★立川談志/ねずみ穴(鼠穴)

立川談志


あらすじ

竹次郎が江戸の兄のところに訪ねてきた。
竹次郎は遺産の大部分を茶屋酒と遊びで使い果たしてしまった。

だから、兄さんのところで働かせてくれと頼んだが、それよりは自分で商売をしたらと勧められた。
資金を貸してもらって中を見ると、3文しか入っていなかった。

3文では何も出来ないので俵のサンダラポッチを買ってきてサシを作り、売って儲けた金で又買ってと繰り返している内に小銭が貯まるようになってきた。
その上、朝から納豆売り、豆腐屋、茹で小豆売り、うどん売り、いなり寿司売り……
一日中よく働いた。

2年半も経つと10両という金が出来た。
信用する者が間に立ち女房をもらい女の子も生まれた。
裏にいられないので、表に出て10年が経った。
深川蛤町に3戸前の蔵と間口5間半も有るような店を持つ大旦那になっていた。

番頭に3文の銭と2両の金を包ませ、風が強いので万が一の時は蔵の壁の目塗りとねずみ穴を塞ぐようにと言付けして、兄の店にやってきた。
借りていた3文の元をお礼を言いながら返し、利息分として2両の包みを渡した。

兄は元金について
「見た時は怒ったであろう。3文しか貸さなかった理由は茶屋酒がまだ染みこんでいるので、何両貸してもまず半分は酒に化けてしまうだろう。元に手を付けるようでは商人にはなれない。きつい事をすれば立派な商人になるだろうと3文しか貸さなかった。」 と言う。

その夜は兄弟仲良く話し合っていたが、夜も深まり竹次郎は帰ると言い出した。
家の蔵はねずみ穴が開いているので、心配でしょうがないというので、兄は「そんな事はないが、その時はわしの全財産をやるから泊まっていけ」と言う。
兄弟仲良く枕を列べて寝ていると半鐘が鳴っている。
聞くと深川蛤町方向だという。

急いで駆けつけたが猛火の中、蔵が黒く浮き上がっていた。
一番蔵から煙が出るとたちまち崩れ落ちてしまった。
ねずみ穴が原因で二番、三番と焼け落ちてしまった。
焼け跡に仮普請をして商売を始めたが上手くいかない。
奉公人も去って親子3人になってしまい、奥さんも心労が重なり床につくようになってしまった。

春の仕込みもあるので、8歳になる娘のヨシを連れて兄の家に借金をしに行った。
裏から入ると、兄は喜んで迎えてくれた。
借金は50両必要だと切り出したが、今のお前の力では2両が限度だという。
財産の全部をやると言ったのは酒が言わせた事で、それを真に受けるとは世間知らずだという。
そんな鬼のような事を・・と言って喧嘩になってしまった。

娘を連れて表に出ると、ヨシは自分で20両作るという。
聞くと吉原に売れば出来るという。
そのお金で儲けて迎えに来てくれればいいと言う。
その話を汲んで20両懐に入れて大門を出た。
見返り柳を後にして歩いていくと、「気を付けろ!馬鹿野郎!」。

男に突き当たられた。
痛い思いをして我に帰ってみると、懐の20両が無くなっていた。
「もうだめだ~」、帯を解いて木にかけて、足の下の石をぽーんと蹴ると「う~ん」。
「竹!起きろやうるさくて寝てられない」。
「ここはどこだ?」
「ここは俺の家だ」。
「火事があっただろ」
「そんなものはない」。
「だったら……」
「何をそんなにキョトキョトしてるんだ。夢でも見たのか」。

泊まったまでは本当で、火事も落ちぶれたのもみんな夢だと聞かされた。
「火事の夢は逆夢と言って縁起がいい、この春は身代が燃え盛るように大きくなるぞ」

「あまりに、ねずみ穴が心配で……」

「夢は五臓(土蔵)の疲れだ」。

主な演者

上方落語から3代目三遊亭圓馬を経て東京の6代目三遊亭圓生へ伝わった。
6代目三遊亭圓生が再構成した上に、1953年末に第4次落語研究会で口演して高い評価を得た。
近年では7代目立川談志が得意とし、他にも10代目柳家小三治や上方の4代目桂福團治等が演じる。

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