にらみ返し(にらみかえし)は、古典落語の演目の一つ。
原話は、安永6年(1777年)に出版された笑話本「春袋」の一編である「借金乞」。
主な演者として、5代目柳家小さんや3代目三遊亭遊三などがいる。
江戸期の小売店は掛売りが基本で、掛けは月末に清算する習慣だった。特に大晦日は一年の借金を清算する日。
だがたまったツケを清算するあてもなく、八五郎夫婦が頭を抱えていると、表で変な呼び声がする。
「借金取りを追い返してあげましょう!」
呼び込んでみると、不動明王のような恐ろしい顔をした大男。
「一時、一分の手間で借金取りを追い返します」
というので、早速なけなしのお金を渡して仕事をお願いした。
そうとは知らず、八五郎宅に借金取りがやってくる。
「御免…ん!?」
上がりがまちのところに、ものすごい大男が座り込んで煙草を吸っている。
「あっ、あの…お勘定…」
何を言っても、大男は目を剥いて煙草をふかしているばかり。堪らなくなり、とうとう借金取りは逃げ出してしまった。
その後も、入れ替わり立ち替わり借金取りがやってくるが、みんな男の迫力に恐れをなして退散。
「凄いですなぁ、実におみごと!」
八五郎が感心していると、何故か男が帰る準備を始めた。
「ちょっと待ってください。まだ手ごわい大物が残っているんです! あと二分だしますからもう少し…」
「そうしたいのですが、これから家へ帰って自分の分をにらみます」
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