを丸呑みさせることで、こちらの具合も飲み込んでもらおうというアイデアが浮かび、百兵衛も悪戦苦闘しながら何とかその頼みを聞いたはいいが、水が欲しくなったため、いったん主人の下へ戻ることにする。そんな状況で戻ってきた百兵衛を見て、主人はガラの悪い客が変な訛りに目を付けてからかったんだと思い、もう一度訛りを抑えて言ってくるようにいい、またお客のところへ向かわせる。
そんな訳でようやくお客様の用件を聞き出せた百兵衛で、その要件は「長谷川町・三光新道の常磐津の歌女文字(ときわづのかめもじ)を呼んでこい。わからなかったら頭に『か』の付く名高い人だ。」というものだったが、隣町に来た途端に「頭に『か』が付く」しか思い出せなかったため、間違えて医者の鴨池玄林(かもじげんりん)の家に入ってしまう。そして例の如く、また訛りのために間違った情報が先生に伝わってしまい、料亭百川で斬られた四、五人の治療のための先生を呼びに来たものと勘違いされる。
そんな訳で鴨地先生を呼んできてしまった百兵衛は、ついにキレた源兵衛達から「お前のように抜けてるやつは見たことがない! この抜け作!」と言われ、百兵衛が「どれだけ抜けてるだか?」と聞くと、全部抜けてると言われたため、百兵衛は「(指を折りながら}か・め・も・じ…か・も・じ…」と改めて2人の先生の名前の文字を指で数えてから「じゃあ、たぁ~んとは変わらねぇ、たった一字だけだ」と言うのであった。
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